薬剤師の施設業態でみる働き方企業ではたらく
企業における薬剤師の業務内容は、その企業により求められるものが異なり多岐にわたります。製薬会社では研究・開発のほか、自社の薬を保管する責任者として、管理薬剤師が必ず在籍します。一般企業の中で勤務するため、土日休みが多いことは大きな魅力です。
企業で働く場合、調剤薬局や病院などに比べ、専門的業務が多くなります。
さらには、英語・実務経験を問われることもあります。仕事内容も、営業職のものもあれば、事務職に近いものまで幅広くあるので、事前の確認がとても重要です。
ここでは代表的な企業でのお仕事をご紹介いたします。
1. MR
- 就業先
- 製薬会社
- 仕事内容
- 病院や薬局に勤める医師・薬剤師に対して、医薬品の特徴・有効性・副作用や注意などの情報提供。また医療機関から医薬品使用後の症例実績の収集など
- ポイント
- MRから薬局へ転職という流れはあるものの、逆のパターンはあまり見受けられません。MRには薬剤師免許が必要ない点が大きいかと思われます。年収は比較的高いですが、医療機関への訪問や出張なども多く、常に最新の薬学の知識を蓄えておかなければなりません。
ドクターとのコミュニケーション能力とスケジュール調整などタイムマネジメント能力が必要となります。
2. 薬事申請
- 就業先
- 製薬会社・医療機器メーカー・化粧品メーカーなど
- 仕事内容
- 自社の医療用医薬品・医療機器・一般医薬品・医薬部外品・化粧品などの申請業務
- ポイント
- 医薬品・医療機器等の製造および販売、輸入販売には厚生労働大臣への届出・承認が必要となるため、そのための申請書類の作成・申請が主な業務になります。
海外からの輸入の場合、英語の添付文書やメールのやり取りなど、英語力が必要とされる場合があります。
3. 臨床開発モニター(CRA)
- 就業先
- 治験関連企業(CRO)、製薬会社
- 仕事内容
- CRAは新薬を開発している製薬会社、または治験関連企業(CRO)に所属となります。病院での治験が法律やさまざまなルールを守って実施されているかモニタリングし、治験担当医とコミュニケーションをとりながら仕事をします。薬の知識や臨床知識を活かしたい人にはやりがいのあるお仕事です。
- ポイント
- 転職してCRAになる場合は20代、または30歳前後と比較的若い世代のチャレンジが多く見られます。薬の知識が活かせる職場ですが、業務内容は担当部署によっても変わってきます。データ収集や分析が主な仕事だったり、医師との連携メインの業務だったりと、CRAの業務は多岐にわたります。薬剤師の資格は必要ではありませんが、薬学の知識は不可欠であり、CRAのおよそ半数は薬剤師資格を持っています。
4. 治験コーディネーター(CRC)
- 就業先
- 治験施設支援機関(SMO)
- 仕事内容
- CRCは病院から依頼をされるSMO(治験施設支援機関)に所属し、医療機関とCRAとの掛け橋となります。治験担当医、被験者、製薬会社の3社を取り持ちます。特に被験者に対し、安心できるようメンタルケアやサポート役を担います。
- ポイント
- 関係する人が多く、コミュニケーション能力が問われます。臨床現場の経験が活かせるので、患者のサポートなどの経験の多い看護師の割合が多い職場となっていますが、薬剤師も活躍しています。
5. 医薬品卸 管理薬剤師
- 就業先
- 医薬品卸会社
- 仕事内容
- 温度管理、品質管理、DI業務、ほかの薬剤師や社員への研修・指導、医薬品の有効性、安全性調査など。会社によってはGMPなどの専門知識が必要な場合があります。
※GMPとは「Good Manufacturing Practice」の略で、製造所における製造管理、品質管理の基準のこと。 - ポイント
- デスクワークがメインになるので、エクセル、ワードスキルは必要となります。
GMPなどでは専門知識を有している方が採用されるケースが多くなります。
6. 企業内診療所薬剤師
- 就業先
- 企業内の医務室、診療所など
- 仕事内容
- 大手企業の中にある医務室・診療所における薬剤師業務となります。
- ポイント
- 定時で終わることが多く、患者も同じ社員同士になります。大きな企業のケースが多く、福利厚生の充実や、比較的落ち着いて就業できることから人気の高いお仕事です。
7. 公務員
企業ではありませんが、公務員職種であれば、国家公務員として中央省庁で総合職として働くケースもあります。医薬品・食料品の安全を守る部署、麻薬の取り締まりを行う部署、健康保険に関する部署、医薬品の開発に関する部署などさまざまな部署があります。都道府県や市区町村といった地方公務員になった場合、配属される可能性の高いのが衛生部局(保健所など)か環境部局(環境関係の部署)となっています。