薬剤師の仕事は、国家資格が必要な専門職です。医療機関や調剤薬局をはじめ、日本全国に就職先があるものの、薬剤師の転職は厳しい傾向にあります。
今回は、薬剤師の転職が厳しい理由や求人需要、転職を成功させるポイントを紹介します。
【転職事情】薬剤師の転職が厳しい理由
厚生労働省が公表している、「一般職業紹介状況(令和2年6月分)について」によると、2020年9月時点で医師や薬剤師の有効求人倍率は、2.01とされています。この数値はほかの業種に比較すると高いものの、前年同月と比較すると-1.48の差があり、薬剤師の求人が減少傾向にあるとわかります。
なぜ求人が減っているのか、薬剤師の転職が厳しい理由を見ていきましょう。
出典:「一般職業紹介状況(令和2年6月分)について」(厚生労働省)
1. 薬剤師の供給の増加
学校教育法の改正により、薬学部は2006年度から6年制に移行しました。薬剤師国家試験での合格者数は増加傾向にあるほか、薬学部も増設され、薬剤師の有資格者は年々増え続けています。とはいえ、全国の医療機関や調剤薬局の数が急激に増えるといった大きな変化はなく、薬剤師の供給が需要を上回っているのが実情です。
企業の買い手市場になると、ひとつの求人に応募者が集中します。厚生労働省がまとめた「薬剤師の需給推計(案)」でも、この状況は長期的に続くと予想されており、薬剤師の転職は厳しい傾向にあることがわかります。
出典:「薬剤師の需給推計(案)」(厚生労働省)
2. 調剤薬局の経営不振の影響
新型コロナウイルスの流行によって一般医療機関の受診率が低下し、病院門前の調剤薬局が閉局したり、薬剤師の雇用を減らしたりしています。また、ドラッグストアでの需要拡大や調剤薬局を併設する動きによる、調剤薬局の閉店も続いており、薬剤師が働ける職場は減少しています。
企業としても、柔軟に働ける正社員を求めるため、家庭の都合で短時間のパート勤務を希望する人は、特に転職のハードルが高いといえるでしょう。
3. 薬剤師の業務代替・減少
近年は各業界でAI技術が取り入れられ、業務の一部デジタル化が進められています。専門性の高い薬剤師の仕事も例外ではなく、2019年の法改正により、調剤薬局事務の業務内容が拡大し、薬剤師業務の一部代替が可能になりました。
あくまで一部業務ではありますが、今後は業務代替によって薬剤師の雇用が減少すると予想されています。
厳しい転職市場で採用される薬剤師って?4つの特徴
全国各地で需要はあるものの、現在、薬剤師の転職は厳しい状況にあります。そのなかで転職を実現させるためには、企業に求められる、市場価値の高い薬剤師になる必要があります。
厳しい転職市場でも採用される薬剤師の特徴をみていきましょう。
1. 豊富な調剤経験がある
調剤経験がある人材は即戦力となりやすく、教育コストがかからないため、ニーズが高く、厳しい状況下でも転職しやすい傾向にあります。教育体制が整っていない薬局でも、スムーズに業務を習得し活躍できる、と期待されます。
一方で、調剤未経験の薬剤師は転職難易度が高いため、転職の際は工夫が必要です。最初から「調剤未経験可」と条件提示されている薬局を選ぶか、教育体制の有無をチェックするなど、転職先を厳選しましょう。
2. かかりつけ薬剤師の経験がある
かかりつけ薬剤師として働いた実務経験があると、転職市場でも優遇されます。かかりつけ薬剤師は2016年から開始された制度で、地域包括ケアを推進するにあたって欠かせない存在とされています。
高齢化が進む日本の社会では、患者の服薬状況を正確に把握し、良好な関係を築きながら継続的に回復のお手伝いをするかかりつけ薬剤師はとても重要なポジションです。ニーズが高いため、転職後も再度かかりつけ薬剤師として活躍したい旨をアピールしましょう。
3. 管理薬剤師の経験がある
過去に管理薬剤師として働いていた経験がある人も、転職では有利に進みやすいといえます。薬剤師一人体制の薬局も多く存在しているため、即戦力として働ける経験者は貴重な存在です。
従業員の指導監督や医薬品の在庫管理、副作用が起きたときの対処といった業務は、主に管理薬剤師が担当します。さらに店舗運営による実績があれば、市場価値は確実に高まるでしょう。
4. 在宅医療の経験がある
高齢化社会が進む日本では在宅医療を受ける患者が増加しており、経験豊富な薬剤師は需要が高い傾向にあります。特に医師や看護師、介護スタッフと連携するチーム医療の経験が重視されるため、薬剤師としての知識やスキルのほか、コミュニケーション能力も重要です。
施設在宅が中心であったり、往診同行が頻繁にあったりと、ひとことで「在宅」といっても薬局によって業務の内容はさまざまです。これまで培ってきた経験を活かせる職場を見つけましょう。
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それでは、厳しい薬剤師の転職を成功させるポイントを見ていきましょう。
薬剤師の仕事は常に一定の需要があるものの、求職者が集中する買い手市場です。薬剤師の資格をもっているだけで転職に有利とはならないので、自分の強みをアピールする工夫が必要です。
経験やスキルの棚卸しする
まず、薬剤師としての経験やスキルを整理して、自分の強みを把握しましょう。市場価値を踏まえたうえで、自己分析を行います。自分が企業でどう活躍できるのか、どんな仕事をしたいのかを考えてみると、転職理由に説得力がでます。
志望動機を明確にする
企業を選んだ志望動機も明確にしておきましょう。数年~10年後のキャリアを考えて志望動機に盛り込むと、意欲のある人材としてプラスの評価が得られます。
情報収集と企業研究を行い、職場の方針や業務内容をしっかりと把握することも重要です。企業を知ることで、採用担当者が求めている薬剤師像をイメージしやすくなり、具体的なアピールに繋がります。
十分な面接対策を行う
自分の魅力をしっかりアピールするためにも、面接対策は欠かせません。競争率が高い薬剤師の転職市場では、採用担当者に良い印象をもたれるよう意識しましょう。
伝えたいことを端的に伝えられるように、繰り返し練習してください。
薬剤師専門の転職サポートサイトを活用する
自己分析の仕方や企業研究で悩んだら、転職サポートサイトを活用するのも選択肢のひとつです。薬剤師専門の転職エージェントを選べば、転職市場の実情や求人情報を効率的に収集でき、スムーズに転職活動を進められます。
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まとめ
さまざまな理由から薬剤師の転職は厳しくなっているものの、薬剤師の仕事はこれまでも変わらず一定の需要があります。自分自身の市場価値を高めて、スムーズな転職を目指しましょう。
転職が厳しいと感じたら、薬剤師に特化した転職サポートを受けてみるのもおすすめです。たくさんの求人の中から、自分の希望に合った職場を見つけましょう。