薬剤師における異業種とは?転職するメリットやデメリット・注意点、成功のポイント

薬剤師が異業種に転職するメリットとは?おすすめの転職先7選

薬剤師の職場として、調剤薬局やドラッグストアをイメージする人も多いでしょう。しかし薬剤師の資格を活かせば、企業内薬剤師や公務員など異業種への転職を目指すことも可能です。

今回は異業種へ転職したい薬剤師に向けて、おすすめの転職先を紹介します。また異業種へ転職する際の注意点や成功のポイントも解説しているため、ぜひ参考にしてください。

 

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目次

薬剤師業界における「異業種」とは?おすすめ転職先16選

薬剤師の資格はさまざまな業種で活かせます。ここでは、転職先としておすすめの異業種を挙げていきます。

医薬情報担当者(MR)

医薬情報担当者(MR)は、製薬会社に所属し、医師や薬剤師に対して自社の薬の効能や品質、安全性などを説明する仕事です。特別な資格は必要なく、薬剤師の医薬品に関する知識を十分に活かせます。

ただし薬局や病院に属する薬剤師とは異なり、営業力が必要です。コミュニケーション能力やプレゼンテーション能力に自信がある人は向いているでしょう。

治験コーディネーター(CRC)

治験コーディネーターは、治験の際に進捗管理や被験者のサポートをする仕事です。薬剤師の中でも人気の職業で、転職するために特別な資格はありません。医療従事者や被験者と関わる機会が多いため、高いコミュニケーション能力が必要です。

また類似する職業に、「臨床開発モニター(CRA)」があります。治験を依頼する側の企業をサポートする仕事で、治験コーディネーターと同様に人気があります。

メーカーでの品質管理・品質保証

医薬品や化粧品、日用品などのメーカーにて、品質管理・品質保証職として働く道もあります。薬機法および関連法令にのっとった製品生産・流通が行われているか管理するお仕事です。

研究・開発職に比べて間口が広く、求人によっては未経験者にもチャンスがあるのが特徴です。キャリアチェンジを目指す方は薬事申請職と合わせて求人を探してみると良いでしょう。

公務員薬剤師

公務員薬剤師は国や自治体で働く薬剤師です。国立病院や保健所などで勤務したり、薬事行政関連の業務を行ったりします。ただし、公務員は受験資格に年齢が設定されているため注意しましょう。

公務員は年収が安定しており、住宅手当や扶養手当といった福利厚生も充実しているのが魅力です。安定を求める方には向いているでしょう。

食品衛生監視員

食品衛生監視員には国家公務員または地方公務員の2種類の働き方があり、勤務地や業務内容が異なります。

国家公務員の仕事内容は空港や港での検疫、輸入食品の監視・検査などです。一方、地方公務員は市町村の保健所で飲食店の指導・管理や、食品の相談、衛生教育などを行います。

麻薬取締官

薬剤師の資格があると、麻薬取締官への道も拓けます。麻薬取締官は地方の厚生局にて、麻薬に関する犯罪を取り締まるのが仕事です。外国人と接する機会も多くあり、語学力が必要になることも少なくありません。

麻薬取締官になるには厚生労働省の採用試験への合格が必要です。年に1回の採用試験に合格する必要があるため、転職難易度は高い傾向にあります。

 医薬品卸売業者の管理薬剤師

医薬品卸売業者では、事業所ごとに管理薬剤師の配置が必要です。主な仕事は、法律に基づく薬事管理や医薬品の品質管理、社内研修、医薬品に関する情報管理などです。MRとMSの間に入って仕事をするため、協調性が求められます。

患者が使用する「医療用医薬品」の卸売業者だけでなく、製造原料として使用される「原薬」や「局方品」などを取り扱う化学系の専門商社などで管理薬剤師の求人が出る場合もあります。

ファーマコビジランス(PV)

ファーマコビジランス(PV)は、製薬会社に所属し、医薬品に関するさまざまな有害性情報をMRや開発担当者と連携して収集し、記録・評価する仕事です。

評価した情報は、規制当局である医薬品医療機器総合機構(PMDA)に報告し、医療現場へフィードバックされます。特別な資格は必要ありませんが、薬剤師として培った医薬品に関する知識を活かして医療や患者の安全に貢献することができます。

