薬剤師の免許をとって働き出したものの、「薬剤師に向いていないのかもしれない」と悩んでしまった経験はありませんか?薬剤師といっても、職場によって求められる能力はさまざまです。1つの職場でうまくいかなかったとしても、別の職場ならうまくいくかもしれません。
今回は、薬剤師に求められやすい能力、各々の特徴によって向いている職場について紹介します。転職を考えている方は、参考にしてください。
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薬剤師に向いている人の特徴とは?【セルフチェック】

一般的に、多くの職場で「薬剤師に向いている」と言われやすい人の特徴について、5つご紹介します。
ご自身の性格について、次の項目をチェックしてみてください。
「はい」と答えられる項目が多いほど、薬剤師に向いているといえるでしょう。
①細かい作業が好きで集中力がある人
処方監査の際に既往歴や内服薬をチェックする、規格違いや類似名称の薬剤との取り間違いをしないようにダブルチェックをする、小児の微量な散薬を秤量する、一包化するなど、薬剤師の業務は細かな点に気を配ったり、実際に細かな作業をしたりすることが多いです。規格や医薬品の間違いで、最悪の場合は患者の命に直結してしまいます。
また、「どうせ話を聞いてもらえないだろうから、疑義照会はやめておこう」などと妥協したことで、結果として患者の不利益になってしまう場合もあります。そのため、業務中は集中し続け、細かな点まで確認しなければなりません。
薬剤師としては、「まあいいや」と大雑把に考える性格よりも、1つ1つチェックしながら慎重にこなす性格の方が向いているでしょう。
②マルチタスクが苦にならない人
薬剤師は、1つの物事に集中して取り組めるとは限りません。
処方監査をしている最中に、患者対応を求められ、作業を中断しなければならないこともあります。記録を書きながらも、電話対応や調べ物を依頼されることも、少なくありません。複数の業務を同時に進める中でも、ミスを犯さないような慎重さ・正確性・集中力が必要不可欠です。
訓練次第である程度はマルチタスクをこなせるようになると思われますが、どうしてもマルチタスクが苦手な場合は、職場を選ぶ必要があります。
マルチタスクが苦にならずに続けられるのであれば、どの職場でも働きやすいでしょう。
③知識のアップデートを続けられる人
医学は常に進歩を続けていますので、アップデートし続ける必要があります。古い知識のままでは、よい医療を提供することはできません。
新薬の作用機序や注意点を学び、数年おきに改訂される各種ガイドラインに目を通すなど、日々の積み重ねが大切です。患者のためになるだけでなく、認定薬剤師などの取得で自身のキャリアアップにも繋がり、給与アップなども見込めるかもしれません。
自己研鑽にかかる費用や時間は、自分で負担しなければならない部分もありますが、勉強を続ける資質は、医療人として必要なものと言えるでしょう。
④責任感が強く、プロ意識を持てる人
処方医に責任があるのはもちろんですが、その内容を監査し患者へ薬を渡す薬剤師にも、大きな責任があります。もし処方医のミスを見逃してしまえば、患者に健康被害が出るなど、影響が出る可能性も少なくありません。
資格を持って業務にあたっている以上、患者や医療スタッフからは一人前の専門職として見られます。何かミスがあった場合、「1年目だから/ブランクがあるから、仕方ない」とはなりません。患者からの信頼に応えるためには、常にプロとしての意識を持つ必要があります。
責任を持って業務にあたり、必要な場合には医師とも臆せず議論できることが重要です。
⑤わかりやすく説明するのが得意な人
薬剤師は、患者に「なぜこの薬が必要なのか」「どんな効果があるのか」などを説明しなければなりません。専門用語を使わず、老若男女どのような人にもわかりやすく伝える力が、必要不可欠です。
安易に「強い/弱い薬」と伝えると不安を煽ってしまうこともあります。患者の不安や疑問を的確に把握し、納得してもらえるように伝えるには、スキルが求められます。適切な説明ができれば、信頼関係の構築にもつながるでしょう。
また、医師や看護師と薬剤についての話をする際にも、その職種に合わせてわかりやすく説明することで、提案を理解してもらいやすくなります。
薬剤師に求められる本質的な4つの能力

薬剤師にはさまざまな能力が求められますが、どのような業種でも求められやすい4つの能力についてお伝えします。
患者の命に関わる業務だからこそ、1つ1つミスなくこなせることが大切です。
