薬剤師の転職回数は不利になる?転職を成功させるポイント

薬剤師の離職率はどれくらい?働き続けるための職場選びについて解説

薬剤師の転職回数は不利になる?転職を成功させるポイント

いまの職場に不満があって転職を目指すとき、転職しても結局またすぐに短期離職してしまうのではと不安を感じ、あきらめてしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。薬剤師は比較的転職しやすい業種といわれているものの、長く働き続けられる職場はどうやって探せば良いのか気になりますよね。

今回は、薬剤師の離職率や薬剤師の転職において転職回数がどの程度影響するのかなどについて紹介します。あわせて、長く働き続けられる職場への転職を成功させるポイントも解説しているので、ぜひチェックしてください。

薬剤師の離職率はどれくらい?

離職率や転職回数は、薬剤師がどれくらいの期間ひとつの職場で勤務しているのかを知るための目安となります。転職回数は、面接などでも必ず聞かれる項目のひとつです。転職回数が多いと採用時に不利に働くこともありますが、たとえ転職回数が多くても、離職率を考慮した一般的な勤続年数以上の経験がある場合は、採用選考の際にも早期退職とは判断されない傾向にあります。

まずは、薬剤師の離職率や平均転職回数を確認しておきましょう。

薬剤師の1年での離職率は約10%

薬剤師全体の1年以内での離職率は約10%とされています。これに対し、薬剤師以外の職種も含めた新卒社会人の3年以内での離職率は約30%とされていて、1年あたりに平均すると約10%となります。

これは、薬剤師全体の1年以内での離職率と一致しています。比較的転職しやすいといわれる薬剤師ですが、ほかの職種と比較して極端に離職率が高いわけではないことが分かります。

転職活動は一般的に年齢が若いほど有利になるため、新卒後数年以内のような若い人ほど転職しやすく、年齢を重ねた人ほど転職しにくくなっていきます。

それに対し、薬剤師の場合は年齢を重ねた人でも転職可能なケースが多いことから、年齢にかかわらず一般的な職種の新卒3年以内と同じくらい転職が活発な状況が推測できます。薬剤師の場合、転職回数が多くても比較的理解されやすい傾向にあるといえるでしょう。

薬剤師の平均転職回数は2~3回

実は、薬剤師として働く方の多くは、転職の経験があります。エムスリーキャリア株式会社が行ったアンケート調査によると、薬剤師の平均転職回数は2~3回で、年齢が高いほど転職回数が多いことがわかっています。

 20~30代の薬剤師の平均転職回数は1.7回
 40代の薬剤師の平均転職回数は2.8回
 50代の薬剤師の平均転職回数は3.1回
 60代の薬剤師の平均転職回数は3.3回

出典:「薬剤師の転職動向アンケート」(エムスリーキャリア株式会社)

医療・福祉の平均離職率は8.6%(令和3年時点)

続いて、薬剤師が働く職場の離職率を見ていきましょう。

厚生労働省が公表している「令和3年上半期雇用動向調査結果の概況」によると、薬剤師が含まれる医療・福祉の平均離職率は、8.6%という結果が出ています。ほかの業種と比較しても、全産業のうち5位と決して低くなく、医療・福祉系の仕事の雇用は安定しています。

これらの結果からわかるとおり、薬剤師の仕事は安定しており、転職は珍しくありません。薬剤師は転職回数が平均的な数であれば採用時に不利になるとは限らず、継続して働きやすい業種だといえるでしょう。

出典:「令和3年上半期雇用動向調査結果の概況」(厚生労働省)

離職率が高い薬剤師の職場の特徴とは?

