派遣薬剤師のデメリットは何?正社員薬剤師・パート薬剤師との違いや向いている人を紹介!

派遣薬剤師といえば、パートやアルバイトと比べて高時給で、自分の好きなときにだけ働くことができるなど、自由度も高いことで知られています。

しかし「メリットの裏には、実は隠れたデメリットがあるのでは?」と不安を感じ、派遣薬剤師として働くのを躊躇している薬剤師の方もいるのではないでしょうか 。

本記事では、派遣薬剤師のデメリットや正社員薬剤師・パート薬剤師との違い、向いている人などについて解説します。

派遣薬剤師と正社員薬剤師・パート薬剤師の違い

派遣会社から派遣される派遣薬剤師と、企業などに直接雇われている正社員薬剤師 ・パート薬剤師には、働き方に関する多くの違いがあります。

まずは、派遣薬剤師と正社員薬剤師・パート薬剤師の違いについて理解しておきましょう。

雇用主

派遣薬剤師と正社員薬剤師・パート薬剤師の最も大きな違いは、「雇用主」が異なることです。正社員薬剤師・パート薬剤師の雇用主は「勤務先の会社」ですが、派遣薬剤師の雇用主は「派遣会社」です。

勤務先の会社によっては別の会社との掛け持ちが制限されていることもありますが、登録する派遣会社の数に制限はありません。そのため、同時期に複数の派遣会社を利用しながら効率良く働くことも可能です。

契約期間

派遣薬剤師の契約は、終了期間が決まっている「有期雇用契約」です。 基本的には同じ派遣先で 続けて勤務できるのは、最長でも3年です。2~3ヶ月契約の求人が多く、半年~1年程度の長期派遣もあるものの、同じ派遣先に3年間いられることすら少ないのが現状です。

ただし、派遣法の3年ルールに関して、以下に該当する場合は例外となります。

・派遣会社と無期雇用の契約を結んでいる場合
・産休・育休・介護休暇の代替派遣として従事する場合
・有期プロジェクトに従事する場合
・日数が限定された業務に従事する場合
・60歳以上の場合

パート薬剤師は、会社によって有期・無期どちらの契約も存在します正社員薬剤師は、雇用契約の終わりが定められていない「無期契約」の場合がほとんどです。

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おもな職場

正社員薬剤師やパート薬剤師は、働く職場に制限はありません。採用さえ決まれば、調剤薬局やドラッグストア、病院、クリニックなど、自分の好きな職場での勤務が可能です。

それに対し、病院やクリニックといった医療機関への薬剤師派遣は法律で禁止されているため、派遣薬剤師の職場はおもに調剤薬局やドラッグストアに限定されます。また、管理薬剤師としての派遣も、業務の性質上適当でないという理由で認められていません。

ただし「産休代替派遣」や、直接雇用を前提とした 「紹介予定派遣」であれば、病院やクリニックへの派遣が可能です 。また、地域によっては「へき地派遣」という特例制度も存在します。病院やクリニックへの派遣を希望する場合も、一度派遣会社へ相談してみることで、道がひらける可能性もあります。

求められるスキル

派遣薬剤師と正社員薬剤師・パート薬剤師では、求められるスキルも異なります。

派遣薬剤師は、急な欠員など薬剤師不足の職場で働くことが多いため、即戦力が求められます。どのような科目の処方箋にも対応できる知識や、あらゆるメーカーの分包機・電子薬歴などを使いこなし、正しく調剤・服薬指導をする スキルが必要です。

それに対し、正社員薬剤師やパート薬剤師や正社員薬剤師 は、会社によっては未経験でも応募が可能です。現時点でのスキルだけでなく、コミュニケーション能力やリーダーシップなど、将来的に役立つ潜在的なスキルが重視される場合もあります。

収入

派遣薬剤師は、時給が高いことで有名です。パート薬剤師の時給は2,000円前後が相場ですが、一般的に派遣薬剤師の相場は時給3,000円前後とパート薬剤師よりも高時給です。

また、正社員薬剤師の平均年収は約583万円ですので、1日8時間の月21日勤務と考えると、正社員薬剤師の時給は単純計算で約2,900円になります。勤務時間さえ確保できれば、派遣薬剤師の方ほうが高収入になる場合もあるかもしれません。

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派遣薬剤師として働く前に知っておくべきデメリット

スキルさえあれば非常にメリットが多い派遣薬剤師ですが、知っておきたいデメリットもいくつか存在します。ここからは、解消が難しい派遣薬剤師のデメリットについて紹介します。