● 薬に関する深い知識
年々、新薬が登場しています。アップデートを続け、適切な提案・介入ができるような深い知識を身につけておくことが大切です。
● コミュニケーション能力
患者や医療従事者と良好な関係を築くためには、コミュニケーション能力が不可欠です。コミュニケーション不足により、ヒューマンエラーが生じることもあります。
● 判断力
疑義照会をすべきか、代替案としてふさわしいものは何かなど、的確な判断が求められる場面は多いです。
①業務の正確さ:患者の命を守る最重要スキル
薬剤師の調剤ミスは、患者の健康被害に直結します。散薬の秤量を1ケタ間違える、類似薬と取り違える、そうしたミスを鑑査で見逃すなど、業務のさまざまなところでミスは起こり得るでしょう。
ミスをしないために工夫をしたり、1つ1つに集中して取り組んだりと、正確に業務をすることが何よりも大切です。
②薬に関する深い知識:常にアップデートが必要
新薬だけでなく、既存の薬の適応追加・公知申請の状況など、知っておくべき情報は多岐にわたります。勉強会やセミナーへ参加する、文献やガイドラインを読む、本を購入して勉強するなど、常に情報のアップデートが必要です。
③他職種や患者とのコミュニケーション能力
病院、調剤薬局、ドラッグストアのいずれでも、他職種との関わりの中で協力し合うこと、その中で薬剤師としての専門性を発揮することが大切です。疑義照会では、薬剤師としての意見を単に押し通すのではなく、医師の処方意図を汲みながら、代替案に納得してもらうことなど、コミュニケーションの工夫が必要になります。
服薬指導では、患者の状態を把握し、性格や理解度に合った説明をしなければなりません。会話をしながら話し方・話す内容を調整する臨機応変な対応力が求められます。
④判断力:冷静かつ適切な判断を行う能力
業務が忙しいからといって、おざなりな判断をするわけにはいきません。薬剤師には、常に冷静に、適切な疑義照会や提案ができる判断力が必要です。
少しでも疑念が残るのであれば調べる、必要に応じて確認や変更の依頼をするという地道で正確な判断が、医療ミスを防ぎます。
《職場別》薬剤師に向いている人の特徴

職場によって薬剤師としての業務に違いがあるように、特に求められやすい資質も異なります。職場別に、向いていると感じやすい資質をご紹介します。
薬局
調剤薬局は、近年、「かかりつけ」としての機能を国から求められています。
そこで、患者の病態だけでなく、性格や家庭環境などを加味して最適な薬物療法を提案するような「共感力・想像力」が必要です。人と関わるのが好きな方、人の人生に寄り添って役立ちたいという思いの強い方にも向いているでしょう。
在宅医療を提供している薬局では、看護師や医師、介護士など他職種と関わる機会も多いです。他職種の意見を尊重して働ける「協調性」がある方も、薬局での勤務に向いています。
また、近年はセルフメディケーションが推進されるようになってきました。処方薬だけでなく、OTC医薬品やサプリメント、健康食品などに関してアドバイスを求められる場合もあります。幅広い知識を貪欲に身につけられる方は、薬局での勤務が苦にならないでしょう。
ドラッグストア
ドラッグストアでは、通常の処方箋調剤もありますが、OTC医薬品やサプリメントの販売といった業務が特徴的です。人との会話の中でニーズを探りながら、「提案力」のある薬剤師が求められます。
医療従事者でありながら小売業でもあるため、自社製品の良さを上手にアピールできる、在庫管理や接客が苦にならないといったスキルも必要です。
ドラッグストアには病気ではない方も多く訪れるという性質もあり、明るい性格で、クレームやノルマにも精神的に耐えられる方が向いているでしょう。
老若男女、あらゆる客層に合わせて対応できる柔軟性、コミュニケーション能力がある方も、ドラッグストアでの勤務が向いています。
病院
病院機能にもよりますが、専門的な治療や最新の治療がおこなわれるケースが多いため、進歩する医療についていくための「向上心」のある方は、病院での勤務に向いています。
病院では、薬剤師だけでなく、医師や看護師、栄養士、理学療法士などとも関わりながら業務にあたります。円滑にコミュニケーションを取れることも重要です。
勤務しながら専門性を高め、認定・専門薬剤師を取得したいというキャリアアップ思考の強い方、特定の領域に特化して知識を深めたい方も、ストレスなく働けるでしょう。
注射薬の使用や化学療法・院内製剤など、病院特有の業務内容もあります。より幅広く、専門的なで高度な知識が求められますので、自己学習を続けられる継続力や、部署異動に速やかに適応する力も必須です。
