「調剤薬局への転職 で後悔しないためには、どうすればいいの?」「調剤薬局へ転職するときに押さえるべきポイントって何?」と考えたり、悩んだりしている薬剤師の方もいらっしゃるかもしれません。
薬剤師の転職先として、調剤薬局は求人数が多く、その分ハードルも低めなので、人気があります。しかし、安易に転職先を決めてしまうと、後悔することになりかねません。
この記事では、処方箋枚数だけで忙しさを判断できるのか 、職場ごとの特徴を理解して理想のワークライフバランスへ、薬剤師の職場選びで確認したい判断軸、調剤薬局の種類別の向いている薬剤師の特徴をドラッグストア勤務経験のある元病院薬剤師が紹介します。
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👉希望に合う求人を紹介してもらう処方箋枚数だけで忙しさを判断できる?
調剤薬局の忙しさを、処方箋枚数だけで判断するのは難しいでしょう。というのは、調剤薬局の忙しさは、薬剤師人数や業務内容、設備、他職種のかかわり方にも影響されるからです。例えば、処方箋枚数80枚の調剤薬局の場合、常時勤務する 薬剤師数によって、各人が扱う枚数は以下のように変わります。
● 薬剤師数2名:40枚
● 薬剤師数3名:27枚
倍とは言わないまでも、かなり違うことがわかります。これが処方箋枚数だけで忙しさを判断できないという理由です。職場の状況をよく知ってから、忙しいかどうかを判断するようすれば良いでしょう。
そもそも1日に扱える処方箋の枚数は何枚?
厚生労働省令では「1日平均40枚の院外処方箋に対して、薬局に薬剤師を1人配置する」と定められています。 耳鼻咽喉科、眼科、歯科の処方箋枚数は2/3で換算し、その他の診療科の枚数と合計します。
e-Gov|薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令
一人あたりの平均院外処方箋の枚数が規程よりも上回る場合は、薬剤師の配置人数を増やさなければいけません。 したがって、処方箋枚数だけで職場の忙しさの判断はできませんが、見極める目安のひとつにはなるでしょう。
忙しさを判断する処方箋枚数以外のポイント
調剤薬局の忙しさに影響する処方箋枚数以外のポイントとしては、以下のことがあげられます。
● 勤務している薬剤師人数・薬剤師の勤務経験
● 応需する処方箋科目
● 処方医師の方針や考え方
● 設備や事務員の 業務への関与状況
薬剤師歴が長いと手際よく業務を進められ 、新人だとそうはいかないのは予想できます。また、応需科目によって、外用薬だけを調剤すればいい場合と、散剤混合が多くある場合とでは、かかる時間も違ってきます。「お年寄りが多いから、大事なことは大きな字で書いてあげて」と、処方医師から説明や指導について、依頼が来ることもあるかもしれません。
ピッキングマシンがあれば、その分、業務は効率的にできるし、事務員が積極的に手伝ってくれる職場でも負担は減るでしょう。調剤薬局の業務を効率化する機器としては、錠剤分包機や調剤鑑査支援システムなど多くのものが販売されています。設置状況によって、業務負担は自ずと違ってくるでしょう。
職場ごとの特徴を理解して理想のワークライフバランスへ
理想のワークライフバランスを実現できる職場を見つけるに、 まず、それぞれの仕事内容や特徴を知ることから始めましょう。ここで紹介する薬剤師の職場は、調剤薬局、ドラッグストア、 病院、製薬会社の4つです。
1:調剤薬局
調剤薬局では、調剤や服薬指導、薬歴管理をします。調剤と同時に、医師の処方内容の適正さを判断する「処方監査」も行います。服薬指導では服用についての説明のほかに、患者の悩みについて薬剤師としてアドバイスすることもあるでしょう。薬歴管理では処方状況や患者からの聞き取り情報を管理します。服用履歴や副作用状況なども、チェックポイントです。
調剤薬局では、定期通院する利用者が元気になっていくこと分かるので、患者の健康・地域の健康に貢献しているという実感が得られます。患者に感謝されることも多く、やりがいを感じられるでしょう。
給料は調剤薬局にもよりますが、他の業態と比べると低い傾向にあります 。給料の大きな上昇は見込めず、管理薬剤師などの役職に付かなければ、ほぼ新卒入社時と変わらない年収が続くことが多いでしょう 。
