薬剤師免許の申請手続きを解説!必要書類やよくある質問についても紹介!

「薬剤師免許の申請手続きって大変そう」「必要書類を知りたいな」と考えている薬剤師志望の方もいるかもしれません。

国家試験に合格しただけでは、まだ薬剤師ではありません。薬剤師業務に携わるには、免許申請をし、薬剤師免許証をもらう必要があります。合格発表後も忙しい生活が続く人は多いので、国家試験が終了したらすぐ、申請準備をするのがおすすめです。

この記事では、薬剤師免許の申請について、必要書類や申請の仕方について、ドラッグストア勤務経験のある元病院薬剤師が解説します。この記事を読めば、薬剤師免許の申請の詳細が分かります。

 

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薬剤師免許の申請とは?

薬剤師国家試験に合格しただけでは、まだ国の正式な薬剤師としては認められたわけではありません。国家試験に合格したら、薬剤師免許証の申請を行いましょう。

国家試験合格から免許受け取りまでの流れは以下のようになっています。

流れ解説
①   薬剤師国家試験に合格例年、2月に試験、3月に合格発表。「国家試験合格発表」というページに、受験地と受験番号が掲載される。
②   合格証書の受け取り合格証書ははがきで、合格発表当日に発送。はがきは、免許申請の必要書類の一つのため、大切に保管。
③   必要書類・印紙の準備必要書類は人によって異なる。印紙は合わせて、30,000円分必要。
④   最寄りの保健所窓口で薬剤師免許の申請最寄りの保健所(取り扱っていない場合は都道府県庁)へ申請する。
⑤   厚生労働省の審査を待つ審査を通過すると薬剤師名簿に登録され、その後、免許証が都道府県庁に発送される。
⑥   免許証の受け取り免許証は、厚生労働省から都道府県庁へ一括で発送される。申請した窓口での受け取りか郵送対応。
本人の手元に免許証が届くまで、申請から最長で5か月くらいかかることもある。

免許証が届くのに、最長で5か月くらいかかる場合もあります。余裕を持って申請しましょう。

免許申請先は最寄りの保健所

免許申請先は住民票に記載された住所地の最寄りの保健所です。地域によっては県庁のこともあります。申請前に都道府県別薬剤師免許申請受付窓口一覧で確認して、不備がないように必要書類を揃え、不明点は事前に確認しておきましょう。

参考:「都道府県別薬剤師免許申請受付窓口一覧」厚生労働省

薬剤師免許申請手続きに必要な書類など

ここでは、薬剤師免許申請手続きに必要な書類などについて、解説します。用意に時間のかかるものもあるので、余裕を持って準備しましょう。

必要書類の一覧

申請手続時に、提出が必要な書類は下記のとおりです。その他、窓口で申請する際には、全員、「合格証書原本」の提示も必要です。

提出者提出書類
全員・薬剤師免許申請書
・視覚や精神の機能の障害、麻薬、大麻、あへんの中毒者であるかないかに関する医師の診断書
・戸籍抄(謄)本、住民票の写し、住民票記載事項証明書のいずれか
申請先の都道府県によって指定がある場合のみ・免許証郵送用封筒
登録済証明書を希望する場合のみ・登録済証明書用はがき
過去に罰金以上の刑に処せられたことのある場合のみ・罰金以上の刑にかかる判決謄本または略式命令書の写し(原本は持参し、照合を受ける)
・罰金刑については、当該罰金にかかる領収証書(紛失した場合、支払った旨の申述書)
・反省文

窓口で申請する場合の「合格証書原本」や、過去に罰金以上の刑に処せられたことのある場合の「判決謄本」または「略式命令書」のなどの原本を添付できない書類の場合は、原本と写しを持参して写しに「都道府県において原本と相違ない」旨の証明を書いてもらうことが必要です(原本照合可)。

全員提出する「申請書」「診断書」「戸籍抄(謄)本/住民票の写し/住民票記載事項証明書」は、バラバラにならないように、この順に重ね、左上をホチキスで留めましょう。登録済証明書用はがきは、クリップ留めして提出します。提出書類に不備があると、登録までに時間がかかってしまうので、正確な内容で提出しましょう。

