管理薬剤師は高年収?年収以外のメリットや注意点についても解説

管理薬剤師は、医薬品を扱う店舗・拠点で医薬品管理や従業員の監督を担う現場責任者です。管理薬剤師になると店舗の運営・経営にも関与し、責任が重くなる分、年収アップが望めます。

この記事では、収入面を含めたメリットと管理薬剤師を目指す際の注意点をご紹介します。

管理薬剤師とは

管理薬剤師は、薬機法上で医薬品を取り扱う店舗や拠点ごとに1名の配置が義務付けられた役職です。管理職として一般薬剤師では行えない業務も担います。主に調剤薬局やドラッグストア、製薬会社などで配置されています。

管理薬剤師になるための必須要件は特にありませんが、2019年 (令和元)の薬機法改正で、「実務経験が5年以上あること」と「認定薬剤師資格の保有」が推奨されるようになりました。

一般薬剤師に比べて裁量権が大きいうえに求められるスキルも多いため、年収が比較的高い傾向があります。

管理薬剤師の年収

厚生労働省は、管理薬剤師と一般薬剤師の平均年収を次のように試算しています。

管理薬剤師 約720万円
一般薬剤師 約580万円

このデータからも、一般薬剤師と比較して管理薬剤師は高い年収が見込めることがわかります。

出典:「第23回医療経済実態調査」(厚生労働省)
出典:「令和3年賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)

一般薬剤師と管理薬剤師の収入差に大きく関わるのが役職手当です。管理薬剤師手当は3〜6万円程度が目安といわれており、業種や企業規模などによって異なります。

なお、薬剤師の年収は勤続年数や地域でも差があります。これらの点を考慮したとしても、管理薬剤師の場合は600万円前後の年収が期待できるでしょう。

管理薬剤師の仕事内容

管理薬剤師の職場は調剤薬局やドラッグストア、製薬企業など多岐にわたり、それぞれに仕事内容が異なります。以下では管理薬剤師の主な仕事を4つご説明します。

医薬品の管理

勤務先の店舗や拠点で取り扱う医薬品の在庫管理・品質管理を行います。実際には次のような業務です。

・在庫数の確認と見直し
・不良品の処分
・医薬品の適切な保管・陳列

麻薬や向精神薬などを扱う職場では、届け出と保管も重要な仕事です。医薬品工場に勤務する場合は、製造工程の監督や許可申請も行います。

以上の業務を行うため、管理薬剤師には医薬品や法令、数値管理に関する知識が求められます。

ほかの薬剤師・従業員の監督

一般薬剤師やスタッフの監督・指導も管理薬剤師の仕事です。具体的には、法令遵守の状況、接客・情報提供などが適切に行われているかをチェックします。

調剤薬局やドラッグストアでは、シフト管理を担う場合も少なくありません。クレーム処理をはじめ、ほかの薬剤師や従業員では困難な対応も任されます。

このような業務には、マネジメントスキルやコミュニケーション能力のほか、法令遵守のための法的知識も必要です。

患者・医薬品使用者への対応

一般薬剤師と同じく、調剤業務にも従事します。適正な使用を目的とした医薬品情報の提供・服薬指導のほか、副作用の相談・苦情の受付、医療機関の受診勧奨などを行います。

製薬企業では、医薬品に関する情報を収集・管理し、必要に応じて医療従事者や医薬情報担当者(MR)などに提供するDI業務 を管理薬剤師が担います。

こうした業務には、コミュニケーション能力や情報収集力が欠かせません。さらには、緊急安全性情報をはじめとする必要な医薬品情報が入手できる体制を整えておくことも重要です。

薬局開設者への意見申述

薬機法により、管理薬剤師は業務体制に保健衛生上の問題があると判断した場合、薬局開設者等に意見を述べなければいけません。薬局開設者等は申述された意見を尊重し、必要であれば、適切な措置を講じる義務が定められています。

