薬剤師の職務経歴書の書き方と転職をより有利にするポイントを紹介

転職するにあたって、職務経歴書の書き方に悩んだり、「職務経歴書をしっかり書くと有利に転職できるか」と考えたりしている薬剤師の方もいらっしゃるかもしれません。

薬剤師を採用する企業・薬局は、どこの大学を出たかより、どのような職場でどのような経験を積んできたかということを知りたいのです。したがって、薬剤師としての強みをアピールできる職務経歴書をしっかり書くことは有利な転職につながります。

この記事では、職務経歴書の役割、薬剤師は職務経歴書で何がアピールできるのか、薬剤師としての「強み」を効果的に伝えるコツ、作成するときの注意点、提出前にチェックすべきことをドラッグストア勤務経験のある元病院薬剤師が紹介します。

職務経歴書の役割

職務経歴書と履歴書は重なる項目もありますが、役割や採用担当者が見るポイントは異なります。ここでは、職務経歴書の役割と履歴書との違いを解説します。

職務経歴書とは

職務経歴書とは、履歴書だけではわからない業務上の細かな情報を記載して、実務能力や経験、スキルなどを伝える書類です。

履歴書が応募者のプロフィール(居住地、出身大学、年齢、おおまかな職歴など)を確認するためのものであるのに対し、職務経歴書は今までの薬剤師業務の詳細がメインです。

企業へ転職する場合は職務経歴書も必要ですが、最近では病院や調剤薬局などへ転職する場合にも、職務経歴書の提出が求められることも多くなってきています。ここで職務経歴書の書き方を確認しておきましょう。

職務経歴書と履歴書の違い

職務経歴書と履歴書の違いは、以下のとおりです。

【職務経歴書と履歴書の比較】

職務経歴書履歴書
目的採用側の業務内容と応募者の経歴がマッチするかを確認する応募者のプロフィールを知る
ひな型定型化されたものはない
レイアウトの工夫が必要
定型化されたものがある
転職活動への利点長所をアピールしやすいので、うまく
活用すれば武器になる
書き方の工夫はできない

履歴書からでは読み取れない可能性のある長所を、アピールできるのが職務経歴書です。職務経歴書の記載内容が、書類選考の合否を分ける場合もあります。

薬剤師は職務経歴書で何がアピールできるのか

ここでは、薬剤師が職務経歴書でアピールできることを、職種ごとに紹介します。自分の経験した職種のアピール可能な項目を確認してみましょう。

調剤薬局の経験がある場合

調剤薬局勤務経験がある場合は、以下の項目でアピールが可能です。

門前薬局か面薬局か、チェーン薬局か小規模薬局か
 処方箋を応需していたおもな診療科目
 1日の応需処方箋枚数(具体的な数字で)&薬剤師の人数(常勤・非常勤の人数)
 在宅医療の経験
 レセプト業務をしていたかどうか
 かかりつけ薬剤師としての実績
 役職や働き方(管理薬剤師、マネジメント職、1人薬剤師の経験など)
 コミュニケーションスキルの高さ

応需処方箋科目や受付処方箋枚数、勤務薬剤師数なども必要な情報です。採用担当者がイメージできるように、具体的な数字を記載します。コミュニケーションスキルの高さの他に、業務上の問題を解決するために学会発表を行うなど業績面での実績や表彰経験がある場合は記入しましょう。

病院の経験がある場合

病院勤務経験がある場合は、以下の項目でアピールが可能です。

 病院の診療科目
 病棟業務の経験
1日の処方箋枚数(具体的な数字で)&薬剤師の人数(常勤・非常勤の人数)
 役職や働き方(薬局長、当直業務など)
 病院内での委員会業務(感染症対策委員会、医療安全委員会など)
 チーム医療の経験

他職種との関わりが必要なチーム医療や病棟業務、委員会業務など病院でしか経験できない活動実績はアピールできます。医療全般の幅広い知識が必要なので、継続的に行ってきた学習などがあれば好印象です。