薬剤師免許申請書

薬剤師免許申請書は、厚生労働省の「薬剤師免許の申請手続き等について」のページから入手できます。A4サイズで印刷して使ってください。また、大学で配布されている場合もあります。

薬剤師免許申請書は以下のとおりです。

薬剤師免許の申請書

申請書を記入するときには、以下のことに注意しましょう。

 黒のボールペンで書く
 正確に楷書で書く
 氏名は戸籍に記載されている文字を使う

日本国籍を持たない時は本籍地欄へは国名、生年月日欄は西暦で記入しましょう。

出典:「薬剤師免許の申請手続き等について 」厚生労働省

診断書

診断書の様式は、厚生労働省の「薬剤師免許の申請手続き等について」のページにあるので、ダウンロード、印刷して使います。もしくは、大学で配布されている場合もあります。

診断書を作成してもらったら、以下の項目が記入されているかどうか確認しましょう。

項目確認内容
発行日発行日の翌日から起算して1か月以内のもの
病院・診療所等の名称「病院、診療所または介護老人保健施設等の名称」欄に、診断した病院、診療所等の名称を正確に記入
障がいの状況や合理的配慮本人の意見などがあれば、別途添付して任意提出できる、様式は不問
専門家による判断が必要と診断された場合該当項目診療科の主治医は専門医による詳細な診断書(診断書様式の裏面)も一緒に提出する

診断書表面では、「視覚や精神の機能の障害、麻薬や大麻、あへんの中毒者であるかないか」について、裏面では専門家の判断を記載することになっています。いずれも、薬剤師業務に支障のないことを証明するものです。

念のために、提出前に診断書のコピーを取って保管しておきましょう。これは、後日確認が必要な場合に備えるためです。また、診断書の有効期限に注意して、発行から1か月以内に提出することが重要です。

出典:「薬剤師免許の申請手続き等について」厚生労働省

戸籍謄本or住民票の写しor住民票記載事項証明書

マイナンバーの記載はいずれも必要ありません。薬剤師国家試験の受験申請時から本籍地都道府県や国籍、氏名、性別に変更がない場合は本籍地の記載がある住民票もしくは住民票記載事項証明書の添付でも良いことになっています。発行日の翌日から6か月以内のものであることを提出時に確認しましょう。

外国籍の場合は、以下のものを提出します。

提出書類
特別永住者・中長期在留者住民票または住民票記載事項証明書
短期在留者旅券その他の身分を証する書類の写し

その他の写しとは、当該国の公的機関が発行した申請者の身分を証明できる書類のことです。具体的には当該国における日本の戸籍、住民票、健康保険証、運転免許証等に相当する書類、その他の当該国の証明書などです。

外国語で記されている書類の場合は、当該国または外国公館の翻訳証明や公証役場の認証などつけた日本語訳か行政書士、民間の翻訳業者などによる翻訳証明を添付しなければなりません。原本を添付できない場合は、写しに「都道府県において原本と相違ない」旨の証明が必要です(原本照合可)。

また、提出書類の不備や期限切れがあると申請手続きが遅れてしまいます。そうならないように、早めの準備を心がけましょう。

免許証郵送用の封筒

郵送で交付する都道府県、もしくは郵送を希望した場合に必要です。自分が該当する都道府県の案内を確認しましょう。

登録済証明書用のはがき

登録済証明書とは、薬剤師名簿に登録されたことを証明するものです。申請から登録、免許証交付までに約2か月かかるので、その間は薬剤師免許の代わりになります。

専用のはがきも配布されていますが、ない場合には官製はがきを使用して、他の書類と一緒にクリップ留めして提出します。専用はがきには必要な郵送料の切手を貼付してください。はがきには、受取先の郵便番号や住所、氏名を記入します。官製はがきの場合、裏面は白紙のままにしておきます。

