一般的に薬剤師の初任給は平均30万円前後と言われていますが、職場によって金額が若干異なります。さらには、各種手当の有無によって収入に大きな影響が出ることも少なくありません。
「どの職場なら初任給が高いの?」「初任給が高ければ安心できるの?」など、疑問に思っている方も多いでしょう。そこで今回は、薬剤師の初任給を職場別に紹介します。初任給の高い職場に就職する方法や注意点も解説しているので、参考にしてみてください。
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👉まずは相談してみる(無料)【勤務先別】薬剤師の初任給の違い
早速、職場別に薬剤師の初任給を紹介します。今回は、薬剤師のおもな就職先である5つの職場について見ていきましょう。
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1:調剤薬局
ドラッグストアの初任給は30万円前後です。一部の大手では調剤部門・店舗運営部門と業務範囲が分かれていることがあり、選択した内容により初任給が変わります。業務範囲が広いほうが、初任給は高くなることが一般的です。ほかの職場と比べると、初任給は高めになっています。
ドラッグストアは薬剤師の人手不足に悩まされていることが多く、良い待遇を用意することで薬剤師を確保しようとしているためです。調剤薬局と同じく、異動や働くエリアによって初任給が変わることもあります。
2:病院
病院の初任給は約20~25万円です。ほかの職場と比べるとやや低い傾向にあります。病院は新卒に人気があり、初任給を高く設定しなくても薬剤師の応募が集まりやすいためです。また、医師や看護師などの採用を優先するため、薬剤師の給与が上がりにくいといった側面もあります。夜勤や休日出勤がある場合は、手当が加算されるためこの金額よりも少し収入が高くなります。
とはいえ、手取りにすると20万円台を切ってしまうこともあるため、高い初任給が欲しいと考えている方は手当がどれくらい貰えるのかについてもしっかり確認しておきましょう。
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3:ドラッグストア
ドラッグストアの初任給は30万円前後です。一部の大手では調剤部門・店舗運営部門と業務範囲が分かれていることがあり、選択した内容により初任給が変わります。業務範囲が広いほうが、初任給は高くなることが一般的です。ほかの職場と比べると、初任給は高めになっています。
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4:製薬会社
製薬企業の初任給は、約20~25万円です。初任給だけ見るとあまり魅力を感じない方もいるかもしれませんが、製薬企業ではインセンティブが期待できます。自分の努力次第では収入をどんどん上げていけるため、将来的には年収1,000万円を超えることも不可能ではありません。
初任給は突出して高いわけではありませんが、継続して働くことを見越して考えると生涯年収はほかの職場より高くなる可能性があります。
5:公務員薬剤師
公務員の初任給は21万円前後です。さほど高くはないため、初任給が高い職場を探している方からすると、あまり魅力を感じないかもしれません。しかし、公務員は仕事が安定しており、勤続年数に応じて昇給があるため、働き続けるほど収入が高くなります。
また、国家公務員の初任給は徐々に増えているため、さらに安定した働き方ができるようになるでしょう。
薬剤師の就職先としては調剤薬局やドラッグストア、病院、製薬会社などがよく知られていますが、公務員薬剤師として働くという選択肢も存在します。 薬剤師はいずれ過剰になるともいわれる中で、公務員薬剤師は景気に左右されない安定した職業として根[…]
薬剤師の初任給=手取りではないことに注意
初任給とは、健康保険や厚生年金保険、雇用保険や所得税などが引かれる前の金額です。つまり、初任給がまるまる手元に入ってくるわけではありません。手取りの収入は、一般的に総支給額の75~80%程度となります。
たとえば総支給額が30万円の場合は、22万5千円~24万円ほどが手取りとなる計算です。ただし、初任給からは健康保険と厚生年金保険、住民税は引かれません。健康保険と厚生年金保険は5月分の給料から、住民税は翌年の給料からしか引かれないのです。
そのため、翌月以降の給料よりも初任給のほうが高いことがあります。また、企業によって薬剤師手当がつき始めるタイミングが異なります。薬剤師の登録が受理されてからでないと手当が貰えない場合もあるため、よく確認しておきましょう。
薬剤師の初任給は他の業種と比べると高い?
