薬剤師に人気の資格&役立つ資格HIV感染症専門薬剤師

HIV感染症専門薬剤師

HIV感染症の治療は薬剤の投与が中心となり、副作用や相互作用が多くあります。その医療チームの中でも薬剤のプロフェッショナルとして活躍することが期待されます。最新の薬物療法に関する知識と多くの臨床経験をもち、患者さまの意志を尊重しながら総合的な服薬指導を行います。

HIV感染症専門薬剤師の目的

HIV感染症専門薬剤師の目的

HIVに対する医療はめざましく進化しており、しっかり治療を行えば薬物療法で症状をコントロールすることができます。

HIV感染症は、感染の時期によってさまざまな症状がでます。外に現れる症状だけでなく、血液検査などでしか知ることのできない変化もあり、長期的な薬物療法が必要です。それに伴う副作用への対応、薬の変更を行っていくうえで、薬のスペシャリストである薬剤師の存在は必要不可欠です。
新しい薬や治療法が開発されていく中で、特殊性のあるHIV感染症に対応できる薬剤師を養成するためにHIV感染症専門薬剤師制度が制定されました。

症状・病態に合わせた最適な薬剤を選択し、患者さまの治療が成功するようサポートします。

HIV感染症専門薬剤師になるためには

HIV感染症専門薬剤師の定義

日本病院薬剤師会では、以下の項目を満たす薬剤師をHIV感染症専門薬剤師と定義しています。

  • (1)HIV感染症の病態を十分理解していること。
  • (2)HIV感染症に使用される医薬品の薬理作用、体内動態等を十分理解していること。
  • (3)高度かつ最新の薬物療法に関する知識と多くの臨床経験を持ち、個々の患者の症状や状況に合った薬物療法を医師等医療従事者及び患者の双方に提案できること。
  • (4)抗 HIV 薬の相互作用や副作用を理解し、その解決方法を医師等医療従事者及び患者の双方に提案できること。
  • (5)臨床試験を含め、最新のHIV感染症治療に関する薬剤情報、HIV 感染症に関わる疫学や社会問題について、国内外を問わず絶えず情報収集を行い、内容を理解した上で正確な情報評価を行い、医師等医療従事者及び患者への情報提供ができること。
  • (6)HIV感染症患者との良好なコミュニケーションを通して、患者の求めているものを理解できること。
  • (7)薬物療法に関する適切な情報の提供により、HIV感染症患者が身体的、精神的、社会的に健全な生活を送るための支援ができること。
  • (8)HIV感染症薬物療法に関する研究能力を有すること。
  • (9)HIV感染症医療、自立支援医療、障害者医療制度等のHIV感染症に関連する医療制度並びに関連法規を十分理解していること。

HIV感染症専門薬剤師認定申請資格

下記4つの条件をすべて満たしていることが必要です。

  • (1)申請時において、HIV感染症薬物療法認定薬剤師であり、かつ、日本エイズ学会の会員であること。
  • (2)日本医療薬学会、日本薬学会、日本薬剤師会学術大会、日本エイズ学会、関連する国際学会、全国レベルの学会あるいは日本病院薬剤師会ブロック学術大会において、HIV感染症領域に関する学会発表が2回以上(うち、少なくとも1回は発表者)、複数査読制のある国際的あるいは全国的学会誌・学術雑誌にHIV感染症領域に関する学術論文が1編以上(筆頭著者)の全てを満たしていること。
  • (3)病院長あるいは施設長等の推薦があること。
  • (4)日本病院薬剤師会が行うHIV感染症専門薬剤師認定試験に合格していること。

HIV感染症専門薬剤師の魅力

専門領域におけるチーム医療の一員として、新しい情報・豊富な知識を持っていなければなりません。また、HIV感染症に対する治療だけでなく、今後増やさないように働きかけていくこともHIV感染症専門薬剤師の役割といえるでしょう。

抗HIV薬は急速な進歩を遂げていますが、国内での治験はほぼ行われず、海外での臨床試験の結果を審査して承認されています。そのため、海外の最新情報を収集・確認し、医療従事者に提供していくことになります。最新の医療に主体的に関わっていく立場です。また、治療を成功させるための鍵は100%近い服薬率を保つことです。患者さまへの継続的な関わりの中でアドヒアランスを高める服薬援助を行うことは、大きなやりがいのひとつです。

HIV感染症専門薬剤師の資格について

認定団体 一般社団法人 日本病院薬剤師会
申請に必要な資格
  • 1)申請時において、HIV感染症薬物療法認定薬剤師であり、かつ、日本エイズ学会の会員であること。
  • 2)日本医療薬学会、日本薬学会、日本薬剤師会学術大会、日本エイズ学会、関連する国際学会、全国レベルの学会あるいは日本病院薬剤師会ブロック学術大会において、HIV感染症領域に関する学会発表が2回以上(うち、少なくとも1回は発表者)、複数査読制のある国際的あるいは全国的学会誌・学術雑誌にHIV感染症領域に関する学術論文が1編以上(筆頭著者)の全てを満たしていること。
  • 3)病院長あるいは施設長等の推薦があること。
  • 4)日本病院薬剤師会が行うHIV感染症専門薬剤師認定試験に合格していること。
試験 あり(筆記試験)
更新 5年ごとに認定更新が必要