薬剤師の仕事は大きな責任が伴いますが、同時に多くの魅力や、やりがいを感じられる職業といえます。また、仕事への「やりがい」を見出すことは充実した日々を過ごすうえでとても大切です。
現在、薬剤師として働く方の中には、毎日が多忙でモチベーションが保てない、という人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、薬剤師の職場ごとにやりがいが得られる瞬間や、仕事のモチベーションが上がらないときの乗り越え方について詳しく紹介します。
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薬剤師の仕事はどんなところにやりがい・魅力を感じる?

薬剤師業務に励んでいる人はたいてい誇りを持って働いています。薬剤師の仕事のどんなところにやりがいや魅力を感じているのでしょうか。ここでは薬剤師の仕事のやりがいや魅力のうち、多いもの7つを紹介します。
役に立てる・感謝される
薬剤師の仕事の最大の魅力は、健康を支える専門家として、患者さんや地域住民に直接、役立てることです。薬の正しい使い方を説明し、副作用の不安を和らげ、服薬アドヒアランスを向上させることで、患者さんの治療をサポートできます。
たとえば、ある薬剤の副作用のために別の薬剤が追加され、別の医療機関で似たような薬剤が始まり…というように、どんどん薬が増え、有害事象のリスクが高まる「ポリファーマシー」は、高齢社会の進む日本では大きな問題です。
安全に薬剤を使用するためには、なぜ薬剤の処方が始まっているのか、不要なものはないかなど、経過を細かくチェックしてフォローしなければなりません。薬剤師が複数の医療機関の医師と調整をおこなうことで、患者の安全につながるだけでなく、飲みやすさ・管理のしやすさも実現できます。
「あなたに相談して良かった」「説明が分かりやすかった」という言葉をいただけることは、この仕事ならではの喜びです。
患者さんに寄り添え、長く関われる
かかりつけ薬剤師として患者さんと継続的な関係を築けることは、大きなやりがいになります。
定期的に来局される患者さんの体調の変化に敏感に気づき、生活習慣の改善をアドバイスしたり、お薬の悩みに耳を傾けたりと、医療人として深く寄り添えます。
パーキンソン病や心不全のように経過の長い疾患では、とくに薬剤師のサポートが不可欠です。長期的に患者さんと関わっているからこそ、「少し動きが悪くなっている」「いつもより呼吸が苦しそう」などの変化に気がつき、的確に薬剤の提案ができるようになります。
生活の状況を知っているからこそ、その人に合った管理方法や服薬支援も可能になるでしょう。
信頼関係を築きながら、患者さんの人生に寄り添える関係になれることは貴重な経験です。
知的好奇心を満たせ、専門職として成長し続けられる
医療は日進月歩で変化し、薬や治療法は日々新しいものが出続けます。
薬剤師は常に最新の医学・薬学知識を学び続ける必要があり、そのことで自分の知的好奇心を存分に満たせます。また、専門・認定薬剤師などの資格取得を通じて、より高度な専門性を身につけることもできるでしょう。
学び続けることで、専門職としての成長を実感できるのです。
チーム医療の一員として医療に貢献できる
現代の医療は、多職種が協力して患者さんをサポートするチーム医療が基本です。
薬剤師は薬物療法の専門家として、医師・看護師・他の医療スタッフと密接に連携します。処方内容の確認や疑義照会、副作用のモニタリング、服薬指導など、チーム医療における重要な役割を担うことで医療に貢献できるのです。患者さんの安全で効果的な治療を支えています。
治療方針を決定するのは医師ですが、相互作用などをすべて知っているわけではありません。
たとえば、肺がんの患者にエルロチニブの投与を開始する際に、他院からランソプラゾーが処方されていたとします。エルロチニブは、PPIとの併用でAUCが大きく減弱するため、抗がん剤治療が失敗する危険性があります。この場合は、PPIの必要性について医師と協議し、中止できるよう調整が必要です。
