ブランクのある薬剤師が転職を成功させるには?職場の選び方や復職のコツ

ブランクのある薬剤師が転職を成功させるには?職場の選び方や復職のコツ

ブランクのある薬剤師が転職を成功させるには?職場の選び方や復職のコツ

子育てや介護など家庭の事情が一段落して久しぶりに薬剤師への復職を考えるとき、数年のブランクがあるということもあり、何かと不安を抱えてしまう薬剤師が多いようです。しかし、薬剤師はブランクがあっても比較的復職しやすい職業とされていて、職場の選び方を工夫すれば、復職のハードルはさほど高くはありません。

本記事では、ブランクのある薬剤師が転職を成功させるために知っておきたい職場の選び方や復職のコツについてご紹介します。

ブランクのある薬剤師が抱える悩み

ブランク期間がない転職と比べ、ブランク期間がある復職で不安を感じやすいのはなぜでしょうか?まずは、ブランクのある薬剤師が復職する際に抱えやすい悩みについてご紹介します。

知識への不安

薬剤師という仕事は、国家試験に合格すれば勉強から解放されるというわけではありません。薬学や医療は日進月歩で発展を続けていて、新しい治療薬や治療法が次々と開発されています。

この変化についていくためには生涯学習が必要不可欠ですが、現場を離れている期間が長いと、入手できる情報に限りがあったり勉強する時間がなかなか取れなかったりと、自分の知識に不安を感じるようになります。

知識への不安から、復職後に処方鑑査や服薬指導などが以前と同じようにできるのか悩んでしまう薬剤師も少なくありません。

人間関係への不安

数年のブランクを経た久しぶりの社会復帰では「職場の雰囲気に馴染めるか」「ブランクがあることでほかの薬剤師に迷惑をかけるのではないか」など、人間関係の不安を感じることもあります。

特に、子育て中に短時間勤務で復職する場合は、フルタイムの薬剤師との人間関係がうまくいかないのではないかと気になってしまうかもしれません。

転職活動に対する不安

ブランクのある薬剤師には、転職活動に対する不安もあります。資格職のため比較的転職しやすいとされる薬剤師ですが、ブランクがあると「希望条件に合った職場への就職が難しいのではないか」「ブランク期間が長いことを懸念され、選考で落とされてしまうのではないか」など、悩みはつきません。

薬剤師のブランクは2年までといわれるのはなぜ?

薬剤師の転職に影響しないブランク期間は2年までといわれることがあります。実際には10年20年のブランクがあっても転職することが可能ですが、転職に成功するためには薬剤師のブランクは2年までといわれる理由を知っておくことが重要です。

知識が不足しやすいから

ブランク期間が長くなるほど、身に付けていた知識を忘れてしまいます。国家試験に向けて必死に勉強したはずなのに、実際に仕事で使わない知識についてはほとんど忘れてしまったという薬剤師も多いかもしれません。このように、使わない知識はだんだんと記憶から消えていきます。

新しい治療薬や治療法なども日々変化しているため、薬剤師としてスムーズに働くためには、知識の維持だけでなく新しい情報をアップデートしていく必要があります。ブランク期間中にもハイレベルな勉強を続けられれば問題ないものの、子育てや介護などで忙しく、なかなか勉強の時間が取れないのが普通です。

このような背景もあり、ブランク期間が2年を超えると知識不足の懸念があると判断されやすい傾向にあります。

調剤報酬や薬価などが2年で見直されるから

調剤報酬や診療報酬は2年ごとに改定され、薬価については2021年度から毎年の改定が実施されています。

特に調剤報酬や診療報酬に関しては、薬局や病院などの収益に直結する加算算定のルールなどが、2年以上経つと完全に変わってしまう例もあります。ブランクが2年以内であれば、改定後の新たなルールにもスムーズについていきやすいとされています。

新薬が登場するから

日本では、1年間に約40種類の新薬が承認されています。また、新たな後発医薬品も毎年多くの品目で発売されています。現場を離れていると、MRやMSと会う機会や勉強会・学会などに参加する機会が少なくなるため、最新の情報が入手しにくくなります。

ブランク期間が2年を超えると、ブランク期間中の新薬の数が膨大になるため復職後に網羅的に確認することが難しく、新薬に関する知識が不足しやすい傾向にあるとされています。

実際には10年・20年ブランクがあっても復職可能

薬剤師の転職に影響しないブランク期間は一般的に2年までとされるものの、2年を超えると復職できないというわけではありません。実際には、10年20年のブランクがあるにも関わらず、復職に成功している薬剤師も多くいます。

薬剤師は国家資格であり、免許を持っていないと従事することのできない独占業務です。薬剤師が不足している職場も多く、ほかの職種に比べるとブランクがあっても復職しやすいとされています。

また、薬剤師は女性比率が高い職種のため結婚や子育て後に復職する人が多く、ブランクがある人の受け入れ体制が整っている傾向にあります。

ブランクのある薬剤師が転職しやすい職場は?

