薬剤師としての経験は浅いものの、20代で転職を検討している方もいるでしょう。とはいえ、「20代だと転職のタイミングとしては早すぎるのでは?」と思われることも少なくありません。
しかし、20代の薬剤師は将来性を見込まれ、転職で有利になるケースもあるため、決して早すぎるわけではありません。今回は、20代の薬剤師が転職するメリットや注意点を紹介します。
20代での転職は早くない!意外と多い薬剤師の転職
エムスリーキャリアが行ったアンケート調査によると、初めて転職したタイミングの1位が入社10年目、そして2位が入社2年目となっています。
日本では「入社して3年は転職を控えるべき」といったことを耳にしますが、薬剤師の場合、入社3年目までの転職回数は他業種と比べて多いことが分かります。
転職理由は人それぞれですが、主にスキルアップのためやライフステージの変化によって転職する方が多いようです。20代だと若さゆえに転職をとまどってしまいがちですが、基礎的なスキルが身に付いているのであれば、転職を検討するのも良いでしょう。
とはいえ、入社してから1年未満の場合は、薬剤師として経験不足としてみなされる可能性があるため、採用で不利になってしまうおそれがあります。
出典:「薬剤師の転職実態調査」(エムスリー株式会社)
薬剤師が20代で転職に挑戦するメリット
「20代で転職するのは早い」と思う方も多いでしょう。しかし、20代の薬剤師は知識やスキルを吸収しやすいため、メリットはたくさんあります。転職を考えているのであれば、早めに行動すると良いでしょう。
ここでは、薬剤師が20代で転職に挑戦するメリットを紹介します。
ポテンシャル採用を狙いやすい
転職では基本的に即戦力が求められますが、20代であれば長期的なキャリア形成が見込めることから、ポテンシャル採用をしてもらいやすいのがメリットです。実績がなくても、潜在的な資質や将来性が認められれば、採用で有利になるでしょう。
特に新卒から1〜2年目の第二新卒は、企業からの人気が高い傾向にあります。採用面接や志望動機では、自身の過去の実績ではなく、成長への意欲やキャリアプランを伝えるなど、熱意をアピールしてみてください。
また持ち前の若さを、入社後にどのように活かせるかも伝えると良いでしょう。
年収アップを狙える
20代は基本的にどの業種でも歓迎されやすいため、転職先は幅広くあります。現在の職場よりも待遇の良い職場へ転職することで、年収アップが期待できるでしょう。また20代の若いうちに転職して経験を積んでスキルを磨けば、早い段階で管理職も目指せます。
しかし、職種を変えるのであれば、早めに転職しないと管理職になるのが遅くなる点には注意が必要です。また、未経験の分野だとこれまでの経験が活かしにくく、管理職になるまでに時間がかかります。
未経験分野に転職しやすい
20代は仕事覚えが早く、吸収力を評価されやすい傾向にあります。そのため、未経験分野であっても転職は有利になりやすく、早いうちに興味のある業種や職種にチャレンジできるのがメリットです。
しかし、30代以降は即戦力となるスキルが必要で、職場によっては管理職やリーダーとしての役割が求められることも多くあります。未経験の分野だと採用のハードルが上がるため、異なる業種や職種に挑戦したい方は、早めに転職活動をはじめるようにしましょう。
とはいえ転職は焦らず、きちんと今後のキャリアを見据えたうえで転職先を選ぶことが大切です。
公務員薬剤師へ挑戦できる
20代であれば、地方公務員薬剤師や国家公務員薬剤師を目指せます。公務員薬剤師になると、安定した収入を得られ、福利厚生が充実しているのがメリットです。
民間の調剤薬局やドラッグストアでは、業績悪化による倒産や、M&Aによる大幅な待遇変更のおそれがあります。しかし、公務員であれば倒産の心配はなく、昇給やボーナスにも期待でき、長く勤めれば高待遇を得られるでしょう。
ただし、国家公務員は30歳まで、地方公務員は20代後半〜30代前半までの年齢制限があるため、公務員薬剤師を目指すのであれば早めに行動することをおすすめします。
また試験は一発で合格するとは限らないほか、公務員薬剤師は募集人数が少ないため、採用難易度が高くなります。