「薬剤師が医師と連携することで、より良い医療を提供できる」ということを、実感していただけるのではないでしょうか。
予防医療やセルフメディケーションに貢献できる
薬剤師は治療だけでなく、予防医療においても重要な役割を果たせます。OTC医薬品の選択支援や健康相談、セルフメディケーションのアドバイスなどを通じて、地域住民の健康維持・増進に貢献できます。
コロナ禍では、自宅療養をする方が増えました。それぞれの持病や家族構成などを加味した上で、療養に必要な市販薬を提案したという薬剤師の方もいるのではないでしょうか。一人ひとりが安全に健康管理するためにも、薬剤師によるセルフメディケーションのサポート、必要に応じた受診勧奨が大切になります。
また、健康サポート薬局として、地域の健康づくりの拠点となることも可能です。健康フェアや健康相談会などのイベント企画を通じて、地域の健康意識向上にも貢献でき、自身のスキルアップもできるでしょう。
多様なキャリアパスを選択できる
薬剤師という資格を活かせるフィールドは実に多様です。
調剤薬局や病院薬剤部はもちろん、製薬企業のMR・開発職・学術、行政機関での薬事監視員、大学・研究機関での研究職など、様々な選択肢があります。
また、それぞれの分野でスペシャリストとしてのキャリアを築くこともできます。
さらに、独立して薬局を経営したり、企業の健康管理室で活躍したりすることも可能です。
薬剤師としてのキャリアは、管理薬剤師や薬剤部長など「マネジメント職」を目指すパターンと、認定・専門薬剤師を取得して「専門性」を重視するパターンに大きく分かれるでしょう。
マネジメント職には、所属する施設の利益や、診療報酬に基づいて国が求める業務にどう取り組んでいくかといった視点が必要です。自身の専門性を高めていくことで、より高度な介入で患者へ直接的に貢献できるため、やりがいは大きくなります。
ライフステージに合わせて長く働ける
薬剤師は、結婚・出産・育児などのライフイベントに適切に対応して柔軟な働き方を選択できる職業です。
パートタイム勤務や当直のない職場、在宅業務など、多様な勤務形態があり、自分のライフスタイルに合わせて仕事を継続できます。また、年齢を重ねても経験を活かして活躍できる職業です。
ワークライフバランスを重視しながら、長期的なキャリアプランを描けることも魅力です。
【職場別】薬剤師の仕事のやりがいと魅力

薬剤師は、病院やドラッグストアのみならず、さまざまな種類の勤務先があり、職場によって得られるやりがいは異なります。
病院や調剤薬局では、「自分の提案で患者の症状が改善した」「それによって患者から感謝してもらえた」といったことがモチベーションとしてよく挙げられます。
製薬会社であれば、「MRの仕事を通して、多くの患者の未来をより良いものへ変えることができた」など、間接的ではあるものの大きな達成感が得られるでしょう。
在宅医療も、「自宅で穏やかに過ごすサポートができた」など、特有のやりがいがあります。
一人ひとり、満足を感じるポイントはさまざまです。自分がどのようなシーンに達成感を感じやすいのか、どのような薬剤師を目指したいのかによって、向いている業種もわかってくるでしょう。
ここでは、具体的に以下の6つの職場に分けて、薬剤師のやりがいについて紹介します。
● 調剤薬局
● 病院
● 製薬会社
● 行政機関
● 在宅医療
1:ドラッグストア|OTC薬の専門家としてセルフメディケーションを支える
ドラッグストアで働く薬剤師は、OTC医薬品や健康食品、サプリメントの販売をとおして、お客様の健康に役立つ製品についてアドバイスすることが主な仕事です。
特にOTC医薬品はさまざまな種類があるため、どの医薬品を買えばいいのか迷ってしまうお客様は多いものです。
その際、薬剤師はお客様の症状をヒアリングした上で、適切な医薬品を紹介します。自分の判断でお客様の症状に合った薬を選べることが、ドラッグストアで働く薬剤師のやりがいです。