一般企業の管理薬剤師

調剤薬局で必要な職種というイメージのある管理薬剤師ですが、医薬品などの製造を行う一般企業でも、営業所ごとに必ずひとり配置しなければならないというルールがあります。

一般企業に所属する管理薬剤師の業務内容は、調剤薬局の管理薬剤師とは大きく異なります。デスクワークが中心で、取引先への情報提供や問い合わせへの対応、規制当局への各種申請や立ち入り検査への対応などが業務に含まれます。

臨床開発モニター(CRA)

臨床開発モニター(CRA)も、CRCと同じく治験に携わる仕事です。治験を実施する病院や被験者をサポートするCRCとは異なり、CRAは製薬会社など治験を依頼する側をサポートします。治験を実施する医療機関や医師の選定に始まり、関連書類の作成やモニタリングなど、幅広い業務を担当します。

製薬会社の社員として働く場合もありますが「医薬品開発受託機関(CRO)」に所属し、製薬企業へ派遣されて仕事をする場合もあります。

民間企業の研究職

薬剤師の知識や経験は、民間企業の研究職でも役立ちます。仕事の内容は企業によってさまざまですが、主に自社製品の開発や改良、安全性の調査などを担当します。

薬剤師がもつ医学・薬学に関する知識や、卒業研究などで培った研究・分析のスキルは、製薬会社だけでなく化粧品メーカーや食品メーカー、日用品メーカーなどの民間企業において広く求められています。

ドラッグストアや調剤薬局チェーンの管理部門

ドラッグストアや調剤薬局の現場ではなく、会社本部の管理部門で働く道も存在します。仕事内容は、業績向上のためのさまざまな取り組みや医療機関への営業、商品や医薬品の価格交渉や在庫管理、従業員の教育や採用活動など多岐に渡ります。

状況に応じて一般の薬剤師と同様に店頭や薬局での業務を行う場合もあり、多角的な経営マネジメントが経験できます。

 化粧品メーカー

化粧品メーカーでは、処方開発や安全性の調査研究、薬事申請といった場面で薬剤師が活躍できます。本社だけでなく工場での勤務もあり、薬機法に関わる各種規制に従って安全な化粧品を製造するための管理能力が求められます。

最近は皮膚科医などと化粧品を共同開発するケースも増えており、薬剤師としての専門知識を活かすことができます。

自衛隊

薬剤師が異業種に転職する場合の就職先として、自衛隊も候補のひとつとなります。陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊に所属し、衛生分野の部隊として隊員の健康管理や医薬品の管理などを担当します。

薬剤師として自衛隊に転職するには「自衛隊幹部候補生」の試験に合格する必要があります。試験の受験には20歳以上28歳未満という年齢制限があるため、志望する場合は早めの決断が必要です。

メディカルライター

メディカルライターは、医療に関する文章を作成する仕事です。専門性の高い情報を、正しい日本語で分かりやすく伝えるスキルが求められます。

所属先は幅広く、製薬会社やCRO、医療系の出版社や広告代理店、医療情報を扱うベンチャー企業など多岐に渡り、個人で仕事を受注し、フリーランスのメディカルライターとして活躍する人もいます。

予備校講師

人に教えるのが得意な人は、薬剤師国家試験予備校の講師や医療系専門学校の講師として活躍する選択肢もあります。

これまでの薬剤師としての知識や経験を活かして学生に向けて講義を行ったり、学生からの質問や悩みに回答したりするのが仕事です。講師の雇用形態はさまざまで、正社員として在籍する場合もあれば、アルバイトとして在籍する場合もあります。

 

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薬剤師が異業種に転職する際の注意点・デメリット

異業種への転職にはさまざまなメリットがありますが、気をつけるべき点もあります。ここでは、薬剤師が異業種へ転職する際の注意点4つを押さえておきましょう。

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薬局などと比べて求人数が少ない

薬剤師の求人情報は調剤薬局やドラッグストアは多くあるものの、MRや治験コーディネーター、品質管理・品質保証職などは求人数が少ない点に注意しましょう。

またどの求人も応募者が集中する傾向にあります。求人数や採用の機会が少ない職種ほど倍率もアップし、転職するのは簡単ではありません。

業種によっては仕事内容がハードになる

業種にもよりますが、異業種に転職すると異動や残業が増え、前職よりも仕事内容がハードになる可能性があります。

勤め先によっては転勤・出張が発生します。プライベートや家庭を大事にしたいと考えている薬剤師は、「調剤薬局の方が良かった」と後悔する可能性もあるでしょう。仕事内容や転勤の有無は、入社前にきちんと調べておくことが大切です。