病院によっては夜勤・当直があるため、体力に自信がある方、不規則な生活リズムでも苦にならない方も、向いているといえます。
製薬企業
自分の仕事に使命感を持ち、地道な活動が苦にならない方は、製薬企業での勤務に向いているといえるでしょう。直接的に患者と関わることはありませんが、新薬の開発や広報活動により、間接的に患者の人生を支える仕事です。責任感の強い方にも向いています。
製薬企業にもさまざまな職種があり、求められる能力は多様です。
MRであれば、医療機関で働く医師や薬剤師とコミュニケーションをとる能力や、質問に対応するにあたって論文を読む能力などが必要になります。
転勤や異動も多いため、体力のある方、環境が変わることがストレスにならない方も、製薬企業での勤務がおすすめです。
研究開発であれば、なかなか結果のでない中でも努力を積み重ねられる忍耐力や、データ解析スキルなどが必要になるでしょう。目標に向かって計画的に努力できる性格の方は、研究開発職に向いています。
製薬企業内にも管理薬剤師がおり、医薬品の製造過程における品質管理や、保管・流通の環境条件の管理、法律に基づいた各種届出などを担っています。
ミスがあれば企業の不利益に直結するため、細やかに気を配れる方、マニュアルや法律を学び遵守できる方に向いている業務です。複数の薬剤師が在籍する場合には、教育や指導など、責任者としてのマネジメントスキルも求められます。
いずれの職種でも、製薬企業で働く上では、医療に対する関心と探究心を持ち、社会貢献の意識のある人が向いているでしょう。
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地域医療で活躍する薬剤師の新しい役割

地域包括ケアシステムの構築が望まれる中で、国が薬剤師へ求める役割も大きくなってきました。医療の進歩と高齢化により、薬物療法は複雑化し、多剤併用の患者は多いです。
住み慣れた環境で過ごしながら、安全かつ十分な医療を提供するために、かかりつけ薬剤師として継続的なフォローをすることが欠かせません。
高齢者の理解状況や身体状況に合わせた指導・介入がおこなえるスキル、幅広い疾患や薬剤についての知識が求められるようになっています。
かかりつけ薬剤師として求められること
服用薬剤を一元管理し、用法用量・相互作用・管理方法などについて適正化するのが、かかりつけ薬剤師として重要な役割の1つです。
安全な薬物療法を提供するため、他院から類似薬が処方されていたり、腎機能に合わない用量で処方されていたりといった問題を、漏れなく管理しなければなりません。
患者の担当者として、責任を持った業務が求められます。
在宅医療薬剤師として求められること
在宅療養をする患者の多くは、嚥下機能の低下した方、胃ろうから内服薬を注入している方、独居であっても服薬介助が必要な方など、多様な背景から服薬もスムーズにはいきません。剤形、粉砕の可否、飲み方の工夫など、さまざまな知識を駆使した細やかな服薬支援が求められます。
また、服薬できないことにより残薬が発生していたり、病識がないために家族への指導が必要だったりと、問題を抱えていることも多いです。
より良い選択肢を提示するためには、看護師・理学療法士・ソーシャルワーカーなど、他職種との情報共有も必要になります。職種の専門性を理解し、尊重することが大切です。
患者の抱える問題を総合的に解決していくスキルが、在宅医療に関わる薬剤師には求められています。
薬剤師資格を活かせる多様な職場選択肢

薬剤師の資格を活かして働けるのは、病院・薬局・ドラッグストアだけではありません。
たとえば、医薬品卸企業にも、品質管理などを担当する薬剤師が必ず所属しています。直接患者に関わるわけではありませんが、公務員薬剤師も一定数おり、人気も高いです。また、資格を活かして大学薬学部の教員となる道もあります。
もし「薬剤師として働くのに向いていない…」と感じてしまったとしても、資格は無駄になりません。薬剤師の資格を活かせる、多様な職場の選択肢についてご紹介します。
医薬品卸企業・公務員での活躍
医薬品卸企業にも薬剤師が必ず所属しており、DI業務、品質管理、在庫管理など、薬剤師の資格を活かした業務をおこなっています。
また、公務員でも、薬剤師資格が活かせる場面は多いです。地方公務員の場合、保健所や衛生研究所、市役所等の薬務課などで薬剤師資格を持つ人材が活躍しています。
国家公務員では、厚生労働省などの薬系技官として、化学物質規制、食の安全、違法薬物の取り締まりなど幅広い業務を担っています。