一般に初任給は業種や学歴によって違います。6年制薬学部を卒業すると薬剤師のほかにも、いろいろな業種に就職できます。ここでは薬学部でも取得可能な資格で就ける職業や、薬学出身の卒業生が多いとされる、以下の職業の年齢20~24歳の経験年数0年の人の賃金を調べてみました。
結果は以下のとおりです。
【薬学部卒業生に多い就職先の給与の比較】
職業 | 所定内給与額 |
研究者 | 25.29万円 |
化学技術者 | 23.75万円 |
薬剤師 | 27.84万円 |
高等学校教員 | 24.66万円 |
参照:令和5年賃金構造基本統計調査「職種(小分類)、年齢階級、経験年数階級別所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」
薬剤師の初任給は、比較した4つの職業の中では最も高いという結果でした。初任給の額は企業規模によっても違うので、一概には言えませんが、薬剤師は他の業種と比べると高いと言えそうです。
次の表は令和元年をもって終了した初任給調査の結果から、主な産業別の値を示しています。上記と比較しやすいように、学歴は大学院修士課程修了を選びました。
【令和元年賃金構造基本統計調査:初任給】
主な産業 | 初任給 |
学術研究、専門・技術サービス業 | 24.55万円 |
製造業 | 23.58万円 |
医療、福祉 | 20.91万円 |
教育、学習支援業 | 24.23万円 |
参照:厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査(初任給)の概況」
薬剤師は医療、福祉に含まれていますが、ここのカテゴリーに看護師や理学療法士などの他職種も多く含まれているので、あまり参考にはならないと思います。
このように、薬剤師の初任給は他の職種と比較しても高水準であることがわかります。その理由としては、薬剤師に専門教育による高度な知識と技能が求められること、医療安全に関わる重要な責任を担うこと、そして薬剤師の需要が高く人材確保が必要とされていることなどが考えられます。
ただし、勤務先の規模や地域、雇用形態によって給与に差があることも事実です。また、初任給が高いからといって、必ずしもその後の昇給率が高いとは限らないため、長期的なキャリアプランを考える際は、給与以外の要素も含めて総合的に判断することが大切です。
薬剤師の給料に関する知っておくべき注意点
就職するときはどうしても初任給ばかりに目が行きがちです。しかし、手元に入る収入は、初任給だけでは決まりません。
1:各種手当・賞与額
初任給に手当が含まれている場合とそうでない場合があります。求人票や募集要項を見て、薬剤師手当や固定残業代が含まれているのかを確認してみてください。薬剤師手当が別につく場合は、記載されている初任給よりも受け取れる金額が多くなります。
固定残業代とは、あらかじめ設定した時間分の残業代を毎月定額で支払う制度です。残業が規定の時間数を超過した場合、残業代が別途支払われます。そのため、固定残業の詳細について確認しておくと安心です。
貰える収入をできるだけ高くするためには、初任給に加えてほかに支給される手当があるのかを必ずチェックしておきましょう。一見すると同じ初任給に見えても、プラスで貰える手当があるかどうかで収入が大きく変わります。
また、月収だけを見て給料が高いか低いかを判断しないように注意しましょう。年収は月収に加えて賞与額の金額も加味して考える必要があります。
いくら月収が多くても賞与額が少なければ年収も低くなります。賞与とはボーナスのことです。◯か月分支給すると決められていることもあれば、業績によって増減するケースもあります。手当を抜いた基本給で計算されるため、基本給の額に大きく左右されます。
年収をチェックする場合は、賞与がどれくらい貰えるのかも確認することが大切です。
2:福利厚生の内容
職場選びでは、福利厚生の内容を確認することも重要です。初任給が低くても福利厚生が充実していれば手元に残る金額は多くなります。収入に関係する福利厚生としては、次のものが代表的です。
● 通勤手当
● 借上社宅制度
● 家賃補助制度
● 奨学金返還支援
● 資格取得補助制度
通勤手当はほとんどの企業で支給しています。借上社宅制度とは、企業が賃借している住宅を従業員に貸し出す制度のことです。この制度があれば、家賃の自己負担を抑えて住宅を確保できます。家賃補助制度は、家賃の一部を会社が負担してくれる制度です。