気に入った職場で働き続けられるとは限らない

「色々な派遣先に行ってみて、気に入ったところがあればそこで長く働きたい」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、派遣薬剤師の場合、自分が気に入った職場で働き続けられるとは限りません。

有期契約である以上、派遣先の職場がどんなに気に入ったとしても、決められた契約期間が終了したら働き続けることはできません。また、たとえ派遣先に気に入られて契約期間の延長が叶ったとしても、同じ職場は最長でも3年までという法律上の決まりがあります。

次の職場があるとは限らない

毎月フルタイムで働けば、正社員以上の収入を得られる可能性もある派遣薬剤師ですが、そう上手くスケジュールが埋まるとも限りません。働く場所や時給などの条件を厳しくすればするほど次の職場が見つからず、働けない無収入の期間が発生してしまう可能性があります。

キャリアアップが難しい

キャリアアップが難しいのも、派遣薬剤師のデメリットの一つです。派遣薬剤師という性質上、マネジメントなどの管理業務を任されることはありません。

また、業務内容が調剤や服薬指導など比較的単純なものに限定されていることが多く、在宅や多職種連携業務、かかりつけ薬剤師業務に関わることはほぼありません。職場によっては毎日同じような業務を繰り返すことになり、スキルの幅が広がらないこともあります。

職場が変わるたびにルールを覚え直す必要がある

どんな薬局やドラッグストアにも、調剤・鑑査・薬歴に関するルールや第1類医薬品や毒劇物販売時の対応に関するルールなど、細かいルールが存在します。また、医療機関ごとの疑義照会の方法や、向精神薬などの規制薬に関するルールなど、地域ごとに異なるローカルルールも存在します。

細かなルールに加え、調剤棚の薬剤の並び方も「薬効順」だったり「五十音順」だったりと薬局ごとに 異なります。「派遣先が変わるたびにすべてを一から覚えるのが大変」と感じる人もいるかもしれません。

即戦力を求められる

派遣薬剤師が派遣されるのは、薬剤師不足で忙しい職場がほとんどです。そのため、丁寧な研修やフォローは期待できず、初日から即戦力としての働きを求められます。

多様な処方箋に対応でき、ほかのスタッフとも即座に連携できるコミュニケーション能力の高い薬剤師が重宝され、調剤経験の浅い人やブランクのある人、特定の診療科の門前薬局でしか働いたことがないなど知識に偏りのある人の場合は苦労するかもしれません。

誤解されることが多い派遣薬剤師のデメリット

派遣薬剤師には、解消が難しいデメリットがある一方、デメリットとして誤解されてしまっているものもあります。

ここからは、誤解されることが多い派遣薬剤師のデメリットを紹介します。

福利厚生が受けられない

正規雇用ではない派遣薬剤師は福利厚生が受けられないと思われることもありますが、必ずしもそうではありません。派遣先の会社の福利厚生は受けられないものの、所属する派遣会社の福利厚生は受けられます。

派遣法の改正により、派遣スタッフの教育訓練が義務付けられたため、派遣会社ごとにスキルアップのための制度が用意されています。また、社会保険や雇用保険のほか、派遣会社の負担で薬剤師賠償責任保険に加入できる場合もあります。

残業がある

忙しい職場に派遣されることが多いため「日常的に残業が発生するのでは?」と誤解されがちな派遣薬剤師ですが、勤務時間が契約で厳密に決められているため、基本的に残業はありません。

もし残業が発生した場合は必ず残業代が支給されます。残業できるかどうかは派遣先によるため、収入確保などの理由で残業を希望する場合は派遣会社に相談してみましょう。

有給休暇がない

一つの職場で長く働くことのない派遣薬剤師は、有給休暇がないと思われがちです。しかし、社会保険と同じく、派遣会社から法定に則った有給休暇が付与されます。

派遣先が変わっても、同じ派遣会社で 半年以上継続して勤務していれば 有給休暇付与の対象になります。ただし、全労働日の8割以上の出勤が条件となります。

実は解決可能な派遣薬剤師のデメリット

ここまで、派遣薬剤師のデメリットを紹介してきました。ただ、これらのデメリットのなかには、実は解決可能なものも存在します。

ここからは、派遣薬剤師のデメリットのなかで、工夫次第で解決が可能なものを紹介します。

1ヵ所で長く働けない:紹介予定派遣で解決

1ヵ所で長く働けないというデメリットは「紹介予定派遣」で解決できるかもしれません。紹介予定派遣は、最長6ヶ月勤務し、双方が合意すれば直接雇用への切り替えができるという派遣契約です。直接雇用への切り替えが叶えば、その職場で長く働くことができます。