続いては、離職率が高い薬剤師の職場の特徴について解説します。

短期間での再離職を避けるためにも、転職するときには長く働き続けられる職場を選ぶことが大切です。離職率が高い職場の特徴を知っておくことで、離職率の高い「ブラック企業」を避け、「ホワイト企業」への転職を目指しましょう。

極端な人手不足

極端に人手不足の職場ではひとり当たりの業務量が膨大になりやすく、残業が重なりプライベートの時間が取れなかったり、過労から体調を崩してしまったりする場合もあります。このような職場ではなかなか人が定着せず、離職率も高くなる傾向にあります。

とくに、応需する処方箋枚数に対して極端に薬剤師の人数が少ない調剤薬局や調剤併設ドラッグストアの求人には、注意が必要です。

薬剤師が1日に応需できる処方箋枚数は、診療科にもよりますが基本的に40枚までという規制があるため、日常的にこれ以上の枚数に対応することはありません。しかし、薬剤師一人当たり 1日40枚ぎりぎりというのは、処方箋の内容にもよりますが業務負担は大きいといえるでしょう。

処方箋枚数や薬剤師の人数は求人情報の中で公開されていることも多いため、一人当たりの処方箋枚数が1日40枚に近いような調剤薬局や調剤併設ドラッグストアへの応募は避けた方が無難かもしれません。

年収が低い

相場と比べて年収が低い職場も、離職率が高くなりやすい傾向にあります。

良くあるのは、異業種からの転職やブランク明けの転職で年収の低い職場しか選べず、経験を積むにつれて不満が出てくるケースや、業務内容や休日数などの条件面に魅力を感じて転職したものの、思った以上に年収が低く不満が出てくるケースです。

年収に関する不満は生活レベルや将来設計にも影響しやすく、短期離職にもつながりかねません。応募する求人を選ぶ際や内定後の年収交渉の際は、自分が最低限叶えたい年収を明確にし、希望年収を極端に下回る職場への転職は慎重に検討しましょう。

遠距離の転勤がある

転勤によって勤務地が自分の希望に合わなくなってしまうと、その職場で働き続けることが難しくなり離職につながってしまうケースがあります。とくに、全国にチェーン展開している調剤薬局や調剤併設ドラッグストアでは、遠距離の転勤や頻繁な転勤が常態化している企業も多くあり、離職率も高くなりやすい傾向にあります。

こういった企業では、転職後に配属された最初の店舗からはすぐに転勤となってしまうことも多く、自宅から通いやすい店舗だからと安易に応募するのは危険かもしれません。家庭の事情などで遠方への転勤が難しい人は、転勤に関する条件を念入りに確認し、転勤を命じられたとしても働き続けられるような職場を選ぶことが大切です。

転職先ごとの転職回数の許容範囲は?

転職経験があっても不利になりにくいとはいえ、安易に転職を繰り返すのは考えものです。募集している職場によって転職回数を重視するケースがあり、考え方はさまざまです。

ここからは就業候補ごとに、薬剤師の転職回数の許容範囲を見ていきましょう。

調剤薬局・ドラッグストア

調剤薬局やドラッグストアは店舗数が多く、正社員、パート、アルバイトとも人手が不足しています。そのため、転職回数はあまり採用で不利になりません。

よほど気になる部分がない限り、3~4回程度転職を繰り返していても採用される可能性が高い職場です。とはいえ5回以上転職を繰り返していると、採用面接のときにより詳細な転職理由が問われるため、きちんと説明できるようにしておきましょう。

病院

病院は、規模や種類によって転職回数の考え方が異なります。

基本的に、100~300床程度の中規模病院や慢性期の病院は求職者に人気がなく、人手不足が続いています。採用では薬剤師としての専門知識やスキル、実務経験、実績を重視するため、転職回数が2~3回程度あっても、あまり不利になりにくいといえるでしょう。

一方で、規模の大きい病院や急性期病院は求人に対する応募者が多く、競争率が激しいため、転職回数が多いと不利になりやすい傾向があります。

製薬会社

製薬会社の場合、中途よりも新卒採用に重点を置いている傾向にあります。また、薬剤師以外も採用しているため競争率が高く、転職回数が多いと不利になるといえるでしょう。転職経験があっても1回程度であれば、チャレンジする価値はあります。

とはいえ、製薬会社の求人は専門性を重視しており、異業種からの転職を求めてない場合が多いです。募集職種での実務経験が必須となるケースが多いので、採用条件をよくチェックしてから応募しましょう。

長く働ける職場を選ぶには?