しかし、ワークライフバランスを 取りやすいことが特徴としてあげられます。女性が多い職場なので、産休・育休や時短勤務制度を利用しやすい環境が整備されており、 そのほかの子育て支援も充実していることが多い職場です。男性の育児休暇の取得実績がある会社も増えてきました。 「仕事も、子育ても」とワークライフバランスを考える方には最適な職場ではないでしょうか。
2:ドラッグストア
ドラッグストアの薬剤師はOTC医薬品販売や店舗運営の業務がメインです。調剤併設であれば、調剤業務も担当します。OTC医薬品のカウンセリング販売を実施し 、サプリメントや健康食品、生活雑貨などの商品も取り扱います。またレジでの接客業務、商品の発注や品出し、売り場作り、在庫管理など職場によって業務の幅は異なります。 ドラッグストア薬剤師の給料は初任給がやや高め ですが、勤続年数やキャリアにより大きく違い、店長 やマネージャーとなるとかなりアップします。
OTC医薬品や生活用品など幅広い商品を扱ううえに、店舗運営についても学べるのが、ドラッグストアの特徴です。薬剤師の業務以外に、お店の販売促進や企画作りなどをすると成果を目で見て実感できるでしょう。一人薬剤師、人手不足の店舗など勤務先の状況で、働き方 も変わりやすい傾向があります。
専門性より、幅広い商品知識や接客対応が重要なのが、ドラッグストア薬剤師です。人とのコミュニケーションに重きを置いて、働きたい薬剤師に向いています。また、店舗運営やPOP広告作りなどに喜びを感じ、お客さんに添いつつ働きたい薬剤師にもおすすめです。
3:病院
病院薬剤師の仕事は、大きく「調剤」と「服薬指導」に分けられます。内服薬調剤は医師が発行した処方箋を元に行います。ほかにも注射薬調剤や救命救急センターでの薬の準備など、扱う薬剤は多岐に及びます。服薬指導は患者に、処方された薬の効果や飲み方、副作用などの情報を提供する仕事です。
病院薬剤師の給料はたいていの場合、薬剤師歴と勤続年数で決まります。長く勤務するほど給料は高くなるでしょう。
病院薬剤師の仕事の特徴は、最先端の医療現場で、チーム医療の一員として関われることです。病院薬剤師でしか得られない、専門的な知識も身に付きます。
一方、夜勤や残業、当直など病院特有の業務があるのも事実です。子育てとの両立を目指す方は、慢性期病院など夜勤の心配が少ない職場を選ぶといいでしょう。 事前に家族とワークライフバランスについて話し合う必要もありそうです。
る薬剤師は、チームで働くことにやりがいを持てる、周囲と良好な関係を作れる薬剤師が病院に向いています。
4:製薬会社
製薬会社で働く薬剤師の職種は、主に「研究」「開発」「MR」「DI」の4つです。どの職種に就きたいかは、自分のスキルやビジョンから考えます。給料は薬剤師のなかで最も高収入です。成績が良いMRであれば、年収1000万円を超えるケースも あります。ただし仕事内容は、薬を調剤する薬剤師よりも、専門的で高度な知識が要求されるでしょう。
製薬会社への転職は難しいといわれます。製薬会社は大手企業が多いので、競争率が高く、厳しい募集要件が設けられていることがほとんどです。 そして、 非常に忙しいことも事実です。MRであれば、医師と医薬品情報を交えたコミュニケーションを取る必要のために、勉強が 欠かせません。帰宅後の自分の時間を使うこともあるでしょう。
薬剤師が働く職場の中でも最高クラスの年収が期待できるので、専門性が高く、しかも収入にこだわりたい仕事をしたい薬剤師におすすめです。また「医薬品を世の中に送り出す」仕事をしてみたい方にも向いています。
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👉希望に合う求人を紹介してもらう薬剤師の職場選びで確認したい判断軸
職場選びで気になることはたくさんあります。ここでは、必ずチェックすべきことをピックアップしながら、職場を選ぶ際のポイントも紹介します。
給与関係
給与の基本給の額、各種手当の額をそれぞれ確認します。基本給とは毎月決まった金額で支給される給料のことで、各種手当は基本給に上乗せして支給されます。
