調剤薬局への転職で後悔しないために!転職前におさえておくべきポイントを徹底解説

「調剤薬局への転職で後悔しないためには、どうすればいいの?」「調剤薬局へ転職するときに押さえるべきポイントって何?」と考えたり、悩んだりしている薬剤師の方もいらっしゃるかもしれません。

薬剤師の転職先として、調剤薬局は求人数が多く、その分ハードルも低めなので、人気があります。しかし、安易に転職先を決めてしまうと、後悔することになりかねません。

この記事では、調剤薬局が人気の理由、調剤薬局の転職で後悔する理由、調剤薬局への転職前に確認すべきこと、調剤薬局の種類別の転職に失敗しない薬剤師のタイプをドラッグストア勤務経験のある元病院薬剤師が紹介します。

調剤薬局への転職が人気の理由

新卒の就職先として最も選ばれている調剤薬局ですが、転職時も依然として人気があります。転職理由は人によって異なりますが、ここでは、調剤薬局への転職が人気の理由を解説します。

職能を活かせる

1つ目の理由は、職能を活かせることです。就職先に調剤薬局を選ぶ場合の最も明確な理由がこれです。

大学で学んで身につけた薬学の知識も転職するころには、さらに血肉になっているでしょう。ドラッグストア勤務では学べない、医療用医薬品についての知識や病気に関する知識を深めていくことも調剤薬局であれば可能です。

ワークライフバランスが取りやすい

2つ目の理由は、ワークライフバランスが取りやすいことです。

門前薬局などでは休日が決まっていることも多く、完全週休二日制で残業がほとんどないという薬局もあります。女性が多い職場なので、育児休暇や時短勤務などの福利厚生はしっかり整備され、そのほかの子育て支援も充実している職場も多いです。

2022年10月から男性の出生時育児休業も施行されました。

参考:厚生労働省|産後パパ育休(出生時育児休業)が10月1日から施行されます

男性でも積極的に子育てに関わりたいと考えている方も多いかもしれません。そのように「仕事も、子育ても」とワークライフバランスを考える方には最適な職場ではないでしょうか。

やりがいがある

3つ目の理由は、患者さんと直接接するためやりがいがあることです。

調剤薬局での薬剤師の仕事は、定期通院する利用者が元気になっていくことが分かるので、患者の健康・地域の健康に貢献しているという実感が得られます。また、患者へ服用する薬の説明をしたり疑問点に答えたりしていると、患者に感謝されることも多く、そのたびにやりがいを実感するでしょう。

調剤薬局の転職で後悔する理由

調剤薬局へ転職する薬剤師はたくさんいますが、全員が満足しているわけではありません。「職能を活かせ、ワークライフバランスが取りやすく、やりがいがある」調剤薬局のどこに不満があるのでしょうか。
後悔する理由は人それぞれ違うでしょうが、代表的な3つの理由をご紹介します。

年収が上がりにくい

後悔する理由で最も多いのは、年収が上がりにくいことです。

薬剤師の年収平均は「製薬企業>ドラッグストア>病院>調剤薬局」の順になっていて、調剤薬局によりますが、一般的に他の業態と比べると低い傾向にあります。年収の大きな上昇は見込めず、管理薬剤師などの役職に付かなければ、ほぼ新卒入社時と変わらない年収が続きます。

調剤薬局で働きながら年収をアップさせたいのであれば、以下のような方法を取ることをおすすめします。

 管理薬剤師などの役職経験を経たあとに転職する
 管理薬剤師の募集に応募する
 一人薬剤師の店舗に応募する
 薬剤師の少ないエリアの店舗に応募する

年収は仕事へのやる気に大きく影響するので、調剤薬局へ転職する場合は、調剤薬局ごとの違いや詳細を把握するようにしましょう。

職場の雰囲気が合わない

次に後悔する理由で多いのは、職場の雰囲気が合わないことです。

大規模な調剤薬局でない限り、調剤薬局の多くは数名で業務を行っており、毎日少人数のメンバーと狭い空間で仕事をすることになるため、職場の雰囲気が合わないと働きにくい状態です。また、女性が多いため、男性が輪に入りづらいこともあります。

普通の企業のような異動や配置転換は少なく、同じメンバーのままの勤務が続きます。働きやすい良い雰囲気の職場もありますが、採用されて働いてみるまで雰囲気まではわからないというのが本当のところでしょう。