ドラッグストアの経験がある場合

ドラッグストア勤務経験がある場合は、以下の項目でアピールが可能です。

具体的な業務内容(店舗管理やマネジメント業務、他職種への教育なども含めて)
 業績面での結果や表彰経験など
 コミュニケーションスキルやマネジメント力の高さ

担当業務でアピールできる場合が多いので、具体的な業務内容を記入しましょう。また、業績面での実績や表彰経験があれば記載します。調剤薬局と同様に、コミュニケーションスキルの高さは重要なアピールポイントです。

企業の経験がある場合

企業勤務経験がある場合は、以下の項目でアピールが可能です。

具体的な担当業務(学術、MR、公式サイトのコンテンツ作成など)
業績面での実績
 医薬品の知識や提案力

ドラッグストアと同様に、担当業務でアピールできる場合が多くあります。採用担当者が業務内容をイメージできるように伝えましょう。分かりにくい言葉はていねいに説明します。実績や表彰経験は忘れずに記載します。
製薬会社勤務(MRなど)経験がある場合は、医薬品の知識や提案力がアピールできます。職務経歴書がきちんと書けていると、ビジネスマナーがあることも伝えられるでしょう。

職務経歴書で薬剤師としての「強み」を効果的に伝えるコツ

ここでは、職務経歴書に記載する項目ごとに、薬剤師としての強みを採用側にうまく伝える方法を解説します。

「職務要約」のポイント

職務要約では、今までに経験した職種や業務、期間などを3~4行で、自分の経歴をまとめます。応募する職種で活かせる経験を中心にすると、アピールしやすいです。実績や結果は「常勤薬剤師〇名の店舗で毎日〇枚の処方箋に対応」などのように、数字を用いましょう。

また、リーダー業務や教育担当であった経験や、業務改善に関する経験は誇れるスキルなので、積極的にアピールしましょう。

「職務経歴」のポイント

携わった業務と期間、獲得したスキルを記述する項目です。文章の羅列だと単調になってしまうので、表を使ったり、太字にしたり、下線を引いたりなどの工夫をして、見やすさにも配慮しましょう。見やすさや読みやすさは薬歴などの書き方にも通じるポイントなので、重要です。

職務経歴の書き方には、時系列に沿ってキャリアを積んできた過程を伝えやすい「編年体式」、最近の実績をアピールできる「逆編年体式」、職務内容別にまとめて経験やスキルを示しやすい「キャリア式」などがあります。自分自身の強みや応募先のニーズに合う方法で書くのがベストです。

実績や結果で数字を使って表現できるものがある場合は、積極的にアピールとして使いましょう。経歴に薬局があれば、処方箋応需科目や応需枚数、薬剤師数などを記載します。病院であれば、診療科目や病床数、職員数などを挙げて病院の規模を示します。

管理薬剤師歴、1人薬剤師歴、調剤マニュアル作成歴、教育担当なども忘れずに記載しましょう。調剤業務で経験したことがある業務は、応募先でも即戦力として活きる可能性があります。

また、薬剤師は患者や他職種とのコミュニケーションスキルも重視されます。

「活かせる経験・知識・技術」のポイント

応募先の業務に活かせそうなことで、今までの実績や業務上で行った工夫、意識したこと、スキルを箇条書きで簡潔に記載します。専門スキルだけでなく、業務に応用可能なビジネススキル(語学力、PCスキル、マネジメントスキル、コミュニケーションスキルなど)も記入すると、入社後の働きをさらにアピールすることもできます。

「保有資格」のポイント

取得年月の古い順に、正式名称で記入します。研修認定薬剤師、糖尿病療養指導士など業務に関係ある資格がある場合は、ここで必ずアピールしましょう。

また、高齢化社会で在宅業務のニーズがあります。介護支援専門員(ケアマネジャー)など介護関係の資格がある場合もここに記載しましょう。TOEICや英検などの語学スキル証明の資格も優遇されやすいので、ある場合は記載します。

「自己PR」のポイント

志望先の公式サイトを確認して、企業理念や業務内容、事業の方向性、求められている人物像などをふまえて、「強み」や「熱意」をアピールします。志望先のどういうところが自分の長所と合っているのかじっくり考えておくことは、働くときに必ず役立つので、時間を取ってしっかり考えましょう。自然と他社で記載した自己PRの内容をそのまま使うことにはなりません。