奨学金返済支援は、奨学金の一部を会社が払ってくれる制度を指します。一定の期間働くことが条件となっていることが多いでしょう。認定薬剤師や専門薬剤師、そのほか業務で必要な資格取得の費用を補助してくれる制度もあります。
3:昇給率
目先の収入だけでなく生涯年収を上げたい場合は、昇給率もチェックしておく必要があります。初任給が良くてもなかなか昇給しない職場で働き続けていれば、生涯年収は低くなってしまいます。数年経つとほかの職場で働いていた薬剤師より年収が低くなることもよくあるものです。何をすれば年収が上がるのか、年間の昇給率はどれくらいなのかを確認しましょう。
求人票や募集要項にモデル年収が記載されている場合は、そちらを参考にするのがおすすめです。モデル年収を確認することで、どのような役職に就いてどれくらいの年数働けば年収がいくらになるのかをシミュレーションできます。
4:勤務時間と休日の日数
初任給や福利厚生などを見ることも大切ですが、ワークライフバランスを保つためにも勤務時間や年間休日数の確認も行いましょう。企業によっては、一日の勤務時間が8時間より多いことがあります。また、年間休日数が少なく、体を休める時間が十分に取れないこともあるので注意してください。
いくら初任給が高くても勤務時間が長かったり休日数が少なかったりするようであれば、あまり良い待遇であるとは言えません。24時間対応が必要な職場だと、早朝や深夜にシフトが入ることもあります。収入の良さと働きやすさを天秤にかけて、ちょうど釣り合うようなバランスの良い職場を選ぶことが大切です。
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👉まずは相談してみる(無料)薬剤師が年収アップを目指す方法とは?
初任給が高いところに就職すれば収入も高くなります。しかし、会社に頼らず自分の力で収入を上げることも可能です。ここでは、薬剤師が収入を上げるための方法を3つ紹介します。
資格を取る
資格を取得することで、資格手当が支給される場合があります。研修認定薬剤師や認定実務実習指導薬剤師、がん専門薬剤師や感染制御専門薬剤師などの資格が人気です。
資格の種類によっては取得に時間がかかったり、学会発表が必要だったりするものもありますが、年収アップを目指したいのならぜひ取得を検討してみてください。
資格取得で年収アップをねらう場合は、あらかじめ社内規定を調べておき、手当がつくのかを確認しておきましょう。資格があれば転職時にも有利に働くことが多いため、自己研鑽も兼ねて何か取得しておくことをおすすめします。
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経験を積んで役職に就く
経験を積み上げていくことで、勤続年数や業務での実績が評価されて収入が上がっていきます。評価によっては管理薬剤師やエリアマネージャー、店長や薬局長などの役職がつくこともあるでしょう。
役職によって手当が出るため、収入アップを目指せます。経験を積んで収入を上げるためには、同じ職場で長く働き続けることが重要です。どこの会社で働いていても、基本的には経験を積むことで収入が上がっていくと考えられます。
転職する
同じ職場で働き続けても、なかなか収入が上がらないことがあります。うまく評価されなかったり、そもそも昇給しづらい環境だったりすることがあるのです。上のポストが埋まっており、本来なら役職に就けるはずの能力をもっているにもかかわらず、昇進できないこともあります。
そのようなときは無理に同じ職場で働き続けずに、転職を考えてみるのも一つの方法です。これまでの経験やもっている資格が評価される職場へ転職することで、収入アップを目指せます。
職場探しを行うときは、就活エージェントや転職エージェントを利用しましょう。エージェントを利用することで、自分の希望にぴったりと合う職場を探しやすくなります。非公開求人といって、一般には公開されていない条件の良い求人を紹介してもらえることもあるので、エージェントをうまく活用してみましょう。
求人票に書いていないような情報も入手できるため、エージェントを活用した職場探しは圧倒的に効率的です。さまざまな職場の比較も簡単にできます。
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薬剤師の初任給は、調剤薬局で約22~30万円、ドラッグストアで約30万円、病院と製薬企業で約20~25万円、公務員で約21万円です。初任給=手取り額ではないので注意しましょう。また、初任給に手当が含まれている場合とそうでない場合もあるので確認が必要です。