転職先の調剤薬局の雰囲気に不安を感じる場合は、以下のような行動をとってみましょう。

 事前に職場見学に行く
 大手に就職して合わなければ異動を希望する
 エージェントを利用して職場の雰囲気を教えてもらう

職場の雰囲気をある程度把握することで、自分自身が考える材料にもなります。

業界再編で親会社が変わる

転職で後悔する理由の最後は、業界再編で親会社が変わることです。

大手同士の合併や小規模薬局の吸収などで親会社が変わると、職場の雰囲気や経営方針が変わって働きづらくなる場合があります。親会社が変わったあとも今までと同じように働けるのかどうかは、変わったあとでないとわからないので、ケースバイケースです。

「働きづらくなり、合併が決まったときに転職すればよかった」と思うこともあるでしょうが、考え方次第です。
合併などの情報が事前に漏れることはまずないため、働き方が大きく変わる場合は再転職も視野に入れて考えるのが良いでしょう。

求人票だけではわからないことも!調剤薬局への転職前に確認すべきこと

調剤薬局への転職前に確認することはたくさんあります。ここでは、必ずチェックすべきことをピックアップしながら、転職先を選ぶ際のポイントも紹介します。

給与関係

給与の基本給の額、各種手当の額をそれぞれ確認します。基本給とは毎月決まった金額で支給される給料のことで、各種手当は基本給に上乗せして支給されます。

各種手当の例として挙げられるのは、深夜休日出勤手当や時間外手当、役職手当などです。福利厚生の一環で、企業独自の手当がある場合もあります。

求人票には手当込みの額が記載されている場合があるので注意しましょう。また、固定残業代の有無や詳細も要チェックです。

固定残業代制では残業をしなくても固定残業代が支払われるという労働者のメリットがある一方、基本給が低く抑えられてしまうというデメリットもあります。

給与で「基本給」の額は大切です。ボーナスは、ほとんどの場合「基本給の〇か月分」と決められています。また、基本給は勤続年数によって高くなり、それにつれてボーナスの額も高くなるというように、今後の年収にも関わる重要な項目です。

昇給のタイミングや頻度も忘れずに確認しましょう。昇給がほとんどなく年収が頭打ちであるような場合は、「働く意欲」に影響する可能性があります。企業の公式ホームページで確認できない場合は、大学の先輩など実際に勤務している社員に話を聞くのが良いでしょう。

勤務時間・残業時間

勤務時間は始業時刻と終業時刻だけでなく、昼休み時間(中抜け)も確認しましょう。中抜けの有無は働き方に影響するので要チェックです。中抜けが長くて終業時間が遅いと総勤務時間は短くても、帰宅時間が遅くなってしまいます。

また残業時間を確認する場合も、平均残業時間ではなく、繁忙期の残業時間を確認しましょう。最も残業時間が多い時に自分自身が対応できるかどうかを知っておくのです。

休日体制

健康で働き続けるためには休日体制は重要です。休日体制については以下のことを確認しましょう。

 具体的な休日(曜日など)
 年間休日数
 当番日(休日の当番薬局)の有無

「週休2日制」とは、「週に2日休み」が月に1回以上あり、そのほかの週は1日休みとなる方式です。

「週休二日制=毎週2日間休み」というわけではありません。曜日を含めた1か月間の休日を確認しましょう。

異動の有無

異動したい場合も、したくない場合も、頻度や異動範囲などを含めて、異動の有無について確認しましょう。自身の状況と照らし合わせることが目的です。

薬局のタイプ

薬局のタイプによって、忙しさ、働き方、経営方針などがそれぞれ違うため、自分に合うタイプを選ぶことが大切です。薬局のタイプの例としては次のものが挙げられます。

 門前薬局か面薬局か
 大手チェーン薬局か中小企業か
 調剤専門かドラッグストア併設か

それぞれの薬局のメリット・デメリットを考慮して選びましょう。

対応している処方箋科目

対応している処方箋科目を確認しましょう。応需科目が多ければ知識やスキルはアップしますが、勉強が大変です。また応需科目が少ないと短期間で仕事には慣れますが、知識に偏りが生じる可能性があります。
どちらが良いというわけではなく、自分の目的や性格などに合わせて選びましょう。

処方箋枚数

処方箋枚数は、年間の平均枚数だけではなく、繁忙期の枚数もチェックしましょう。厚生労働省令では「1日平均40枚の院外処方箋に対して、薬局に薬剤師を1人配置する」と定められており、眼科および耳鼻咽喉科、歯科の処方箋数は三分の二に換算されます。