MR・大学での専門性を活かした働き方
製薬企業に所属する医薬情報担当者(MR)は、薬学生の中でも人気の高い職業です。
自身の営業活動により多くの患者のQOLを改善できるという点や、高い給与が魅力といえます。薬剤師の資格は必須ではありませんが、業務をする上で薬学の知識は欠かせません。
また、薬学部の教員・研究者という道もあります。学生教育を通して未来の医療に貢献できる点が大きなやりがいとなるでしょう。
薬剤師に求められる5つの必須スキル

薬剤師の業務をこなす上で、正確性や判断力、知識のアップデートなどが必要だとご紹介してきました。ここでは、 どのような職場でもニーズのある薬剤師となるために、必要な能力やスキルについて5つご紹介します。
これらを身につけておくことで、医師や看護師からの質問にすぐに回答して信頼を得る、調剤ミスを減らすことで患者の健康に貢献する、伝わる疑義照会ができるようになることで提案が通りやすくなるなど、薬剤師としての能力を発揮しやすくなると思われます。
1つでも身につけられるよう意識してみましょう。
①限られた時間で調べる力
何か調べる必要が出てきた際に、何日もかける時間はないことが多いです。
できるだけ短時間で、必要な情報にアクセスし、目の前の患者の病態に当てはめて検討する力は、どの職場でも役に立つでしょう。日頃から制限時間を定めて調べ物をするなど、訓練が有用です。
ご自身で勉強をする際にも、患者からどのような質問が出そうかを想定し、添付文書やガイドラインを見るようにすると、実践的な訓練ができます。医師から実際に受けた質問を応用しながら、ほかの薬剤でも調べ物をするのも良いでしょう。
たとえば、「セフトリアキソンアレルギーの方にセファゾリンは使用できますか?」という問い合わせを受けたのであれば、セファゾリン以外のセフェム系はどうか、セフェム系以外なら何が提案できるか、内服薬なら何か良いかなど、派生させて調べてみてはいかがでしょうか。
②コミュニケーション能力
医療チームに参画し、相手の職能を尊重しながら薬剤師として能力を発揮するために、コミュニケーション能力が必要不可欠です。日頃からさまざまな職種と会話し、どのような業務をしているのか理解しておくことで、円滑なチーム運営が可能となります。
薬剤師として他職種と臆せず議論できる方は、薬剤師としてニーズが高いです。
また、患者とのコミュニケーションも、もちろん重要になります。患者の状態は、処方箋だけをみていてもわかりません。直接話を聞き、その情報から薬剤師としてのアセスメントをおこなう必要があります。どの患者にも同じ質問をするのではなく、個々人に合った話し方・内容にすることで、信頼を得られます。
関係性を構築するのに、コミュニケーション能力が不可欠なのです。
③共感力・想像力
患者の困りごとや生活についてよく理解して薬物療法を調整しようと思った場合には、共感力や想像力が役立ちます。
特に在宅医療の現場では、患者の実際の生活を見たり聞いたりしながら、最適な剤型・用法・管理方法を選ぶことが、QOLの向上に直結するため、共感力・想像力のある薬剤師はニーズが高いです。
たとえば、「薬を飲みたくない」という患者の訴えの裏には、「病状の悪化を反映しているのでは」という不安や、「飲みにくいから飲めない」という事情が隠れている場合があります。
患者の状態から想像したり、うまく思いを引き出したりする力は、非常に有用なのです。
④基本的なPCスキルと将来性のあるAI活用スキル
薬歴を書いたり調べ物をしたりするのに必要とされる基本的なパソコンスキルに加え、近年はAIを活用するスキルも必要とされるようになってきました。
AIの提示する情報をそのまま鵜呑みにするのではなく、個々の患者に当てはめてうまく使いこなすことが重要です。
Word、Excelといったどのような職場でも使うようなソフトはもちろん、施設ごとに導入している電子カルテや薬歴を使いこなせなければ、業務効率が落ち、結果として「薬剤師としての能力がない」とみなされてしまうこともあるでしょう。
医療現場でも医療DXが推進されてきており、ITリテラシーの高い薬剤師は今後ニーズが高くなると思われます。
語学力
近年、外国人旅行者や在留外国人が増えてきており、薬剤師も、日本語を母語としない患者と接する機会があります。翻訳機を使うことである程度対応は可能ですが、より正確に指導をしたい場合には高い語学力が必要です。
最新の医療知識を得るためにも、英語で文献検索をできる必要があります。語学力は、どのような職場でも役立つ能力です。
薬剤師に向いていないと感じやすい人の特徴は?

