「薬剤師が50代で転職するのは難しいのだろうか」
「どうやって自分をアピールしたらいいのだろう」
転職を検討している方の中には上のような悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。
結論からいえば、50代薬剤師の転職は決して簡単ではありません。しかし、ポイントを押さえて転職活動をすれば、50代であっても転職はできます。
そこで今回の記事では、50代薬剤師が採用を勝ち取るためにできることを紹介します。
50代の薬剤師に向いている転職先とは
厚生労働省が発表している「一般職業界状況(令和4年5月分)」によると、医師・薬剤師等の有効求人倍率は2.72倍です。
すべての職種をあわせた求人倍率は1.80倍となっており、医師・薬剤師等の求人倍率は高めで推移していることがわかります。
出典:「一般職業紹介状況(令和4年5月分)」(厚生労働省)
とはいえ、どのような職場でも簡単に転職できるとは限りません。ここでは50代の薬剤師におすすめの転職先や、転職難易度について紹介します。
おすすめなのは調剤薬局やドラッグストア
薬剤師の勤め先はいくつかありますが、その中でも50代薬剤師におすすめなのが調剤薬局やドラッグストアです。
まず、調剤薬局は慢性的な人手不足になっている店舗が多く、50代からの転職であっても受け入れてもらいやすいといえます。
病院を中心として複数の店舗が展開していることから、通勤しやすい場所にあるケースがほとんどです。近くにある病院が潰れない限りは経営も安定しているほか、調剤薬局であれば定休日が固定されていることも多く働きやすいでしょう。
ドラッグストアは、店舗数の増加にともなって薬剤師の需要も増えており、若い薬剤師の教育係となるベテラン薬剤師を探しているケースもあります。
ただし、調剤薬局やドラッグストアでは、調剤以外の業務としてレジなどの接客や品出しを求められるケースも少なくありません。立ち仕事が多くなるため、体力に自信がある人に向いています。
病院への転職は難易度が高い
転職でお悩みの方の中には、病院への転職を考えている人もいるかもしれません。
しかし、50代の薬剤師にとって病院への転職は狭き門といえます。特に大病院や急性期病院は体力面から若い薬剤師が優遇されやすく、年齢によって不採用となるケースも少なくありません。
病院への転職を希望している場合、慢性期病院や精神科病院、中小病院を狙うと良いでしょう。
特に急性期病院と比較して慢性期病院は応募しやすく、50代で入職を希望した場合であっても選考に通る可能性は高いといえます。
50代の薬剤師が活躍できる転職先の見つけ方!
次に、50代の薬剤師が活躍できる転職先の探し方について見ていきましょう。
経験を生かせる職場を探す
薬剤師に限ったことではありませんが、50代の転職ではそれまでに培った実績や経験値が大きな強みとなります。
そのため、自分がこれまでどのような経験、スキルをもっているのかを丁寧に洗い出すところから始めましょう。一例として、マニュアルにはないような薬歴指導、わかりやすい薬の説明などが挙げられます。
そうしたスキルを業務に活かせることに加え、若い薬剤師に対する教育指導ができることを積極的にアピールすると良いかもしれません。
また、研修認定薬剤師や実務実習指導薬剤師のほか、各種認定・専門薬剤師といった資格を取得していれば、さらに採用に有利に働くでしょう。
そして、転職を成功させるためには他人の目を借りることも大切です。自分一人で判断するのではなく、客観的に自身がどう見えるのかを確認するようにしましょう。
自身の長所をどう活かすと効果的か、どのような職場で活躍できるのか、自分のことをよく知る人に意見を聞くだけでも他の人より一歩進んだ転職活動ができます。
定年をチェックする
50代での転職を考えている場合、以下のような文言が求人に含まれていると採用確率が高くなります。
・50代の薬剤師歓迎
・50代の薬剤師活躍中
「歓迎」「活躍中」といった文言が入っている求人は50代であっても採用される可能性が高く、逆に含まれていない場合は若い薬剤師を求めている可能性が高いでしょう。
また、一般的に定年まで働ける年数が長ければ長いほど採用されやすくなります。そのため、定年年齢と自身の年齢を比べた上で、定年年齢が高い求人を選ぶようにしましょう。
採用する側は「できる限り長く活躍して欲しい」と思っています。定年が60歳と65歳の場合では勤続可能年数に最大5年もの差が生じます。
下手をすれば、せっかく仕事に慣れてきたところで定年を迎えてしまい、再度転職活動を強いられる可能性もゼロではないのです。
そのため、求人先の定年を前もって把握した上で、定年年齢が高いところに応募するようにしましょう。
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高年収にこだわらない
50歳以上で転職する場合、年収が下がる可能性があることを理解しておきましょう。
現状の年収を維持した状態で転職を考えている場合、管理職や責任者といった一定のポジションを狙わなければなりません。
しかし、管理職や責任者といったポジションは基本的に内部での昇進によって補われるポジションです。
急な退職で枠が空いていない場合や、後に続く人材が育っていない場合でない限り、そうした求人が出回ることは少ないでしょう。
こうしたことから、50代で年収アップを目的に転職するのは難しいといえます。
そのため、年収へのこだわりをある程度捨てるとともに、自分の実力に合わせた転職先を選ぶことが大切です。
経験やスキルをアピールする
これまでの調剤経験を通して身につけたスキルや、経験値を活かせる職場選びをしましょう。即戦力として人手不足を解消できることをアピールするのも良いかもしれません。
とはいえ、面接の場において過度に自己評価が高かったり、経験を誇示したりすることのないよう注意が必要です。
あまりに自身の経験やスキルのアピールばかりしてしまうと、採用担当者に「学ぶ姿勢に欠けている」と思われかねません。
そのため、面接ではこれまでの経験やスキルをアピールする一方で、謙虚な姿勢を忘れないことも大切です。
「これまでの職場でやってきた仕事だからできる」ではなく、「いままでと異なる点については一から学び直す」といった姿勢を見せるようにしましょう。
最新機器の知識を付ける
調剤薬局やドラッグストアでは近年機械化が進んでおり、店舗によっては電子薬歴や自動分包機などの最新機器を導入していることも珍しくありません。
それまでの職場で使用経験があれば特段問題はありませんが、そうでない場合は注意が必要です。
機械の操作を一から習得しなければならないことに加え、これまで経験したことのない診療科であれば新薬などを覚えなければならないこともあるでしょう。
その場合であっても、状況に応じて柔軟に対応しなければなりません。
また、普段からパソコンに触れる機会をもつことはもちろん、メールやインターネット、ファイル管理などに慣れておくとよいでしょう。
まとめ
50代になってからの転職は、薬剤師に限らず難易度が高いのが現実です。しかし、だからといって可能性がまったくないわけではありません。
今回紹介したように求人選びのコツを押さえておくことに加え、面接でのアピール次第で採用される可能性は高まります。
また、求人の選び方や面接対策だけでなく、「職場の雰囲気」や「勤務先の意向・志向」についても把握しておくようにしましょう。
ニーズに沿った転職先を効率よく見つけるためにも、今回紹介したことを踏まえて計画的に転職活動を進めていきましょう。