ブランクのある薬剤師が復職を成功させるには、就職先の選び方がとても重要です。ここからは、ブランクがある場合の就職先の選び方のポイントについてご紹介します。

ブランク歓迎で募集されている職場

求人情報を確認するときは「ブランク歓迎」や「未経験者歓迎」といったキーワードが記載されている求人を探しましょう。このような職場は、研修制度が充実していたり教育に時間をかけられるだけの人員の余裕があったりと、ある程度のフォロー体制が整っていると考えられます。

また、このような求人では即戦力が求められているわけではなく、将来的な活躍を期待して募集が行われているのが一般的です。これまでにもブランクから復職している薬剤師がいる可能性が高く、人間関係の面でも馴染みやすいかもしれません。

調剤薬局やドラッグストア

病院やクリニックと比べると、調剤薬局やドラッグストアでは比較的ブランクが問題になりにくいとされています。地域にもよりますが、調剤薬局やドラッグストアは人手不足の傾向が強く、常に求人数も多い状況です。

特に大手調剤薬局チェーンや大手ドラッグストアチェーンでは、在籍する薬剤師やスタッフの数が多いため、サポートを受けやすい傾向にあります。受け入れる側もブランクのある薬剤師の入職に慣れているため、初めは負担の少ない調剤業務から任せ、レベルを見ながら徐々に鑑査や服薬指導といった複雑な業務にチャレンジさせるなど、業務分担などを配慮してもらいやすいかもしれません。

また、会社の規模が大きいほど研修制度が充実していることも多く、知識不足の不安も解消しやすい傾向にあります。

過去に勤務していた職場と同業種

ブランクのある薬剤師が復職する場合、過去に勤務経験のない業種への転職は難易度が上がるため、これまでの経験を活かせる業種を選ぶのがおすすめです。

例えば、調剤薬局のみで勤務していた薬剤師が病院へ転職すると、新たに学ばなければいけないことが非常に多く、負担が大きくなります。

また、調剤薬局を選ぶときは主に応需する診療科を確認しておくことも重要です。過去に門前薬局で勤務していた場合は、当時と同じ診療科をメインに扱う薬局だと復帰がスムーズです。

ブランクのある薬剤師が転職を成功させるポイント

最後に、ブランクのある薬剤師が転職に成功するためのポイントを紹介します。

無理のない働き方を選択する

ブランクのある薬剤師が復職する際は、自分にとって無理のない働き方を選択することが何よりも重要です。特にブランク期間が長い方や子育て中の方では、初めからフルタイムで勤務するのは負担がかかりすぎてしまう場合もあります。

慣れない環境で無理な働き方をして体調を崩したりすることのないよう、自分の置かれている環境に応じ、パートや派遣での勤務も視野に入れて復職先を検討してください。パートで就職する場合は、将来的に正社員へのステップアップが可能かどうかを確認しておくと良いでしょう。派遣で就職する場合は、正社員でやっていけるかどうかを働きながら判断できる「紹介予定派遣」がおすすめです。

転職における優先順位を明確にする

ブランクのある薬剤師が復職する際は、転職における優先順位をあらかじめ明確にしておきましょう。あれもこれもと欲張り希望条件が厳しくなると、条件に当てはまる求人が見つからない可能性や、人気の高い求人にしか応募できない可能性もあります。倍率の高い選考では、どうしてもブランクのない即戦力の薬剤師と比べられてしまうため、思ったような結果がなかなか得られないかもしれません。

ブランクのある薬剤師は、収入を優先するのか、家庭との両立を優先するのかなど、自分にとって譲れない条件を明確にした上で職場を選択すると転職に成功しやすくなります。

今後のキャリアプランを考える

復職した後は、社会人としてのキャリアが再スタートします。自分が今後どのような働き方やキャリアを目指したいかを明確にしておくことで、選考の際にプラスに働きます。

特にブランク期間が長い場合、採用にあたってブランクの理由が重要視される傾向にあります。ブランクの理由とともにこれからのキャリアプランを明確に伝えることで「またすぐ辞めてしまうのでは?」といった早期離職の懸念を払拭することができるかもしれません。また、即戦力ではなく将来的な戦力を期待して求人を出している職場では、明確な目標があればブランクが問題とならない場合もあります。

必要な知識の学び直しをしておく

ブランクのある薬剤師が転職を成功させるためには、必要な知識の学び直しをしておくのも有効です。スキルアップに意欲的な薬剤師は、選考の際にも歓迎されやすい傾向にあります。

生涯学習を目的とした薬剤師向けのeラーニングや研修会などを活用すれば、最新の医療情報を学ぶことができます。また、直近の報酬改定について国が発行した資料なども活用できます。復職を機に、学び直しにもチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

転職したい職場の雰囲気を確認する

復職後のミスマッチを避けるためにも、応募を検討している職場の雰囲気は必ず確認しておきましょう。普段の様子を見たいときは、応募を検討している職場を利用者として訪問し、雰囲気を確認するのも有効です。子育て中と思われるスタッフが活躍している職場なら、スムーズに復職できる可能性も高いといえるでしょう。

まとめ

薬剤師の転職に影響しないブランク期間は一般的に2年までとされるものの、2年を超えると復職できないわけではありません。実際には、10年20年のブランクがあるにも関わらず、復職に成功している薬剤師も多くいます。

ブランクのある薬剤師が復職に成功するためには、自分の中での優先順位を明確にする、今後のキャリアプランを考える、必要な知識の学び直しをするなど、いくつかのコツがあります。

自分だけで転職活動を進めるのに不安がある方は、転職エージェントを利用するのもひとつの方法です。薬剤師の働き方について熟知した専門のスタッフが最適な働き方を提案してくれるだけでなく、ブランク明けの復職を成功させるためのアドバイスも受けられます。

興味のある方は、まずは情報収集から初めてみてはいかがでしょうか?

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