子どもが生まれると、生活が大きく変わります。当然のことながら、仕事に関しても「何もかも今まで通り」とはいかなくなるでしょう。
子育てと仕事を両立させるためには転職も選択肢のひとつです。子育てのための転職を成功させるためには、いくつかのポイントをおさえておく必要があります。
今回は、子育てと仕事を両立させる働き方と、職場を選ぶポイントについてご紹介します。これから子どもが生まれる予定の方、今の働き方では両立できないと悩んでいる方の参考になれば幸いです。
パパ・ママ薬剤師はどんなことで悩んでいる?
子どもを持つ多くの薬剤師が、仕事に関連した悩みを持っています。代表的なお悩みについてみていきましょう。
勤務時間や出勤日に関する悩み
子どもの保育園への送迎、急な病気や怪我でのお迎え、運動会などのイベント参加など、なかなか毎日フルタイムで働くことが難しくなってきます。学級閉鎖などで、思わぬタイミングで長く働けなくなることもあるでしょう。
子どものイベントに合わせて休みを取りたくても、人数の少ない職場では希望が通らないこともあるかもしれません。また、体調不良やイベントのすべてに有給休暇をとっていると、足りなくなってしまうというお悩みも多いです。
収入やキャリアに関する悩み
子どものスケジュールに合わせてパートになると、認定薬剤師やかかりつけ薬剤師になりにくいという現実があります。思っていたペースでキャリアアップできないという悩みは非常に多いです。
パートタイムになると給与が減るのはもちろんですが、たとえば店舗異動ができないなど条件面で制約が出てしまえば、昇給に関わってくることもあるでしょう。
勤務時間外の勉強会に参加できず、知識のアップデートが大変という声もあります。
一般的に薬剤師の初任給は平均30万円前後と言われていますが、職場によって金額が若干異なります。さらには、各種手当の有無によって収入に大きな影響が出ることも少なくありません。 「どの職場なら初任給が高いの?」「初任給が高ければ安心できる[…]
その他の悩み
勤務先によっては異動が避けられず、体力的・時間的に負担が大きくなってしまうこともあります。当直や休日当番などのシフトがあれば、家族との予定の調整も必要です。勤務の条件が合わないと、せっかく転職しても続けるのが難しくなってしまいます。
【雇用形態別】パパ・ママ薬剤師の働き方とメリット・デメリット
先ほどお伝えした悩みをふまえ、雇用形態別にメリット・デメリットをみていきましょう。子育てを機に雇用形態の変更を考えている方は、参考にしてください。
正社員
安定した収入が確保され、認定薬剤師などの資格を取得できる可能性も高まるのがメリットといえます。調剤薬局であれば、正社員を続けていなければ管理薬剤師になる機会を逃すこともあるため、将来的な収入を高めたい方は、正社員を続けるメリットが大きいです。時間的・体力的には大変になることが予想されますが、キャリアアップや収入を重視している方は正社員が良いでしょう。
ただし、職場の人数やご自身の役職などによっては休みを取りにくかったり、異動が避けられなかったりとデメリットもあります。もちろん、正社員で働いている以上家族と過ごせる時間も制限されてしまうため、パートナーとの調整や理解も必要です。
パート
働く時間や曜日を調整できるため、子どもの成長に合わせて働き方を柔軟に変えていくことができるのが最大のメリットです。残業や休日当番を求められることが少ないため、家族のための時間をしっかり確保できます。後々は正社員に戻ることも視野に入れられるため、さまざまな可能性を残せる雇用形態です。
一方で、正社員と比べると給与が下がることは避けられません。また、勤務時間数が規定に満たない場合はかかりつけ薬剤師になれないなど、キャリア面ではデメリットがあります。職場によっては、パートでは福利厚生が受けられない・ボーナスがないこともあるため、確認が必要です。
派遣
派遣の場合、勤務日や勤務時間を自由に選ぶことができ、高時給も期待できるため、家族との時間を確保しつつある程度の収入を得られるのが大きなメリットです。残業も基本ないためスケジュール管理がしやすく、子どもの送迎など終業後の予定にも支障が出ません。
ただし、即戦力を求められるため、ある程度の経験や知識が必要となります。子どもの体調不良などがあっても、急な休みは取りにくいことが多いので、ある程度子どもが大きくなってからの方が派遣薬剤師として働きやすいでしょう。
また、同じ場所では最長3年までしか働けないため、環境の変化は避けられません。勤務先が決まるまで、しばらく期間が空いてしまう場合もあります。
【職種別】パパ・ママ薬剤師の働き方とメリット・デメリット
さまざまな悩みを踏まえて、パパ・ママ薬剤師の働き方に関するメリット・デメリットを職種別にご紹介します。ご自身の理想とする生活に合うのはどの職種なのか、考えてみてください。