薬剤師が長く働ける職場を選ぶためには、転職前におさえておくべき職場選びのポイントがいくつか存在します。

薬剤師が働く職場としては、調剤薬局やドラッグストア、病院、製薬会社などが代表的ですが、それぞれの職場ごとに仕事内容や年収、条件面などの特徴があります。長く働ける職場を選ぶためには、以下のような判断軸を意識し、それぞれの職場の特徴を理解しておくことが大切です。

 給与関係
 勤務時間
 残業時間
 休日体制
 転勤の有無
 薬局のタイプ
 対応している処方箋科目
 処方箋枚数
 常勤薬剤師の人数
 職場の雰囲気

薬剤師が長く働ける職場を選ぶ際のポイントは、以下の記事でも詳しく解説しています。気になる方は確認してみてください。

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転職回数が多い人が転職を成功させるポイント

いままで勤めていた職場を退職する理由は、それぞれです。転職回数が多いから採用されないと、あきらめる必要はありません。転職回数が多くてもマイナスイメージを与えない工夫をして、自分の強みに変えましょう。

【転職先・求人選び編】条件を決め、情報収集する

転職先を探すときは、できるだけ長く働き続けられそうな職場を選ぶ必要があります。まずは転職先に求める条件を決めましょう。条件にこだわりすぎると行き詰まりやすいため、自分にとっての優先順位を定めて、職場を厳選してください。

条件に合う転職先を探すためには、情報収集と企業研究が欠かせません。

会社の方針やビジョン、年収、勤務地、残業の有無といった情報を事前に調べてみてください。前職の退職理由に職場環境や人間関係をあげる方が多いため、転職先の社風、職場の雰囲気も確認しておくと良いでしょう。

また、公に掲載されていない、非公開求人を候補にいれるのもおすすめです。非公開求人は、大手や業界に特化した転職エージェントから紹介されます。一般的な転職サイトでは見つからない、さまざまな求人がそろっているので、ぜひチェックしてみましょう。

【書類選考編】職歴に一貫性をもたせる

転職先に提出する履歴書と職務経歴書は、嘘偽りなく、正確に書く必要があります。不安だからと転職回数を省略するのはNGです。そのぶん空白期間ができて、採用時に敬遠されてしまいます。

転職回数が多い方は、職歴に一貫性のある理由をもたせるのが成功のポイントです。そのほか、採用担当者に納得してもらえる志望動機をしっかり記載して、意欲をアピールしましょう。

【面接編】経験、スキル、ポテンシャルをアピールする

面接の場では、転職回数の多さを説明するよりも、ポジティブな志望動機や転職理由を伝えるのが成功のポイントです。前職の不満や悪口は控えて、これまでの経験やスキル、自分のポテンシャルの高さを伝えてアピールしましょう。

採用担当者は転職回数よりも、長く働いてもらえるのか、会社に貢献できるのか、会社に馴染めるのかといった点を重視して質問をします。良い印象を与えるには、転職理由の伝え方が大切だと考えてください。

面接の前の自己分析も大切です。薬剤師としての専門知識や経験、業務に取り組む誠実さ、コミュニケーション能力といった自分の強みを掘り起こしましょう。自分が活躍できる人材であることを伝えて、採用につなげてください。

一人での転職活動に不安を感じたら、プロのサポートを受けるのも選択肢のひとつです。転職エージェント「ヤクジョブ」は、薬剤師の求人に特化しており、調剤薬局をはじめ、ドラッグストア、病院、企業と紹介できる求人が豊富です。

企業に関する細かい情報を提供しているため、自分の働き方にあう転職先を見つけやすくなっています。コーディネーターが求職者に対し、丁寧なヒアリングで一人ひとりの希望を把握し、ニーズに合う企業を紹介いたします。

転職先にお悩みなら、どうぞお気軽に「ヤクジョブ」へご相談ください。

まとめ

国家資格を必要とする薬剤師の仕事は求人需要が高く、転職が受け入れられやすい職場です。とはいえ、勤務先や回数によっては、転職が不利になる可能性は否定できません。

転職回数の多さに悩んだときは、プロのサポートも活用しましょう。効率良く自分にあう職場を探して、スムーズな転職を目指してください。

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