とはいえ、お客様の症状や飲み合わせ、副作用を考慮しなければならないため、あえて特定の薬を推奨しない場合もあり、責任は重大です。腎臓病のある方や高齢の方に、ロキソプロフェンはおすすめできません。
また、前立腺肥大症のある方には、一部の総合感冒薬が使用できません。頻繁に咳止めを購入する方は、依存の心配もあり、受診勧奨が望ましいでしょう。お客様の希望どおりに医薬品を販売するのではなく、薬剤師として正しい情報提供が重要です。
街中や近所にあるドラッグストアを頼りにしているお客様は多くいます。近年は病気にならないよう健康な状態を保つ「予防医療」や自身で健康を管理する「セルフメディケーション」の動きが顕著になっています。
そのため、今後ドラッグストアの薬剤師はお客様から薬の使用方法だけでなく、健康管理に関するアドバイスも求められるでしょう。
お客様の日常に寄り添い、健康を守る大切な役目を果たせる点が、ドラッグストアならではのやりがいといえます。また、ほかの業種と比較して、給与が高い傾向にある点も魅力です。
2:保険・調剤薬局
調剤薬局では、処方箋をもとに薬を正しく調剤し、患者に対して服薬指導や健康に関するアドバイスを行います。近年は在宅医療が推進されている背景から、高齢者の家や施設を訪問しているところも増えてきました。
調剤薬局は地域に根差しており、働く薬剤師は地域の患者にとって身近な相談相手となります。患者一人ひとりと向き合い、回復のサポートをするため、地域医療の最前線で活躍できる点が調剤薬局で働く魅力といえるでしょう。
地域連携薬局やかかりつけ薬剤師の配置など、より地域医療への貢献に力を入れている調剤薬局もあり、多様な専門性を活かせるのも特徴です。
在宅医療では、医師や看護師と情報を共有しながら、患者のプロブレムを解決していくという独特の苦労・やりがいがあります。便秘・不眠・褥瘡などは、薬剤だけでなく、日中の環境調整やリハビリ、医療材料の選択など、さまざまな観点からのアプローチが必要です。
複合的なアプローチで改善につながった場合に、大きな達成感が得られます。
3:病院・クリニック
病院で働く薬剤師は、カルテで患者の状態を確認しながら、処方監査・調剤を行っていきます。
病棟業務では患者のベッドサイドまで出向くこともあり、コミュニケーション能力は欠かせません。
求められるスキルは高いものの、病院はチーム医療に携わることができる点が魅力です。医師や看護師などの職種と連携し、最適な医療ケアを提供していくため、薬剤師としてスキルアップできる環境にあります。
また、医師や看護師から薬に関する相談を持ちかけられることもあるため、常に最新の治療方法や薬剤の知識を勉強していく必要があります。
病院ではドラッグストアや薬局では扱っていないハイリスク薬にも触れる機会があるので、幅広い薬の知識を身につけられるのもメリットです。
入院中には、新しい薬の追加や変更は頻繁に発生します。たとえば、ネフローゼ症候群の治療で入院してきた場合、ステロイドの導入に加え、効果不十分の場合にはシクロスポリンやリツキサンの導入も予測されます。
このように次のステップを予測しながら、相互作用の情報をあらかじめ共有するなど、先手を打った介入・処方提案ができるのは、病院ならではのやりがいと言えるでしょう。
4:製薬会社・メーカーなどの企業
製薬会社で働く薬剤師は、主に以下の職種で働くことができます。
● MR(医薬情報担当者)
● 臨床開発
● 学術研究院
● 管理薬剤師
医療は必ずしも現場だけで成り立っているわけではありません。製薬会社のように医療現場を支えるのも、医療の一部なのです。
製薬会社では、新薬の開発や普及により、多くの人の命や健康に貢献できます。患者と直接的に接する機会はほとんどありませんが、医療機関で薬剤師として関わるよりも多くの方の治療に貢献できる点が、大きなやりがいとなるでしょう。