各種手当の例として挙げられるのは、深夜休日出勤手当や時間外手当、役職手当などです。福利厚生の一環で、企業独自の手当が出ている場合もあります。
求人票には手当込みの額が記載されている場合があるので注意しましょう。また、固定残業代の有無や詳細も要チェックです。
固定残業代制では残業しなくても固定残業代が支払われるという労働者のメリットがある一方、基本給が低く抑えられてしまうというデメリットもあります。
給与で「基本給」の額は大切です。ボーナスは、ほとんどの場合「基本給の〇か月分」と決められています。また、基本給は勤続年数によって高くなり、それにつれてボーナスの額も高くなるというように、今後の年収にも関わる重要な項目です。
昇給のタイミングや頻度も忘れずに確認しましょう。昇給がほとんどなく年収が頭打ちであるような場合は、「働く意欲」に影響する可能性があります。企業の公式ホームページで確認できない場合は、大学の先輩など実際に勤務している社員に話を聞くのが良いでしょう。
勤務時間・残業時間
勤務時間は始業時刻と終業時刻だけでなく、昼休み時間も確認しましょう。昼休みの時刻や何時間とれるのかは、働き方に影響するので要チェックです。昼休みが長くて終業時間が遅いと総勤務時間は短くても、帰宅時間が遅くなってしまいます。
また残業時間を確認する場合も、平均残業時間ではなく、繁忙期の残業時間を確認しましょう。最も残業時間が多い時に自分自身が対応できるかどうかを知っておくのです。
休日体制
健康で働き続けるために休日体制は重要です。休日体制については以下のことを確認しましょう。
● 具体的な休日(曜日など)
● 年間休日数
● 当番日(休日の当番薬局)の有無
「週休2日制」とは、「週に2日休み」が月に1回以上あり、そのほかの週は1日休みとなる方式です。
「週休二日制=毎週2日間休み」というわけではありません。曜日を含めた1か月間の休日日数を確認しましょう。
一般的に病院は交代勤務、調剤薬局やドラッグストアはシフト制を取っている場合が多いようです。職場によって休みの取り方は異なるので、十分注意しましょう。
異動の有無
異動したい場合も、したくない場合も、頻度や異動範囲などを含めて、異動の有無について確認しましょう。自身の状況と照らし合わせることが目的です。
一般的に、製薬会社はある程度の期間、全国転勤が基本です。一方、その他は、全国のすべての地域に病院や薬局はあるので、全国規模の転勤は少ない場合が多いようです。
薬局のタイプ
調剤薬局を検討する場合には、薬局のタイプによって、忙しさ、働き方、経営方針などがそれぞれ違うため、自分に合うタイプを選ぶことが大切になります。薬局のタイプの例としては次のものが挙げられます。
● 門前薬局か面薬局か
● チェーン薬局か個人薬局か
● 調剤専門かドラッグストア併設か
それぞれの薬局のメリット・デメリットを考慮して選びましょう。
対応している処方箋科目
病院や調剤薬局、調剤併設のドラッグストアを検討する場合には、対応している処方箋科目を確認しましょう。応需科目が多ければ知識やスキルはアップしますが、勉強が大変です。また応需科目が少ないと短期間で仕事には慣れますが、知識に偏りが生じる可能性あります。
どちらが良いというわけではなく、自分の目的や性格などに合わせて選びましょう。
処方箋枚数
病院や調剤薬局、調剤併設のドラッグストアを検討する場合、処方箋枚数は年間の平均枚数だけではなく、繁忙期の枚数もチェックしましょう。厚生労働省令では「1日平均40枚の院外処方箋に対して、薬局に薬剤師を1人配置する」と定められています。
e-Gov|薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令
薬剤師1人当たりの処方箋枚数を算出して、ある程度の忙しさを予測してみましょう。
常勤薬剤師の人数
病院や調剤薬局、調剤併設のドラッグストア を検討する場合には、常勤薬剤師が多いほうが、一般的に休みは取りやすくなります。調剤薬局やドラッグストアで常勤薬剤師が少ない場合は、ヘルプ体制があるかどうか 、チェックしましょう。特に子育て中などで急な休み・早退が発生しそうな場合は、この点に注視して求人を探してみましょう。
職場の雰囲気