 年収が下がる可能性がある

薬剤師が異業種へ転職すると、未経験からのスタートとなるのに加え、薬剤師手当が付かない企業もあり、一時的に年収が下がる可能性があります。とくに、初任給が高いドラッグストアからの転職では、年収が下がりやすい傾向にあります。

ただ、年収は転職先次第な部分が多く、一概に下がるわけではありません。また、異業種ではドラッグストアや調剤薬局と比べて昇給幅が大きく、将来的な年収の伸びが期待できる場合もあります。

転職の難易度が高い

中途採用では経験者が有利になりやすく、ほとんどの場合で未経験で応募することになる異業種への転職は、内定が出にくい傾向にあります。とくに即戦力を求めている職場では、書類選考に通過できないなど選考の早い段階で断られてしまうことも多く、転職活動が難航するケースもあります。

転職の難易度が高いことを覚悟し、応募書類の内容を充実させる、面接対策をしっかり行う、TOEICなど異業種で活かせる資格を取得するなど、できる限りの準備をしておくことが重要です。

薬剤師が異業種に転職するメリットとは?

仕事内容や環境が大きく変わる異業種に転職しようか悩んでいる薬剤師は多いのではないでしょうか。ここでは、薬剤師が異業種に転職するメリットを3つ紹介します。

調剤以外のスキルアップができる

異業種転職によって、調剤薬局やドラッグストアでは得られない他業種の知識を学べるメリットがあります。

調剤薬局やドラッグストアで働くと、調剤や商品の販売が主な業務です。しかし異業種であればさまざまな業務を任せられ、一般的な薬剤師では得られない知識・スキルが身につけられます。

将来のキャリア形成の幅が広がる

他業種を経験することで、自分の視野を広げられます。「こんな働き方もあるんだ」「自分にはこの仕事が向いているかもしれない」など、調剤薬局やドラッグストアで働いていたままでは気づけないことも多くあります。

将来のキャリア形成においても、視野が広がればさまざまな選択肢が生まれます。

業種によっては高収入も目指せる

業種によっては、実績を積むことで調剤薬局やドラッグストアよりも高収入が目指せる可能性があります。MRや臨床開発モニターなどは比較的高年収です。

ただし異業種へ転職すると、基本的に未経験者扱いとなります。薬剤師の知識やスキルが活かせても、いちから実績を積まなくてはなりません。高年収になるかは職種と実力次第ですが、挑戦してみるのもおすすめです。

異業種への転職が向いているのはどんな人?

異業種への転職は、人によって向き不向きがあるとされています。

調剤や服薬指導といったこれまでの薬剤師経験が必ずしも活かせないなか、いちから仕事を覚えていくのは大変な道のりです。興味のある特定の分野がある人は、それに関わる職場であればモチベーションが保ちやすいかもしれませんが、そうでない人にとってはミスマッチも起こりやすい傾向にあります。

異業種への転職が向いているのは、薬剤師業務以外のスキルを身につけたい人や、仕事の視野を広げたい人です。これまでの経験にとらわれずにチャレンジしたい人にとっては、やりがいを感じられる環境といえるでしょう。

また、社会人としての自分の実力を試したい人も、異業種への転職がおすすめです。調剤薬局や病院などの医療現場では、正確性とスピードを意識して決められた業務を行えば、一定の評価は得られることが多いかもしれません。しかし、一般企業などの異業種では、設定された目標やノルマに対して個人でどれだけの成果を出したかが評価されるため、社会人としての自分の実力を試すことができます。

薬剤師の異業種への転職を成功させるポイント

基本的に転職では経験者が有利であるため、異業種・未経験の転職は簡単ではありません。薬剤師として異業種への転職を成功させたい人は、ここで紹介するポイントを押さえておきましょう。

異業種転職の理由や目的を明確にする

薬剤師が異業種への転職を成功させるためには、異業種への転職をあえて選んだ理由や目的を明確しておくことが重要です。

ほとんどの場合で未経験での応募となる異業種転職は、内定をもらうまでのハードルが高いのが特徴です。応募先の職場や職種を選んだ目的や理由を自分の中で明確にし、面接を突破できる「説得力のある志望動機」を準備する必要があります。