参考:se-Gov|薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令

薬剤師1人当たりの処方箋枚数を算出して、忙しさを予測することができます。

常勤薬剤師の人数

常勤薬剤師が多いほうが、一般的に休みは取りやすくなります。常勤薬剤師が少ない場合は、ヘルプ体制もチェックしましょう。

特に子育て中などで急な休み・早退が発生しそうな場合は、この点に注視して求人を探してみましょう。

職場の雰囲気

職場の雰囲気は働きにくさに直結することもあります。可能ならば、入社前に職場訪問してみるのがいいでしょう。事務職員と薬剤師の関係にも注意が必要です。

職場訪問できない場合は、エージェントを利用して確認するのもおすすめです。

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調剤薬局の種類別:転職に失敗しない薬剤師のタイプ

できる限り転職には失敗したくないものです。ここでは調剤薬局の種類別に、転職に失敗しない薬剤師のタイプを紹介します。おすすめの調剤薬局の種類でもあるので、自分の希望と照らし合わせながら、読んでみてください。

大手チェーン調剤薬局

結婚や出産を考えている女性薬剤師

薬剤師は女性が多い職業で、特に、調剤薬局ではその比率は高くなっています。結婚で引っ越しする際も、異動で対応できる場合があり、退職せずに済みます。

出産についてもほかの従業員の実績があるため、産休・育休を取得しやすく、子育て支援も充実しているでしょう。また、ヘルプ体制も整っているので、妊娠初期の体調が不安定な時期に無理せず、乗り切ることができるでしょう。

調剤未経験の薬剤師

大手チェーン薬局では、研修制度が充実しているので、未経験でも比較的安心して転職できます。また、門前薬局・面薬局などさまざまな店舗を経験できるので、スキルアップにつながります。

個人経営や小規模の調剤薬局へ転職した場合を考えてみましょう。設備が十分でないことも多く、また同じ店舗で勤務を続けるので、知識も偏ってしまいます。その店舗でしか働けない薬剤師になってしまい、将来的に転職を考えた場合、選択範囲も狭まってしまうでしょう。

中小規模の調剤薬局

子育て中のパパママ薬剤師

子育て中は子どもの体調不良や学校行事など、休みが欲しいことが続きます。中小規模の調剤薬局では、経営者や管理職との距離が近く、シフトの相談にも応じてもらいやすいのがメリットです。また異動の範囲が狭く、子どもを転校させないで済みます。

高収入をねらう経験豊富な薬剤師

中小規模の調剤薬局は研修制度が十分ではないため、即戦力となる薬剤師を高額年収で募集することが多く、高収入をねらう、実力派薬剤師にはおすすめです。なぜなら、給与体系が決まっている大手チェーン薬局では、経験豊富で実力があっても相場以上の年収は得にくいからです。

また、多店舗経営を考えている企業であれば、新規店舗立ち上げや合併などの経験を高く評価してくれることもあるでしょう。

OTCメインの調剤薬局併設店

ガッツリ稼ぎたい薬剤師

ドラッグストアの比重が大きい店舗では、業務の負担は大きいものの年収が高めなので、忙しくてもいいから、ガッツリ稼ぎたい薬剤師にはおすすめです。

OTCメインの調剤薬局併設店ではOTC医薬品の販売業務が大半です。接客がメインですが、品出しやレジ打ちなども行うので、通常の調剤薬局に比べて負担は大きいです。その分年収は高く、ノルマを達成すれば、ボーナスや昇給にも反映されるので、人並み以上に稼げます。

いろいろ経験したい若手薬剤師

調剤だけでなく、OTC販売に関する業務、マネジメントも経験できるため、薬剤師としてのスキルも学びたい、給料も高いほうが良いという方にはおすすめです。

また、将来的にも店長やエリアマネージャー、商品を買い付けるバイヤーなど、調剤薬局のみの店舗に比べて、キャリアパスも豊富です。

まとめ

この記事では、調剤薬局が人気の理由、調剤薬局の転職で後悔する理由、調剤薬局への転職前に確認すべきこと、転職に失敗しない薬剤師のタイプを解説してきました。

薬剤師の転職先として、調剤薬局は求人数が多く、その分ハードルも低めなので、人気があります。しかし、安易に転職先を決めてしまうと、「年収が上がりにくい」「職場の雰囲気が合わない」「業界再編で親会社が変わる」など後悔することになりかねません。

求人票だけではわからないこともあるので、転職前には「給与関係」「勤務時間・残業時間」「休日体制」などの要所は必ずチェックしましょう。

また希望によっては、マッチする調剤薬局のタイプがはっきりしている場合もあります。そのような場合は、調剤薬局のタイプに絞って転職を検討してみるのもいいでしょう。

 

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