管理薬剤師は、薬事に関する法令や実務の知識を持つうえに、調剤薬局やドラッグストアでは、ほかの薬剤師・スタッフから報告を受ける立場にあります。業務体制の問題点や改善点を把握しやすい立場にいるため、意見申述の役割が期待されています。

出典:「『薬局開設者及び医薬品の販売業者の法令遵守に関するガイドライン』について」(厚生労働省)

管理薬剤師として年収アップを目指す際の注意点

収入アップや裁量権が望める一方で、管理薬剤師ならではのデメリットもあります。

続いて、管理薬剤師を目指すうえで事前に確認しておきたい注意点について詳しく見ていきましょう。

仕事の負担が増える

収入が増え、責任ある立場になる分、業務負担は増大する傾向にあります。一般薬剤師の業務に、管理薬剤師のみが行える品質管理、従業員の指導・監督、売上や人件費などの数値管理も加わるからです。

業務量が増えれば、必然的に勤務時間は多くなります。シフト管理も担う職場では、人手不足の埋め合わせで出勤を余儀なくされることも少なくありません。さらには、クレーム対応の機会も増加します。

副業ができない

管理薬剤師は、薬剤師としての副業が原則禁止されています。一般の薬剤師に見られる薬局の「かけもち勤務」はできず、1カ所のみでの勤務が基本です。

ただし、薬局の所在地である都道府県知事の許可を受けた場合は例外です。具体的には、非常勤の学校薬剤師や、へき地の薬局で人材確保が難しい場合などに許可を得られる可能性があります。

なお、薬事とは無関係の副業であれば問題ありません。

出典:「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第七条」(厚生労働省)

年収アップ以外で管理薬剤師を目指すメリット

年収アップ以外で管理薬剤師になるメリットは、以下のとおりです。

スキルアップにつながる

どの職場でも、一般薬剤師より高度な知識やスキルを求められるのが管理薬剤師です。業種によって仕事内容や責任の範囲は異なりますが、管理職として多くの経験ができることから、スキルアップを目指したい人に適した役職だといえます。

調剤薬局やドラッグストアでは、店舗運営・経営に関わる機会もあり、薬局経営のノウハウや法律の知識も身に付きます。

自信につながる

責任ある役職で専門的知見を生かした仕事ができるため、自信を持てるようになるのもメリットのひとつです。患者やスタッフに頼られる機会を通じて、自己の成長や貢献の実感も得られるでしょう。

また、薬局開設者からは意見やアドバイスを求められる立場にあるため、仕事のやりがいも生まれるはずです。

キャリアアップにつながる

人材育成やマネジメントの経験を積んだ薬剤師は、業種・職種を問わず、貴重な人材として評価されます。転職市場での価値がアップし、転職時の選択肢が広がります。

調剤薬局やドラッグストアでは、管理薬剤師を経験後にエリアマネージャーを任されることも少なくありません。また、治験コーディネーターや工場・倉庫の管理者など、薬局・医薬品販売以外の選択肢もあります。

経験と実力次第でキャリアアップが望めるのも管理薬剤師の魅力だといえるでしょう。

以下の記事では、キャリアチェンジ・キャリアアップを目指す薬剤師が転職先を探す際に役立つ情報をお伝えしています。ぜひご覧ください。

薬剤師は薬局だけじゃない!おすすめの転職先と探す方法について解説

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まとめ

管理薬剤師の平均年収は約720万円です。勤続年数や地域にかかわらず、600万円前後の年収が期待できます。管理薬剤師になると、以下のようなメリットを享受できます。

・年収アップが期待できる
・自分の仕事に自信が持てるようになる
・スキルアップ・キャリアアップにつながる

一方で、副業の禁止に加え、仕事の負担が増える傾向もあります。管理薬剤師を目指す際は、メリット・デメリットの両方を検討した上で転職活動を進めましょう。

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