調剤薬局
調剤薬局は求人件数が多く、たくさんの選択肢の中から条件の合う勤務先をじっくり選ぶことができるでしょう。ご自宅の近くの調剤薬局を選べば、昼休憩の時間に自宅へ戻って家事をしたり、買い物に行ったりすることもできるかもしれません。ドラッグストアと比べれば、開局時間も短めです。
ただし、大手の調剤薬局では店舗異動や他店舗へのヘルプなどが避けられない場合があります。そうなると、結局は通勤に時間を取られてしまい、子育てとの両立が難しくなる時期が出てしまいます。ひとり薬剤師を任されてしまうと、急な休みをとることが難しいです。
お互いに困る結果になってしまうのを避けるため、条件面は細かなところまでしっかり擦り合わせる必要があります。
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ドラッグストア
ドラッグストアは、調剤薬局と同様に選択肢が多い点が魅力です。正社員であれば給与水準が比較的高く、収入面でも安心感があります。自宅近くの店舗で働けば、調剤薬局と同様に時間を効率的に使うこともできるでしょう。
ただし、営業時間が長いため、不規則なシフトになる場合もあります。薬剤師業務だけでなく、レジ対応や品出しなども行うことがあるため、覚えなければならないことが多いです。業務内容やシフトについてしっかり確認しましょう。
病院
病院ではさまざまな部署があるため、産後の体力面や時間の制限に合わせて、業務内容を調整してもらえる可能性があります。
また、病院内に保育園を用意しているところも多いため、利用できるかもしれません。保育園を探す手間が省けるほか、送迎の手間も最小限となり、便利です。薬剤師の人数が多い病院であれば夜勤や土日勤務の融通も利きやすいでしょう。
一方で、収入面で他職種より劣るのはデメリットです。病院に限ったことではありませんが、必ずしも希望の部署に配属されるわけではないため、思った通りのペースでキャリアを積めないことがあります。
院内保育園は看護師が優先という場合もあるので、「院内保育園がある」という情報だけでなく、実情を確認しておきましょう。
パパ・ママ薬剤師が転職先を選ぶときのチェックポイント
パパ・ママ薬剤師が転職先を選ぶときに、特に注意すべきチェックポイントを4つお伝えします。「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、必要な情報収集をおこないましょう。
育休や時短勤務制度の内容
職場によっては、法律の定める範囲以上に育休や時短勤務を取得できる場合があります。実際にどのくらいの育休を取得しているのか、時短勤務制度をどの程度利用しているのかなど、実情を聞いてみることをおすすめします。
ただし、こうした制度は既存従業員のみが対象になっている場合もあるので、ご自身が制度を利用できるかどうか、はっきりと確認しておきましょう。
急な欠勤時の対応
子どもの体調不良など、急な休みを取らなければならない場合のフォロー体制を確認しましょう。あまり薬剤師の人数が多くない職場では、急な休みへの対応が難しい可能性があります。
また、「子の看護休暇」が適応される年齢や日数は、企業によって違います。
勤務体制や異動の有無
勤務日やシフトを確認しましょう。特に、土日祝日に休めるか、子どものイベントに合わせて休めるか、夜遅くの勤務や残業がないか、などは、子育て世帯にとって重要なポイントです。有給消化率も参考になります。
平均的な残業時間はもちろんですが、GWの前後や年末年始など、繁忙期の残業時間も確認できると安心です。「繁忙期だけは残業をお願いすることがある」ということもあります。
子どもがある程度大きくなるまで、店舗異動や他店舗へのヘルプを免除してもらえるかなどもあらかじめ相談しておきましょう。採用されてからでは、調整できないこともあります。
パパ・ママ薬剤師の人数、正社員の人数
子育て中の薬剤師の割合、正社員薬剤師の人数を確認しておきましょう。
同じエリアで子育てをしている薬剤師が多いと、子どもの運動会などのイベントが重なり、休みが取りにくい場合があります。また、正社員の人数が少ないと、急な休みを取りたいときのフォローが期待できないかもしれません。
繁忙期の忙しさの目安として、薬剤師1人あたりの処方箋枚数などを聞いてみるのも良いでしょう。
まとめ
今回は、子育て中の薬剤師や、これから子どもを考えている薬剤師に向けて、転職でおさえておきたいポイントをお伝えしました。
職種、雇用形態によってそれぞれメリットやデメリットがあります。ご自身の理想とする生活やキャリアにマッチする働き方についてしっかり考え、後悔のない転職にしましょう。
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