「細かいことを気にすることができない…」「計算が苦手で間違いが多い」「他職種スタッフや患者を怒らせてしまう」など、「自分は薬剤師に向いていないのではないか」と感じる瞬間を経験した方は、少なくないでしょう。
「薬剤師に向いていない」と感じる方には、いくつか共通する特徴があります。代表例を4つお伝えします。
①人と関わるのが苦手な人
薬剤師として、人と全く関わらずに働くのは難しいです。患者、薬剤師、他職種など、少なからず人と関わりながら業務にあたる必要があります。
薬剤師による服薬指導のフォローアップが義務化されたこともあり、患者とうまくコミュニケーションをとりながら信頼関係を構築することが、より一層重要になりました。患者の話に耳を傾け、共感の態度を示しつつ、必要な指導をおこなっていく必要があります。
薬剤師として働く以上、コミュニケーションは疎かにできません。 人と話すこと自体が苦手なのか、クレーム対応に疲れてしまうのかなど、苦手な原因を把握しておくとよいでしょう。
苦手な「対人業務」が少ない職場を探す上で、役立ちます。
②とっさの判断が苦手な人
薬剤師の業務の中では、患者と会話をしながら説明する内容を変更したり、医師からの問い合わせに返答したりなど、とっさの判断が求められる場面は多いです。
そういった場面で毎回時間をとって調べ直すのは難しく、じっくり考えてから対応したい人にとってはストレスに感じるでしょう。
③勉強が嫌いで向上心がない人
向上心がなく、現状の知識を深めたり、新しい情報を得たりすることが苦になってしまう方は、薬剤師に向いていないと感じやすいといえます。
職員の成長のため、勉強会・セミナーなどを開催したり、認定薬剤師の取得を促したりする職場は多いです。
アップデートが必要なのは、新薬の知識だけではありません。診療報酬の改定内容について知っておかなければ、患者のために国が求める業務を理解できず、さらに職場の売上に貢献することもできなくなってしまいます。
常に勉強し続けることが求められるため、向上心がない方は、薬剤師として必要とされる人材でいることは難しいかもしれません。
④マルチタスクが苦手な人
調剤・鑑査・患者指導・記録を書く・電話対応など業務中はさまざまなことに並行して対応しなければなりません。調剤だけをして電話対応はしない、記録を書いているからと患者対応を断るといったことは、なかなかできません。
どの医療現場でも、複数のことを並行して行うマルチタスクに陥りがちです。1つの物事に集中して取り組みたいという方には、薬剤師の業務は苦痛に感じてしまうかもしれません。
しかし、比較的1つの業務に集中しやすい、自分のペースで業務に取り組みやすい職場もあります。たとえば、研究職や品質管理の部門であれば、患者対応などで業務が中断されることはありません。
マルチタスクが苦手な方は、職場を選ぶことで苦痛を軽減できるでしょう。
薬剤師に向いていないと感じた場合の対処法はある?