たとえば、開発メーカーであれば新薬開発に携わり、自分の力で医薬品を普及させることが可能です。医療の発展が自分たちの成果にかかっているという、まさに医学・薬学の最前線の仕事といえます。また、MRは薬に関する知識を提供することで、医師や看護師からの信頼を得て、患者の治療・QOLの向上に関与することができます。
直接患者とかかわる機会は少ないものの、間接的に患者の健康に寄与していることに対して、やりがいを感じられます。また、製薬会社は給与が高い傾向にあります。給与が高い分、仕事へのモチベーションも上がりやすいでしょう。
5:行政機関
自治体の保健所や検疫所で働く薬剤師は、主に担当地域の保健や衛生面の監督業務に携わります。例えば、飲食店への監査や、ドラッグストアや調剤薬局への立ち入り検査も、行政機関で働く薬剤師の仕事です。
患者など一般人に直接指導をする機会は多くありません。ただし、食品衛生や薬事衛生など、幅広い視点から健康の促進に貢献できる点が、行政機関ならではのやりがいです。
さらに、公務員という立場から、地域の実情を踏まえた条例や規制の整備、災害時における医薬品供給体制の確立、感染症流行時の対応など、社会全体の仕組みづくりにも関わります。これらは一人の患者への支援ではなく、国民全体の健康を守る基盤を築く活動であり、大きな社会的意義を持つ役割です。
医療現場に立って患者に寄り添う働き方とは異なりますが、地域に暮らす人たちの安全を守るだけでなく、将来にわたる公衆衛生の基盤を整えるという重大な責務を担っていることが、公務員薬剤師特有のやりがいといえるでしょう。
在宅医療
在宅医療に携わる薬剤師の仕事は、患者さんの生活の場に直接訪問してケアを提供できる点が大きな特徴です。
医療依存度の高い患者さんやご家族の不安に寄り添い、きめ細やかな服薬指導や薬学的管理をします。また、医師や訪問看護師など多職種と密に連携しながら、患者さんの状態に合わせた薬物療法を提案できます。
さらに、患者さんの生活環境を実際に確認できるため、より実践的な服薬支援や残薬管理、医療機器の使用方法の指導なども可能です。
在宅の現場でしか得られない経験を通じて、薬剤師としての専門性を深められることも大きなやりがいとなっています。
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薬剤師がやりがいを感じられなくなる6つの原因

薬剤師業務は、ちょっとしたきっかけでやりがいや魅力を感じなくなる場合があります。どんな場合に薬剤師業務にやりがい・魅力を感じなくなるのでしょうか。
業務の内容や量、給与、キャリアの不透明性などは想像しやすいかもしれません。転職理由でも、業務量の多さや給与の低さを挙げる方が多くなっています。
さらに、医師や看護師など他職種との関係性・立場の低さなどから、薬剤師としての専門性をうまく発揮できないことも、やりがいを見失う原因の1つです。
ここでは、薬剤師のやりがい・魅力を感じなくなる、よくある原因を6つ、紹介します。
業務の単調・マンネリ化
日々の業務が処方箋の受付、調剤、服薬指導の繰り返しとなり、専門性を十分に活かせていないと感じることがあります。特に多忙な環境では、処方箋をこなすことが優先され、患者さん一人ひとりに向き合う時間が限られがちです。
また、機械的な業務の繰り返しにより、やりがいを見いだせなくなったり、専門職としての成長を実感できなくなったりすることもあります。このような状況が続くと、薬剤師としての本来の役割を見失いかねません。
過度な業務量と時間的プレッシャー
人手不足による過大業務は、薬剤師の大きな悩みの一つです。処方箋の処理をできるだけ早く行わなければならないプレッシャーの中、十分な服薬指導の時間が取れず、患者さんへの対応が不十分になってしまうこともあります。
業務負担が大きくなることで患者の待ち時間が増え、クレームにつながり、精神的な疲労でモチベーションの低下を招くケースも少なくありません。「急がなければ」というプレッシャーは、若手薬剤師が業務に辛さを感じる大きな要因となっています。