職場の雰囲気は働きにくさに直結することもあります。可能ならば、入社前に職場訪問してみるのがいいでしょう。薬剤師と他職種の関係にも注意が必要です。
職場訪問できない場合は、エージェントを利用して確認するのもおすすめです。
《調剤薬局の種類別》向いている薬剤師の特徴
できる限り転職には失敗したくないものです。ここでは調剤薬局の種類別に、転職に失敗しない薬剤師のタイプを紹介します。おすすめの調剤薬局の種類でもあるので、自分の希望と照らし合わせながら、読んでみてください。
大手チェーン調剤薬局
大手チェーン調剤薬局への転職に向いている薬剤師は以下のとおりです。
● 結婚や出産を考えている女性薬剤師
● 調剤未経験の薬剤師
薬剤師は女性が多い職業で、特に 調剤薬局ではその比率は高くなっています。結婚で引っ越しする場合も、異動で対応できる場合があり、退職せずに済みます。出産についてもほかの従業員の実績があるため、産休・育休を 取得しやすく、子育て支援 も充実しているでしょう。また、ヘルプ体制も整っているので、妊娠初期の体調が不安定な時期に無理せず、乗り切れるでしょう。
大手チェーン薬局では、研修制度が充実しているので、未経験でも比較的安心して転職できます。また、門前薬局・面薬局などさまざまな店舗を経験できるので、スキルアップにつながります。
個人経営の中小規模の調剤薬局へ転職した場合を考えてみましょう。設備が十分でないことも多く、また同じ店舗で勤務を続けるので、知識も偏ってしまいます。その店舗でしか働けない薬剤師になってしまい、将来的に転職を考えた場合、選択肢の幅 も狭まってしまうでしょう。
中小規模の調剤薬局
中小規模の調剤薬局への転職に向いている薬剤師は以下のとおりです。
● 子育て中のパパママ薬剤師
● 高収入をねらう経験豊富な薬剤師
子育て中は子どもの体調不良や学校行事など、休みが欲しいことが続きます。中小規模の調剤薬局では、経営者や管理職との距離が近く、シフトの相談にも応じてもらいやすいのがメリットです。また異動の範囲が狭く、子どもを転校させないで済みます。
中小規模の調剤薬局は研修制度が十分ではないため、即戦力となる薬剤師を高年収で募集することが多く、高収入をねらう、実力派薬剤師に おすすめです。なぜなら、給与体系が決まっている大手チェーン薬局では、経験豊富で実力があっても相場以上の年収は得にくいからです。
また、多店舗経営を考えている企業であれば、新規店舗立ち上げや合併などの経験を高く評価してくれることもあるでしょう。
OTCメインの調剤薬局併設店
OTCメインの調剤薬局併設店への転職に向いている薬剤師は以下のとおりです。
● ガッツリ稼ぎたい薬剤師
● いろいろ経験したい若手薬剤師
ドラッグストアの比重が大きい店舗では、業務の負担は大きいものの年収が高めなので、忙しくてもいいから、ガッツリ稼ぎたい薬剤師にはおすすめです。
OTCメインの調剤薬局併設店ではOTC医薬品の販売業務が大半です。接客がメインですが、品出しやレジ打ちなども行うので、通常の調剤薬局に比べて負担は大きくなります 。その分年収は高く、ノルマを達成すれば、ボーナスや昇給にも反映されるので、人並み以上に稼げます。
調剤だけでなく、OTC販売やマネジメント も経験できるため、薬剤師としてのスキルも学びたい、給料も高いほうが良いという方にはおすすめです。
また、将来的にも店長やエリアマネージャー、商品を買い付けるバイヤーなど、調剤薬局のみの企業 に比べて、キャリアパスも豊富です。
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この記事では、処方箋枚数だけで忙しさを判断できるのか 、職場ごとの特徴を理解して理想のワークライフバランスへ、薬剤師の職場選びで確認したい判断軸、調剤薬局の種類別の向いている薬剤師の特徴を解説しました。
薬剤師の転職先として、調剤薬局は求人数が多く、その分ハードルも低めなので、人気があります。しかし、求人票だけではわからないこともあるので、転職前には「給与関係」「勤務時間・残業時間」「休日体制」などの要所を必ずチェックしましょう。
また希望によっては、マッチする調剤薬局のタイプがはっきりしている場合もあります。そのような場合は、調剤薬局のタイプに絞って転職を検討してみるのもいいでしょう。