罰金以上の刑にかかる判決謄本または略式命令書の写し

過去に罰金以上の刑に処せられた場合には、以下の3つが必要です。

 罰金以上の刑にかかる判決謄本または略式命令書の写し
 罰金刑では罰金にかかる領収証書(失くした場合は支払ったという内容の申述書)
 反省文

原本を提出できない場合は写しの提出になりますが、この場合、原本は持参し、照合を受け、写しに「都道府県において原本と相違ない」旨の証明をつけることが必要です。書類の不備がないよう注意して、事前に準備しておきましょう。

印紙

登録免許税の納付方法は以下の2つです。

 収入印紙を購入:30,000円分の収入印紙を購入して、「薬剤師免許申請書」の右上、収入印紙欄に貼付する(収入印紙へは消印は不要)
 税務署などに現金納付した場合は領収証書を申請書の裏面に貼付する

収入印紙の主な購入先は郵便局・やコンビニエンスストア、法務局などがあげられます。店舗によって取り扱いが異なる場合がありますので、注意してください。たいていの場合は印紙を購入して、貼付して、納入するようです。

 

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薬剤師免許申請の仕方

ここでは薬剤師免許申請の仕方について、「薬剤師国家試験に合格」から順を追って説明します。ぜひ、参考にしてください。

①薬剤師国家試験に合格

薬剤師免許を取得するには、薬剤師国家試験に合格しなければなりません。例年、2月に試験が実施され、3月に合格発表されます。

令和6年度の薬剤師国家試験スケジュールに関しては、まだ明確な日付が発表されていません。多くの場合、前年の夏ごろ(7月から9月の間)に試験日程が公表されるといわれています。ただし、年によって変動する可能性があります。下記より詳細スケジュールが発表されますので、時期を見て、確認してみてください。

参考:「国家試験合格発表」厚生労働省

厚生労働省のウェブサイトの他に、薬学部学生は、所属大学からも試験に関する重要な情報が提供されることが多いので、大学からの連絡にも注意を払いましょう。

②合格証書の受け取り

合格発表の当日、合格者に合格証書のはがきが普通郵便で発送されることになっています。合格証書は、免許申請の必要書類なので、大切に保管しておきましょう。

郵便事情により合格証書の到着までには3~7日かかる可能性があります。一週間以上経過しても到着しない場合は、厚生労働省医薬食品局総務課試験免許係まで、必ず合格者本人が電話連絡してください。

また合格発表日前に、出願時に記載した住所地から転居する場合は、必ず郵便局で転居届の手続きをしましょう。郵便局で手続きをしないと、「宛先不明」の郵便物として返送されてしまう場合があります。転居届の詳細は問い合わせてください。

参考:「合格発表について」厚生労働省

③必要書類・印紙の準備

上述の「薬剤師免許に必要な書類など」で自分に必要な書類を確認しましょう。人によって必要書類は違うので、注意してください。

同時に、収入印紙30,000円分を準備し、薬剤師免許申請書に貼付します。詳しくは上述の「印紙」をご確認ください。

提出前に書類の記入漏れや不備がないか十分確認しましょう。不明点があれば所轄の保健所に問い合わせるのがよいでしょう。

④最寄りの保健所窓口で薬剤師免許の申請

住所地の最寄りの保健所(もしくは都道府県庁)へ申請します。申請先は下記の厚生労働省のページにありますので、確認しましょう。

参考:「都道府県別薬剤師免許申請受付窓口一覧」厚生労働省

窓口が分からない場合は、都道府県庁の薬剤師免許担当に問い合わせて下さい。

書類は「申請書」「診断書」「戸籍抄(謄)本(または住民票の写しか住民票記載事項証明書)」の順に重ね、左上をホチキスで留めましょう。受付窓口では合格証書原本を提示し、申請書に記載された合格証書番号との照合も行われます。提出書類に不備があると、薬剤師名簿登録までに時間がかかることになるので、提出前に必ず確認しましょう。

