薬剤師の雇用形態別でみる働き方パート・アルバイトではたらく

パート・アルバイトではたらく

日数と時間に応じて給料を得られるワークスタイルです。時間&曜日の相談OKという求人も多く、フルタイム勤務が難しい方でも、子育てやプライベートに合わせて勤務時間を調整できる点がメリットです。

パート・アルバイトはライフステージに合わせた働き方を選択できるのが魅力!

パート・アルバイトは
ライフステージに合わせた
働き方を選択できるのが魅力!

パートの場合、正社員とは異なり就業する曜日・時間の希望を就業先と相談し、基本的には決められた曜日・時間で働くことが可能な点が大きなメリットになります。パートで働く理由は、子育てや家庭との両立、プライベートを重視、学業を優先などさまざまです。

その中でも気になるのは、社会保険や税金、有給休暇ではないでしょうか。パートでのご就業をお考えの方は、どのような働き方がご自身、ご家庭にとってよいのか検討する必要があります。ここでは、薬剤師の皆さまが気になるポイントをご紹介したいと思います。

1. 社会保険の加入要件とは

2016年10月の法改正により、短時間労働者にも社会保険の加入要件が拡大されました。2024年10月にもさらなる加入要件の拡大が行われています。これまでは、一般的に年収が130万円未満であれば、自ら社会保険料を支払う必要がありませんでしたが、月額8.8万円以上で一定の条件を満たす場合は、厚生年金や健康保険への加入が可能になりました。

法改正前は、厚生年金と健康保険に加入できるのは、1週間の所定労働時間が正社員の週労働時間のおおむね4分の3以上の場合という条件でした。ただ、法改正後は下記の(1)〜(5)のすべての条件を満たす場合、厚生年金と健康保険に加入することになりました。

2024年10月からの社会保険適用条件
  • (1)1週間の所定労働時間が20時間以上(フルタイムで働く従業員の週所定労働時間が40時間の場合)
  • (2)月額賃金8.8万円以上(残業代、交通費含まず)
  • (3)2か月以上の就業が見込まれること
  • (4)被保険者数が51人以上の企業(特定適用事業所)
    ※従業員数50人以下の会社で働く方も、労使で合意がなされれば、社会保険に加入することができます。
  • (5)学生ではないこと

月額8.8万円以上というのは、正確には、賞与・残業代・交通費などを除いた、毎月決まって支払われる賃金(所定内賃金)が8.8万円以上であるかどうかで判断します。
また、勤続2か月以上が見込まれるという条件については、期間を定めないで雇用されている場合も該当するので、注意が必要です。

2. 社会保険に加入するメリット・デメリット

例えば、時給2,000円、週20時間の勤務の場合、おおよその収入としては200万円程度になります。法改正前には、雇用保険料・住民税・所得税などが月額の給与から控除されていました。社会保険への加入となると、健康保険料・厚生年金の控除が発生し、40歳以上の場合、介護保険料も控除が発生します。各市区町村や加入している保険組合・その年の保険料率などによっても変動はありますが、上記の収入だった場合、法改正前に比べて月額で3.5万円ほど手取りが減る形になります。

これだけ見ると、単純に手取りが減るだけで損になると感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、厚生年金・健康保険に加入することでのメリットもあります。

厚生年金に加入するメリット
すべての国民共通の老齢基礎年金のほか、収入や加入期間によって決まる報酬比例の年金が終身でもらえます。障害状態になり、日常生活が困難になった時にもらえる障害年金や、万が一亡くなった時に遺族に支払われる遺族年金も、国民年金の制度よりも優遇されています。
健康保険に加入するメリット

医療機関にかかった時の自己負担割合は各医療保険制度共通で、基本的に本人・家族で差はありませんが、一部の現金給付について差がある場合があります。例えば、病気やケガによる傷病手当金、出産によって仕事を休まなければならない場合に支給される出産手当金では、賃金の3分の2程度の給付を受け取ることができます。

このように、たとえ手取りが減ったとしても、将来のリスクへの備えという観点から見れば、厚生年金・健康保険加入はメリットが大きいといえるのではないでしょうか。ご自身のライフスタイルに合わせ、就業時間のバランスと加入非加入の是非を選ぶことが大事なポイントといえます。

3. 雇用保険の加入要件とは

雇用保険とは、失業した場合に失業給付金が給付されるというイメージが強いと思います。その他にも、育児休業や介護休業などにより働くことが難しくなった場合も、生活や雇用の安定を図るという意味で、手当の給付があります。雇用保険の加入条件は「1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上雇用される見込みがある」というものです。パートであっても雇用保険に加入していて、過去2年間に11日以上働いた月が12ヶ月以上あれば失業給付金の受給資格があります。

これまで65歳未満の方が加入対象でしたが、2017年1月の法改正により、要件を満たす65歳以上の方も、新たにもしくは継続して加入が可能になりました。実際に給付を受ける場合は、管轄のハローワークにて手続きが必要になります。

4. パートの有給休暇について

パートで勤務している方にも、年次有給休暇は与えられます。有給休暇が発生する条件は正社員と同じです。勤務を始めて半年経過した時点ではじめて有給休暇が付与されます。ただし、週の所定労働時間が30時間未満で週4日以下の勤務の場合、付与される日数は下記のように定められていますので注意してください。

パート有給休暇の取得日数
週所定
労働日数
1年間の所定
労働日数
雇入れ日から起算した継続勤務期間
6ヶ月 1年6ヶ月 2年6ヶ月 3年6ヶ月 4年6ヶ月 5年6ヶ月 6年6ヶ月以上
4日 169日〜216日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 121日〜168日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 73日〜120日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 48日〜72日 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

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