また、残業が常態化し、労働時間が長くなりがちです。このような状況では、仕事の質が低下するだけでなく、メンタルヘルスにも影響を及ぼす可能性があります。
他職種との連携不足や立場の弱さ
チーム医療において、医師や他の医療スタッフとの連携は不可欠です。しかし、コミュニケーション不足により、処方提案や疑義照会がスムーズに行えず、薬剤師としての専門的な意見が十分に反映されないことがあります。
医師とその他の医療従事者は対等な立場という考えが広まってきてはいますが、やはり医師がリーダーシップを取る場面は多いです。薬剤師としての意見が受け入れられない場合もあるのが現実ですが、やるせない気持ちになってしまうこともあるでしょう。
また、他職種との情報共有が不十分なため、患者さんに最適な医療を提供できていないと感じることもあるかもしれません。このような状況は、専門職としての存在意義を見失わせる原因となり得ます。
給与・待遇への不満
薬剤師が調剤量を間違えれば、最悪の場合、患者の命に関わってしまいます。そのような重大な責任がある一方で、拘束時間に対する給与の低さや、昇進機会の少なさは、モチベーションを低下させる要因となっていることが多いです。
薬剤師としての評価も、勉強しているかどうかとは関係しない部分もあり、不透明さから不満を溜めてしまう方もいます。
医師との力関係や立場の弱さ
薬剤師としての意見を医師に伝えても、その意見を取り入れるかどうか判断するのは医師の責任になります。
結果として、調べたこと、疑義照会をした内容が反映されないことは少なくありません。薬剤師の仕事の性質上、医師からの指示を待つということも多いです。
自発的・主体的におこなえる業務が少ないと感じると、やりがいを見失ってしまうこともあるかもしれません。
患者さんとの関係がうまく築けない
多忙な業務の中で、患者さんと十分なコミュニケーションを取る時間が確保できず、表面的な関係に留まってしまうことがあります。また、服薬指導時に患者さんの理解度や不安をしっかりと把握できないまま、一方的な説明で終わってしまうケースもあるかもしれません。
このような状況では、患者さんからの信頼を得ることが難しく、薬剤師としてのやりがいを感じにくくなります。
また、理不尽なクレーム、無理な要求などで疲弊してしまうケースも、耳にしたことがあるでしょう。どのような職業でも、患者(顧客)との信頼関係の構築は簡単ではありません。
過去の経験から医療者に不信感を持っている方もいます。とはいえ、患者と関係性を築けない場合、モチベーションを維持するのが難しいと感じやすいです。
キャリアビジョンを明確に持てない
薬剤師としての将来のキャリアパスや成長の方向性が見えづらく、将来に対する漠然とした不安や停滞感を感じることがあります。特に、経験を重ねても役割や待遇に変化がない場合、モチベーションの低下につながることもあるかもしれません。
また、専門・認定薬剤師などの資格取得を目指したいものの、業務との両立が難しく、具体的なキャリアプランを描けない可能性も考えられます。
日々の業務に追われ、知識・スキルを更新できない
医療の進歩は目覚ましく、常に新しい知識やスキルの習得が求められています。
しかし、日々の業務に追われ、勉強会や研修会への参加機会が限られてしまうかもしれません。仕事だけでなく、家事や子育て・介護など、個々にさまざまな事情があり、勉強時間の確保は薬剤師全員の課題とも言えるでしょう。
新薬や治療法に関する情報収集の時間が十分に確保できず、専門職としての知識やスキルの更新が滞りがちなこのような状況は、薬剤師としての自信や専門性の低下につながる可能性があります。
医師や患者から薬剤について質問されても即答できす、「すぐわからないなら、自分で調べます」と言われてしまった…そんな方もいるのではないでしょうか。
薬剤師のやりがい・魅力を感じられない時の対処法

薬剤師として働いていく中で、やりがいや魅力を見失ってしまう時もあるかもしれません。