⑤厚生労働省の審査を待つ

薬剤師免許申請後、都道府県庁から厚生労働省に書類が送られ、審査が始まります。審査に通ると薬剤師名簿に登録され、免許証が厚生労働省から都道府県庁に発送されます。
各手続きでかかる期間は、以下のとおりです。

 薬剤師名簿の登録は申請から約2か月
 登録済証明書の交付は申請から約2か月で本人に直接郵送される
 都道府県庁へ免許証が発送されるのは薬剤師名簿登録から約1~2か月

参考:「薬剤師免許の申請手続きについて」マイナビ薬剤師

審査期間中に住所変更があれば速やかに申請先に連絡してください。免許証受け取りまでの間、合格証書を大切に保管しましょう。

⑥免許証の受け取り

薬剤師免許証は、厚生労働省から都道府県庁へ一括で発送されることになっています。

免許証の受け取りは、申請窓口での受け取りか、郵送対応ですので、申請の際にどうなるのか確認しておきましょう。本人のところに免許証が届くまで、最長で申請から5か月程度かかることがあるので、余裕を持って申請するのが大切です。

免許証を受け取ったら、記載内容に誤りがないか確認しましょう。また、薬剤師として勤務する際は、免許証の写しを提出する必要があるため、複数部コピーを取っておくと便利です。

薬剤師免許申請に関するよくある質問

薬剤師免許申請に関するよくある質問をまとめてみました。あなたの疑問が解決する可能性があるので、読んでみてください。

薬剤師免許はどこで発行される?

薬剤師免許の申請先は最寄りの保健所などですが、審査や薬剤師名簿への登録、薬剤師免許証の発行は厚生労働省が行います。厚生労働省が発行した薬剤師免許証は一括して都道府県庁へ送付されます。免許証は全国共通で、どの都道府県でも有効です。

診断書はどこでもらう?何科?

健康診断書はどこの診療科でも書いてもらえます。通学している大学で健康診断を受けている場合は大学でも発行してもらえます。様式は厚生労働省ホームページにもあるので、必要な方はダウンロードして、使ってください。

参考:「診断書」厚生労働省

診断書には精神障害や麻薬中毒でないことの証明が必要です。薬剤師として就職することが決まっている場合、合格発表から、4月1日の業務開始までのわずかな期間に免許申請を終わらせる必要がありますそのため、合格発表前から準備をしておくと安心です。

免許受け取りは本人がすべき?代理人は可能?

都道府県によって対応が異なります。本人の都合がつかず、代理人の方が受け取りたい場合には、事前に問合せされることをおすすめします。

受け取りの際には、内容確認などの必要があるので、名前に使用する漢字など詳しい事情を理解している人でないと難しいかもしれません。また、委任状や代理人の本人確認書類の準備なども忘れないようにしましょう。

代理人受け取りが認められない場合は、本人が受け取れる日程を調整するか、郵送での受け取りが可能か確認してください。

薬剤師免許はいつ発行される?

薬剤師免許証は、本人の手元に届くまで、最長で申請から5か月程度の期間が必要です。受け取りは申請窓口か、郵送での対応ですが、余裕を持って申請するのが大切です。

薬剤師免許が業務に必要で早く欲しい方は、申請時に登録済証明書を依頼しましょう。登録済証明書は申請から約2か月後に本人に直接郵送されます。

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まとめ

この記事では、薬剤師免許の申請について、必要書類や申請の仕方について、解説してきました。国家試験に合格しただけでは、まだ薬剤師ではないので、薬剤師業務をするには、免許申請をし、薬剤師免許証をもらう必要があります。

薬剤師免許証申請のためには、薬剤師免許申請書や診断書、戸籍謄本などの必要書類をそろえたり、印紙を購入したりして、最寄りの保健所などに出向かなければなりません。必要書類の種類によっては、入手に手間や時間のかかるものもあります。

また、申請後の処理期間や免許証の受け取り方法についても確認しておくと安心です。不明点は事前に問い合わせましょう。
スムーズに薬剤師免許証がもらえるように、国家試験が終了したら、必要書類などの準備を始めましょう。

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