まずは「なぜその職場・職種を選んだのか」「その職場で何をしたいのか」「これまでの薬剤師経験をどう活かせるのか」などを具体的に説明できるようにしておきましょう。

基本的な薬剤師スキルを身につける

異業種への転職を希望する場合も、調剤など基本的な薬剤師スキルを身につけてから転職活動に入ることをおすすめします。たとえ薬剤師業務を行わない職種であっても、CRCなど医療現場に近い職種では、薬剤師経験があることで優遇されやすい傾向にあります。

新卒で働き始めて間もないなど基本的な薬剤師スキルがまだ不十分な場合は、まずは薬剤師として十分なスキルを身につけ、その上で新たに挑戦したい分野を探していくのがおすすめです。

 求められるスキルを把握する

異業種への転職を成功させるには、応募先で求められているスキルを正確に把握することが重要です。応募書類や面接の場で、応募先が求めるスキルに絡めた自己アピールができれば、採用される可能性が高まります。

たとえ未経験の職種であっても、薬剤師として身につけた知識や経験、マネジメントスキルやコミュニケーションスキルなど、活かせる経験は必ずあるはずです。募集要項や企業のホームページで具体的な業務内容をくまなく確認し、求められるスキルを把握しましょう。

 なるべく早く転職活動する

異業種への転職を成功させるためには、年齢が若いうちになるべく早く行動することも大切です。とくに未経験での異業種転職では、ポテンシャルのある若手が有利となります。

一般的に、30代以上では即戦力となれる業務経験が重視されるため、未経験転職の難易度が上がるとされています。年齢を重ねるほど、書類審査にとおりにくくなったり多くの企業に応募しても内定が出なかったりと、転職活動がスムーズに進まないことも増えていきます。内定の可能性を高めるためにも、少しでも若いうちに行動を起こしてみましょう。

自分にあった職場を探す

医療現場から離れたい一心で、やみくもに異業種の求人へ応募するのはおすすめできません。医療現場と比較して、個人の仕事の成果が評価に直結するプレッシャーがあったり、職場によっては長時間の残業が常態化していたりと、異業種には異業種ならではのデメリットも存在します。また、未経験の職種でいちから仕事を覚えていくのは大変な道のりですし、異業種が合わずに医療現場へ戻ろうとした場合、薬剤師経験としてはブランク期間が発生することになります。

まずは現在の職場でどのような不満があるのかを明確にし、それを解決できる自分にあった職場を地道に探すことが重要です。

転職先企業の情報を入念に調べる

転職では志望先企業の事業内容や社風、経営理念など、企業研究をすることが大切です。特に異業種への転職では働き方や雰囲気など分からないことが多いため、不安を解消するためにも徹底的に調べましょう。

また企業研究すれば入社後のミスマッチが防ぎやすくなるほか、働くビジョンも見えてきます。

薬剤師に特化した転職エージェントを利用する

転職活動をスムーズに進めたい人は、薬剤師に特化した転職エージェントを利用するのがポイントです。ただ異業種は求人が少なく、自分の希望条件に合った求人を見つけるのは簡単ではありません。

薬剤師に特化した転職エージェントでは、薬剤師の資格が活かせる求人を多く取り扱っています。また薬剤師の転職に詳しいコーディネーターから転職のサポートが受けられるため、転職の成功確率を上げることが可能です。

転職なら薬剤師に特化したエージェント「ヤクジョブ」へ

薬剤師が活躍できる異業種は多くありますが、業種によって仕事内容はさまざまで、求められる経験やスキルも異なります。まずは、自分に合う職種は何か、そこで働くにはどんなスキルが求められるのかなどをしっかり分析しておくことが重要です。

「薬剤師の資格を活かして転職したい」「転職活動をサポートしてほしい」といった人は、ぜひ「ヤクジョブ」へご相談ください。経験豊富なコーディネーターによる非公開求人の紹介や面接対策など、採用までフルサポートを受けられます。また、異業種のさまざまな求人についても情報提供が可能です。

 

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まとめ

薬剤師が活躍できる異業種は、医薬情報担当者(MR)や品質管理・品質保証職、治験コーディネーター(CRC)などさまざまあります。

異業種への転職は未経験での転職活動となるため簡単ではありませんが、将来的に高い収入が得られるチャンスがあり、視野も広がります。転職活動の際は、応募先の情報を入念に調べ、自分に合った仕事を選びましょう。

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