薬剤師に向いていないと感じたからといって、すぐにほかの職業を考えるのではなく、まずは薬剤師を続けるための対処をしてみましょう。
①向いていないと感じる理由を掘り下げる
なぜ自分が薬剤師に向いていないと感じるのか、理由を掘り下げてみます。必要であれば、同僚や上司へ聞いてみるのも有用です。
知識が足りないのでしょうか?調剤ミスが続いて注意された、患者説明がうまくできず落ち込んでしまったなどの理由で、向いていないと感じている方もいるかもしれません。
「向いていないから、とにかく頑張ろう」と漠然と考えても、解決には向かいません。正しく問題を捉えることが、対処のための第一歩です。
一方で、薬剤師に向いていないと感じる理由は、自分自身にあるとは限りません。人間関係がつらい、休みが少なく体調を崩しているということもあるでしょう。環境による問題であれば、自分の努力での解決は難しくなります。
②克服する方法を考え、実践する
理由がはっきりしたら、その理由が「自分自身の努力次第で変えられる問題」なのか、「環境の問題」なのかに分けてみましょう。その上で、どのように克服するかを考え、実践してみます。
たとえば、自分のスキル・知識不足であれば、勉強をしたり、必要な資格取得を目指したりするのがよいでしょう。薬の説明が苦手なのであれば、自分で日々練習したり、同僚を相手に実践したりするのも1つの手です。
克服には時間がかかるかもしれませんが、努力を続けることで少しずつ苦手意識が少なくなっていくと思われます。
しかし、「職場全体として残業が多く疲れている」「やりたい業務ができず、やりがいを感じられない」「ハラスメントをおこなう職員がいて、居心地が悪い」といった理由であれば、自分の努力だけでは変えられません。
部署異動・店舗異動を希望するなど、思い切って環境を変えるのが良いでしょう。
③苦手な業務が少ない職場へ転職する
苦手な業務が、全ての職場で重要視されているとは限りません。苦手な業務が少ない職場を探して転職することができれば、ストレスなく薬剤師として働ける可能性があります。
たとえば、基本的な業務である調剤が苦手でも、在庫管理やマーケティングが得意、OTC医薬品について詳しいなど、自分の強みがわかっていれば、強みを活かせる職場は見つけられるはずです。
患者対応が苦手なのであれば、製薬企業や医薬品卸企業など、医療従事者とのみ接する職場が良いかもしれません。注射薬の調製が苦手なら、注射薬を扱っていないドラッグストアなどであればうまく業務をこなせるでしょう。
部署異動をしながらさまざまな業務を覚えていくのが苦手、環境の変化が苦手という方は、病院ではなく、調剤薬局やドラッグストアなどであれば、大きなストレスなく過ごせるのではないでしょうか。
どんな方にも向き・不向きや得意・不得意はあります。転職も視野に入れて、ストレスなく働ける職場を探してみましょう。
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薬剤師の転職なら、ヤクジョブ

苦手な業務は、誰にでもあるものです。苦手な業務をできるだけ避けつつ、自分の得意をアピールして転職を成功させるため、専門家のサポートを受けてみませんか?
ヤクジョブは、薬剤師専門の転職エージェントです。薬剤師の業務やキャリアに理解がありますので、より働きやすい環境を求めて転職する方のサポートも可能です。薬剤師が向いていないかもとお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。
よくある質問
薬剤師に向いている人はどんな人ですか?
几帳面で細かい作業が好き、勉強熱心、責任感が強い、コミュニケーション能力があるなどの性格であれば、薬剤師の業務に苦痛を感じずに続けられるでしょう。日々進歩していく医学・薬学の情報をアップデートしながら、正確に調剤・鑑査をする必要があるためです。
薬学部はどんな人が向いていますか?
薬学部では、薬理学など薬学部ならではの科目に加え、化学や生物、数学などの授業もあります。また、実習をこなし、国家試験に合格するための勉強も必要です。理系科目が得意で、探究心がある方、人の健康に貢献したいという熱意のある方であれば、薬学部の6年間を過ごしていけるでしょう。
まとめ
今回は、薬剤師に向いている人の特徴と、向いていないと感じる場合に取るべき対処法をいくつかご紹介しました。
勉強を続けられる方、1つ1つの業務を正確にこなせる方、コミュニケーションが得意な方は、薬剤師に向いていると言えます。一方で、マルチタスクが苦手な方、人と接するのが苦手な方は、薬剤師業務をする中で苦労を感じることが多くなる場合があります。
薬剤師免許を持っているからといって、全ての方があらゆる薬剤師業務に向いているわけではありません。薬剤師に向いていないと感じたとしても、得意な業務もあるでしょう。向いている業務、苦に感じにくい業務を中心におこなえる環境へ変えることができれば、「向いていない」と悩むことも少なくなるのではないでしょうか。
自分の強みを活かしながら、ストレスなく働いていきたい方は、転職も選択肢となります。今回ご紹介した対処法が参考になれば幸いです。