すぐに気持ちを切り替えられれば良いですが、ネガティブな気持ちを引きずってしまうこともあります。どうしても働く意味を感じることができなくなった場合は、以下の方法を取ってみましょう。
● 感謝された時の気持ちを思い出す
● 同僚や友人に相談して客観的な視点を得る
● 新しい目標を設定してモチベーションを高める
● 別の職場への転職も視野に入れる
● 専門性を深める機会を自ら作る
● 業務の効率化を図る
● 他施設の薬剤師とのネットワークを広げる
勢いで仕事を辞めて後悔することのないように、まずは現状を把握した上で行動に移すことが大切です。
休暇でリフレッシュする
休暇をとり、心身のリフレッシュをはかることで、「今まで悩んでいたのはなんだったのか」と思うほど気分が変わることもあります。
疲労が溜まると、ネガティブな気持ちになりやすいです。休暇で仕事から離れ、疲労を回復させるとともに、自分のこれまでの経験、将来などについて客観的な視点で考え直すことで、モチベーションを取り戻せるかもしれません。
感謝された時の気持ちを思い出す
やりがいを見失ってしまったときは、患者や医療従事者から感謝された経験を振り返ってみてはいかがでしょうか。初心に戻ることができ、また、やりがいを再発見したり、使命感を回復させたりできるでしょう。
同僚や友人に相談して客観的な視点を得る
やりがいや魅力を感じられなくなった時は、一人で抱え込まず、同僚や友人に相談することをおすすめします。
特に、同じ薬剤師として働く仲間は似たような経験をしていることも多く、具体的なアドバイスをもらえる可能性があります。話すことで課題が浮き彫りになり、解決に向かいやすくなります。
また、悩みを共有することで気持ちが楽になったり、新たな視点を得られたりすることもあるでしょう。相談を通じて自分の状況を客観的に見つめ直すことで、問題解決のヒントが見つかることもあるかもしれません。
他施設の薬剤師に相談することもおすすめです。自身の環境が客観的にみてどうなのか、他と比較してアドバイスをしてもらえます。
新しい目標を設定してモチベーションを高める
目標を失うと日々の業務がマンネリ化しやすくなります。
例えば、専門・認定薬剤師の資格取得を目指したり、特定の疾患や治療法について深く学んだりするなど、具体的な目標を設定することで、新たなモチベーションを見出せます。
また、短期目標と長期目標をバランスよく設定することで、達成感を得ながら着実にスキルアップを図ることが可能です。
「次に見たときにわかりやすい薬歴を書く」など、毎日少しずつ実践できる目標と、「◯年後に◯◯認定薬剤師になる」といった長期的な目標を設定してみてください。目標に向かって努力する過程自体が、新たなやりがいにつながります。
たとえば、資格を取得するなら、以下のものがおすすめです。
● 介護支援専門員(ケアマネジャー)
● サプリメントアドバイザー
● 認定女性ヘルスケア専門薬剤師
資格取得には費用も時間もかかるため、ハードルが高く感じ、なかなか踏み出せない方もいるかもしれません。企業によっては、資格取得の支援制度を設けていますので、調べてみてはいかがでしょうか。
今の働き方にやる気を見出せないなら、新しいやりがいを探すのも大切です。
別の職場への転職も視野に入れる
現在の職場環境がやりがいを感じにくい状況の場合、転職という選択肢も検討する価値があるでしょう。
たとえば、病院、調剤薬局、企業など、異なる環境で働くことで新たな刺激や成長の機会を獲得できる可能性があります。
なお、転職を考える際には、現在の職場での経験や人間関係を十分に判断した上で、慎重に行うことが大切です。また、転職サイトや薬剤師の口コミなどで情報収集をし、自分に合った職場を見つけることが重要です。
専門性を深める機会を自ら作る
日々の業務に追われていると、学習機会を逃しがちです。しかし、オンラインセミナーや学会への参加、専門書購読など、自ら学習の場を積極的に作ることで専門性を高められます。分野を見つけて深く掘り下げることで、その分野のスペシャリストとして認められる喜びも得られます。