「一生懸命頑張りました」などの抽象的な内容はNGです。「職場の雰囲気にふさわしい」「周囲に良い影響を与えられる」人柄である、「こんなふうに職場に貢献できる」「自分はこのようにスケールアップしていきたい」などが伝わりやすい印象深いエピソードを1~2個に絞って書くと良いでしょう。

自己PR は文章か箇条書きで記載します。どの企業でも必要なビジネスパーソンとしてのコアスキルは簡潔に記載しましょう。箇条書きのときは3 つくらい、文章のときは5 行以内が目安です。

「どこを自己PRして良いのか分からない」と悩む場合もあるかもしれません。自己PRポイントは人と同じであっても良いのです。自分に実際にあったエピソードを加えれば、自分だけの自己PRになります。

職務経歴書を作成するときの注意点

職務経歴書を作成すれば経験やスキルをより詳しく伝えることができます。職務経歴書の書き方をマスターして、転職を成功させましょう。

ここでは、職務経歴書の注意点について解説します。

パソコンで作成する

手書きかパソコンが良いかについては、決まっていません。しかし、履歴書と比べると書く内容が多く、レイアウトの工夫も必要なので、パソコンで作成するほうが読みやすくきれいな仕上がりになるでしょう。さらに、パソコンスキルのアピールにもつながるのでパソコンで作成することをおすすめします。

A4用紙1~2枚でまとめる

特に決まりはありませんが、キャリアが長いなどの特別な事情がない限り、A4サイズ白色無地の用紙を基本に、1~2枚までにまとめましょう。というのは、長すぎる職務経歴書はあまり印象が良くないからです。フォントは明朝体を使うと読みやすい仕上がりになります。キャリアが長い場合も4~5枚に留めます。

「です」「ます」調で簡潔にまとめる

文章は「です」「ます」調にして、簡潔にまとめましょう。なぜなら、採用担当者は数多くの履歴書や職務経歴書に目を通します。ていねいで柔らかい印象の「です」「ます」調で書かれた職務経歴書の方が、読みやすく、好感を持てるからです。

志望先が興味を持ちそうな「経験」「知識」「能力」などを念頭に置きながら、箇条書きで簡潔にまとめてアピールするとベストです。

職務経歴書の提出前にチェックすべきこと

ここでは、職務経歴書作成が済んだら、提出前にチェックすべきことを解説します。職務経歴書の提出前にチェックすべきことは以下の10個のポイントです。

 誤字脱字のチェック
 フォントの種類や文字の大きさにばらつきはないか
 入学/ 卒業や入社/ 退職などの年月を間違えていないか
 見出しやタイトルを適宜設け、読みやすさに配慮したレイアウトになっているか
 日付や氏名など基本的な項目がきちんと記載されているか
 日本語として意味の通じる文章になっているか
 抽象的な内容ではなく、数値などを入れて採用側がイメージしやすい内容になっているか
 履歴書などほかの応募書類の内容と齟齬がないか
 自分が採用担当者ならこれを見て会いたいと思うか
 見やすさやわかりやすさのために具体的に工夫されているか

提出前のチェックを怠ると、「採用してもこのくらいのミスはある」と思われてしまい、会ってさえもらえない可能性があります。

まとめ

この記事では、職務経歴書の役割、薬剤師は職務経歴書で何がアピールできるのか、職務経歴書で薬剤師としての「強み」を効果的に伝えるコツ、職務経歴書を作成するときの注意点、職務経歴書の提出前にチェックすべきことを解説してきました。

薬剤師を採用する企業・薬局は、どこの大学を出たかより、どのような職場でどのような経験を積んできたか、ということを知りたいです。したがって、薬剤師としての強みをアピールできる職務経歴書をしっかり書くことは有利な転職につながります。

職務経歴書は履歴書だけではわからない業務上の細かな情報を記載して、実務能力や経験、スキルなどを伝えます。履歴書に比べ、自分の長所をアピールしやすいので、上手に活用すれば転職の強い武器になります。

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