HPKIカードとは(薬剤師資格証)とは?申請方法や2nd電子証明書との違いを解説

薬剤師の活躍分野では、令和5年1月から電子処方箋の発行、同年4月からオンライン資格確認等システムの導入が原則義務化されています。こうした中で薬剤師に必須となっているのが、HPKIカードと呼ばれるものです。

今回は、HPKIカードの使われ方や、申請方法についてご紹介します。まだお持ちではないという方、何ができるものなのかよくわからないという方の、参考になれば幸いです。

HPKIカードとは?

まずは、HPKIカードがそもそもどういったものなのか、解説します。

HPKIカードの対象資格と呼称

HPKIとは、保健医療福祉分野公開鍵基盤(Healthcare Public Key Infrastructure)の略称です。このカードは、所持する人が医療福祉分野の公的資格を持っていることを証明する「物理的な証明書」であるとともに、内臓ICチップにHPKI証明書を内包することで、電子署名などにも利用できるようになっています。

対象となる医療福祉分野の資格は、27種類の国家資格と5種類の管理者等資格ですが、まずは、すでに開始している電子処方箋やオンライン資格確認などに対応するために、医師・歯科医師・薬剤師の3資格での導入が始まっています。そのほかの資格に関しては、今後順次導入されていく予定です。

資格によって呼称が異なっており、日本薬剤師会などではHPKIカードのことを「薬剤師資格証」、日本医師会では「医師資格証」と呼んでいます。「薬剤師資格証」に関しては、日本薬剤師会の会員・非会員問わず、薬剤師であれば誰でも取得することが可能です。

HPKIカードでできること

HPKIカードの機能は、券面の「物理的な証明書」と「ICチップによる認証機能」の2種類に分けられます。

物理的な証明書としては、例えば、大規模災害時などの現場でカードを見せることで、薬剤師資格の確認をおこなえるなどのメリットが挙げられます。現行の「薬剤師免許証」は大きく持ち運べるものではないため、有事の際はHPKIカードの利便性が高いでしょう。

「ICチップによる認証機能」では、令和5年1月より解禁された電子処方箋への調剤済み印の押印のほかに、以下のシーンでの活用が見込まれています。

・ITシステムへのログイン認証
・研修会の受講履歴や単位の管理
・講習会の受付 など

HPKIセカンド電子証明書とは

「カード」という小さな物理媒体ですので、紛失や破損というトラブルも考えられます。そういった場合に電子処方箋へ対応できないとなれば困ってしまいますよね。そこで導入されたのが「HPKIセカンド電子証明書」です。

HPKIカード発行者に対して追加発行される、2番目の電子証明書で、2nd電子証明書と呼ばれています。スマートフォンなど、生体認証付きのモバイル端末で認証をすることで、カードがなくてもHPKI電子署名ができるようになるシステムです。

HPKIカードが導入された背景

近年の日本は超高齢化社会へと向かっており、超高齢化社会で社会保障制度の持続可能性を確保するための対策が求められています。そのひとつとして、一人ひとりの国民の「健康寿命を延ばすこと」と「社会保障の質を確保したうえで効率化すること」が必要です。

そこで、「データヘルス改革」を通じた保健医療分野のビッグデータ活用が注目されており、その一環として令和5年1月から電子処方箋が導入されました。電子処方箋の運用のためには、医師の「国家資格の証明」と「電子認証」の2つが必要で、この両方を満たす仕組みとして作られたのがHPKIカードです。

データヘルス改革は、いわゆる保健医療DX(デジタルトランスフォーメーション)のことで、デジタル技術で医療情報を管理し、医療の質の向上や予防医療の推進などを目指して進められています。HPKIカードを用いたオンライン資格確認はまだスタート地点で、今後は電子カルテ情報の標準化や診療報酬改定もおこなわれていく予定です。

日本が保健医療DXを進めていくためには、対象資格者のHPKIカード発行を加速させることが必要不可欠となります。

HPKIカード(薬剤師資格証)の発行申請に必要な書類

まだHPKIカードをお持ちでない薬剤師も多いでしょう。HPKIカードの発行申請に必要なものをご紹介します。

発行申請書

専用サイトで作成したものをプリントアウトし、本人による署名やパスワードを記入してPDF化したものを用意します。

発行から6か月以内の住民票

住民票を取得します。コピーは使用不可で、マイナンバーの記載がないものを用意しましょう。

本人確認書類のコピー

以下のうち、有効期限内のものがいずれか一点必要です。

・運転免許証(裏面に記載がある場合は、表と裏の両方)
・マイナンバーカード(表面のみ)
・写真付きの住基カード
・官公庁職員身分証明書(張替え防止措置済みの写真が付いたもの)
・日本国旅券(パスポート)

薬剤師免許証のコピー

薬剤師免許証の記載内容がしっかり判読できるコピーを用意します。A4への縮小コピーや、2枚に分かれたものなども使用可能です。

顔写真

申請書に貼り付けるための、顔写真が必要です。外務省のパスポート写真の規格(45mm×35mm)です。

出典:「薬剤師資格証の取得について」(公益社団法人 日本薬剤師会)

HPKIカード(薬剤師資格証)の発行申請と交付までの流れ

HPKIカード(薬剤師資格証)の発行申請の流れを解説します。日本薬剤師会では、発行申請や受領の手続きについて動画も公開していますので、参考にしてください。

 

申請書情報を作成する

まずは、日本薬剤師会認証局のサイト内にある「申請書作成支援サービス」で、メール送信から30分以内に認証を行い、申請書データを入力します。このとき、所属の薬剤師会もしくは、カード受け取りをする薬剤師会を選択します。対面で受け取る必要があるため、転居などを控えている方は落ち着いてからが良いでしょう。

申請書を作成後、ダウンロードした申請書をPDF化して顔写真を貼り、自署と暗証番号の記入をして申請書の準備は完了です。

郵送申請〜審査

ダウンロードした申請書と、先ほどご紹介した必要書類をすべて揃えて、送付窓口へ郵送します。
窓口に到着した書類は個別に審査がおこなわれ、審査に合格すると、審査結果と発行費用の振り込みに関する案内メールが届きます。

費用を支払う

メールに従い、年間運用費を支払います。支払い方法は、コンビニ払いもしくはクレジットカード払いです。更新や再発行の場合も、同様の発行費用がかかります。

<年間運用費>
・日本薬剤師会の会員:税別18,000円/5年(税込19,800円)
・会員(定価):税別24,000円/5年(税込み26,400円)

HPKIカードが交付される

日本薬剤師会から指定した薬剤師会にカードが届くと、薬剤師会から交付準備完了の連絡が届きます。薬剤師会によって、連絡方法はメール、電話、ハガキなど異なります。
本人確認書類を持参して、本人が対面で受領証に署名をしたのちHPKIカードを受け取ることができます。本人以外の方は受け取ることができません。

出典:「薬剤師資格証の取得について」(公益社団法人 日本薬剤師会)

まとめ

今回は、今後の薬剤師業務に必須となるHPKIカードの役割や申請方法についてご紹介しました。とくに、調剤薬局で働くにあたっては、早めにHPKIカードの発行申請をしておいた方が良いでしょう。

電子処方箋への電子署名だけでなく、今後さまざまな活用ができるようになると見込まれていますので、この記事を参考に申請をご検討ください。

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