次の職場があるとは限らない:条件をゆるくすれば大丈夫

いずれ過剰になると予想されている薬剤師ですが、いまはまだ人手不足感があるのが現状です。相場からかけ離れた高時給や、募集の少ない特定エリアでの勤務など、よほど厳しい条件を出さない限りは次の職場を紹介してもらいやすくなるでしょう。

また、やむを得ず条件を出す場合も、それぞれの条件に優先順位を付けておくことでスムーズに次の職場を紹介してもらいやすい傾向があります。

スキルアップできない:自己研鑽は可能

調剤報酬上有利に働くこともあり、薬剤師の重要なスキルのひとつ一つとなりつつあるのが「かかりつけ薬剤師」としての経験です。しかし派遣薬剤師の場合、1つ一つの事業所で働ける期間が限られているため、かかりつけ薬剤師になるのは難しいのが現状です。

ただ、派遣薬剤師はまったくスキルアップできないというわけではありません。福利厚生として研修が用意されているほか、認定薬剤師などの資格取得をサポートしてくれる派遣会社もあります。このような補助を受けながら地道にスキルを積み重ねることで、将来的なキャリアアップを目指せます。

派遣薬剤師に向いている人・向いていない人

最後に、これまでに紹介したデメリットをふまえ、派遣薬剤師に向いている人・向いていない人を紹介します。

派遣薬剤師に向いている人

派遣薬剤師に向いているのは、とにかく効率良く稼ぎたい人です。パート薬剤師よりも時給が高いのはもちろん、うまくスケジュールを組むことができれば正社員以上の収入を狙うこともできます。

また、短期間だけ働きたい人にも派遣薬剤師がおすすめです。子どもの長期休暇中だけ、留学費用を貯めるまでの間だけ、次の職場が決まるまでの間だけなど、期間限定で働きたい人にはぴったりの働き方です。

働く日数や時間が契約で決まっていて残業もほとんどないため、稼ぐときは稼ぎ、休むときは休むというメリハリが付けやすいのも、派遣薬剤師のメリットです。趣味の時間や家族との時間など、プライベートを大切にしたい人にも向いているかもしれません。

派遣薬剤師に向かない人

派遣薬剤師に向かないのは、調剤スキルのない人やブランクの長い人です。即戦力が求められるため、調剤スキルのない人は派遣先の受け入れが難しい場合がほとんどでしょう。

また、ブランクの長い人は、忙しい職場や人手不足の職場の慌ただしさに強いストレスを感じる可能性があります。まずは直接雇用でしっかりと研修を受け経験を積んでから、派遣薬剤師にチャレンジするのが良いでしょう。

キャリアアップを狙っている人も、派遣薬剤師は避けたほうが無難です。薬剤師としてのキャリアアップには、それなりの経験やスキル、勤続年数が必要です。一つの職場で長く働けない派遣薬剤師よりも、直接雇用の正社員など、成長できる時間や環境が整っている働き方をおすすめします。

柔軟性が乏しく人とのコミュニケーションが苦手な人も、派遣薬剤師は避けたほうが良いでしょう。派遣薬剤師は、職場ごとのルールに柔軟に対応するスキルが求められます。また、派遣先のスタッフや患者とのコミュニケーションも重要です。こういったことが苦手な人は、派遣薬剤師として働くのは難しいと考えておきましょう。

まとめ

派遣薬剤師のデメリットや正社員薬剤師・パート薬剤師との違い、向いている人について紹介しました。

派遣薬剤師と企業などに直接雇われているパート薬剤師・正社員薬剤師には、働き方に関する多くの違いがあります。派遣薬剤師は高時給で効率の良い働き方ができる一方、一つの職場で長く勤務することができなかったり、スキルアップしにくかったりといったデメリットが存在するのも事実です。

ただ、これらのデメリットのなかには工夫次第で解決できるものもたくさんあるため、派遣薬剤師としての勤務を考える場合、自分の望む働き方にマッチした派遣先を選ぶのが重要です。自分で判断しにくい場合は、事前に派遣会社からアドバイスを受けてみてはいかがでしょうか。

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