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薬剤師が20代で転職するにはメリットが多くありますが、注意すべき点もいくつかあります。
特に勤続年数が短いと転職で不利になるケースには気をつけましょう。ここでは、20代の薬剤師が転職する際の注意点を詳しく解説します。
勤続年数が短い場合不利になる可能性もある
勤続年数があまりにも短いと、「スキル不足」や「長続きしないのでは」と思われ、転職で不利になるケースがあります。特に、1〜2年の短期離職は転職先の選択肢が狭くなり、失敗する原因になるため注意しましょう。
3〜5年以上といった一定のキャリアを積むことで、転職しやすくなります。そのため焦らず、転職は自分にとってベストなタイミングで行うことが大切です。
もしも、前職の在籍期間が短い場合は、退職理由の伝え方を工夫する必要があります。ネガティブな内容をそのまま伝えるのではなく、ポジティブな理由に変換して伝えるようにしましょう。
給与や働き方以外にも注目する
転職先選びでは、給与や働き方も重要なポイントです。しかし、働きやすい職場を選ぶためには、福利厚生や人間関係にも着目して転職先を探すようにしましょう。
福利厚生は、もしもの調剤過誤や処方箋ミスに備える薬剤師賠償責任保険のほか、住宅手当や退職金制度などがあるかを確認してみてください。
人間関係が合うかどうかは、求人情報だけでは判断しにくいものです。口コミサイトやSNSで調べたり、直接職場を見学しに行ったりするのがおすすめです。人間関係が合わないと、年収が高くても長期的に働き続けるのは難しくなります。
経験やスキルが見合わない求人には応募しない
たとえ前職と同じ職種を選んだとしても、職場によって求められる知識やスキル、スピードは大幅に異なります。未経験の分野であれば、これまで培ってきた能力を活かせない可能性があるため注意しましょう。
また、転職先でマニュアルや教育制度が整っていなかった場合、業務についていけず、再度転職を検討するといった可能性もあります。
「成長したい」といった意欲は大切ですが、無理なく成長できる職場なのか見極める必要があります。
20代の薬剤師が転職を成功させるために重要な3つのポイント
転職はポイントを押さえることでスムーズに進みます。ここで紹介する3つのポイントを押さえて、転職活動を進めてみてください。
転職の理由と目的を明確にする
転職の理由と目的を明確にすることで、転職先の希望条件が定まりやすくなります。自分のスキルや経験の幅を広げたいのであれば、未経験の分野やより専門性を高められる職場に挑戦すると良いでしょう。前職の給与や働き方に不満があれば、条件を重視した職場選びとなります。
また20代の転職はキャリアプランの修正を実現しやすいため、自分がなりたい「薬剤師像」を考えてみることも大事です。20代であれば転職先の選択肢は広いため、幅広い視野をもって探してみてください。
薬剤師の平均年収を把握しておく
転職後の年収が適切であるか判断するためにも、薬剤師の平均年収を把握しておきましょう。厚生労働省の「令和元年賃金構造基本統計調査」によると、20代後半の薬剤師の平均年収は、女性441.1万円、男性484.3万円です。
職業全体より薬剤師の平均年収は高いのが分かります。年収は自分の経験やスキル、年齢によっても異なりますが、地域や業種によっても大きく変動します。働く地域の平均年収を踏まえて、納得できる転職先を探すようにしましょう。
出典:「令和元年賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)
薬剤師専門の転職エージェントで転職先を探す
転職先の探し方には、企業のHPやハローワーク、求人サイトなど、さまざまな方法があります。そのなかでも、薬剤師専門の転職エージェントを利用するのがおすすめです。
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まとめ
20代の薬剤師が転職するメリットには、未経験の分野にも挑戦できることや将来的な年収アップやキャリアアップが狙えることです。しかし、勤続年数が短いと、「長続きしないのでは」と思われる可能性があるため、転職のタイミングは注意しましょう。