特に、在宅医療や漢方、認知症ケアなど、特定の領域に注力することで、新たなやりがいを見つけられることもあるでしょう。自信とモチベーションの向上につながります。
時間の捻出、費用など、ハードルは高いかもしれません。資格取得の支援制度がある職場も多いですので、活用してみましょう。同じ資格を目指す仲間がいると、モチベーションを維持しながら勉強を続けられます。
業務の効率化を図る
日々の業務を見直し、効率化できる部分を改善することで、より質の高い患者対応の時間を確保できます。
たとえば、調剤業務の手順の見直しや在庫管理システムの改善、服薬指導の記録方法の工夫などに取り組むことで、業務の無駄を減らすことができるでしょう。また、スタッフ間で情報共有することで、チームとしての効率も上がります。
このことはより充実した薬剤師業務に繋がるだけでなく、場合によっては、自身の評価に結び付く可能性もあります。
他施設の薬剤師とのネットワークを広げる
勉強会や研修だけでなく、SNSなどでも、他の施設で働く薬剤師との交流を持つことは、新たな視点や知識を得る貴重な機会となります。他の施設で働く薬剤師との情報交換は、自分の業務の振り返りや改善のヒントになることもあるでしょう。
また、同じような課題を持つ仲間と出会うことで解決策を共有したり、モチベーションを高めたり、地域の薬剤師会活動への参加などネットワークを作ったりなどの良い機会となります。
学会へ参加し、他の参加者や発表者と繋がるのも良いでしょう。同じ領域に興味を持つ薬剤師同士、相談しあったり、勉強面で高めあったりできるかもしれません。
また、メーリングリストなどを活用するのもおすすめです。たとえば、日本臨床腫瘍学会(JASPO)は学会員限定のメーリングリストがあります。クローズドな環境で悩みを相談することで、課題が明確になり、モチベーションに繋がると思われます。
同じ志を持つ薬剤師との繋がりは、将来のキャリアを考えても心強い存在になるでしょう。
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薬剤師の転職なら、ヤクジョブ
転職を検討する場合には、薬剤師専門の転職エージェント「ヤクジョブ」に登録してみるのは、いかがでしょうか。
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また、転職に向けてこれまでの経験などを話すことでキャリアの棚卸しになり、コーディネーターからの客観的なアドバイスから将来への展望が開けたり、新たなやりがいを見出せたりするというメリットもあります。お気軽に、ご相談ください。
よくある質問
薬剤師がやりがいを感じることは何ですか?
薬剤師としての意見が受け入れられ処方変更につながったとき、また、それによって患者の症状が改善したなど成果を上げることができたときには、大きなやりがいを感じることができます。
薬剤師の魅力は?
薬剤師の仕事は、薬を渡すことだけではありません。
予防(セルフメディケーション)・急性期治療・慢性期治療・在宅療養などさまざまなシーンで人々の健康維持・QOL向上のために働きかけることができる点は、薬剤師の魅力です。
まとめ
薬剤師は、職場の環境によってやりがいや仕事内容が大きく異なります。薬剤師として働く意味を見いだせなくなったときは、周囲へ相談する、もしくは資格取得を目指すことをおすすめします。思い切って休暇をとり、しっかりと心身を回復させることも大切です。
それでも「やはり、やりがいを感じられない」と思うのであれば、転職を検討してみましょう。転職のために自己分析をしたり、キャリアを考え直したりすることも、薬剤師としてもモチベーション回復の助けとなるでしょう。
環境を変えることで、気分を一新して再スタートすることができます。自己分析は、転職エージェントもサポートが可能ですので、ぜひヤクジョブをご活用ください。
楽しく働くためにも、自分から積極的にアプローチして行動することが、やりがいを復活させるカギとなります。