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2017年12月06日

【薬剤師関連ニュース】◆「アポテカプロジェクト」スタート‐金沢大など産学官連携事業◆金沢大学、白山市、コメヤ薬局◆(薬事日報 2017年12月6日)

■中山間地域に薬局を開設


 金沢大学と白山市、コメヤ薬局(白山市)は、高齢化が進んだ地方の中山間地域に薬局を開設し、地域住民の未病や健康維持、地域医療を支える薬剤師の養成に取り組む産学連携の「アポテカプロジェクト」をスタートさせた。プロジェクトは、文部科学省の「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業」の一環として進められ、薬剤師を目指す学生に中山間地域医療への理解や課題解決の取り組みを学ぶインターンシップを開発・実施し、人材の地域定着を目指したもの。2日に金沢大学薬学部の4年生と5年生の8人が薬局での就業体験を終えており、今年度内に複数回トライアルを実施し、課題や問題点などを検証した上で、新年度から本格的に実施する予定。今後はプロジェクトの対象となる施設や大学を広げていきたい考えだ。


■健康支援と学生の就業体験をセットで


 今年10月に薬局を開設した吉野谷地区は、石川県南部の白山市東端に位置し、周囲を山々に囲まれた旧村域。65歳以上の高齢者が人口の約4割を占める。
 周囲にスーパーなどは見当たらず、コメヤ薬局吉野谷店では、処方箋調剤への対応や、一般用医薬品の販売だけでなく、食料品や日用品、健康食品、美容品を取りそろえ、地域住民のニーズに応えている。


 金沢大学医薬保健研究域薬学系薬物動態学研究室の玉井郁巳教授は、「医師や看護師、保健師は地域の住民と直接、接しているが、薬剤師は“お薬をもらうだけ”というイメージが定着してしまっている」と指摘。中山間地域で健康サポート機能を持った薬局を開設し、そこで薬剤師が活躍できれば「顔の見える存在になり得る」と考え、白山市とコメヤ薬局の協力を得て「1年半くらいかけて計画を練ってきた」という。玉井氏は、プロジェクトを通して「地域薬局のモデルを作り、石川県全体、日本全体に広めていきたい」と話す。


 金沢大学病院の崔吉道薬剤部長は、改訂コアカリに準拠した新たな実務実習ではセルフメディケーションが重視され必修となっているが、食事や健康に関する相談をはじめ、健康食品や一般薬を活用したセルフメディケーションをしっかりと学べる施設は限られているため、不十分な部分を「カバーする」狙いがあるとした。
 その上で、薬学生として地域が抱える課題に早い段階から直面することで、どれだけやりがいのある仕事なのかを認識してもらい、「学生の進路や将来ビジョンにインプットし、地域に定着させることも目的の一つ」と話す。


 石川県内にのみ23店舗を構えるコメヤ薬局の長基健人常務取締役社長室長は、近隣の吉野谷診療所などからの処方箋に対応しつつ、「一人ひとりの状態に合わせた医療用医薬品、一般薬、健康食品、生活衛生用品の使い方を提案し、生活状況の一元管理をしっかり行うことで、本来のかかりつけ薬局の機能を果たしていきたい」と強調。


 今後は、薬剤師、栄養士をはじめとする「スタッフのさらなる資質向上を図り、単に買い物をしたり、医薬品をもらいに来るところではなく、積極的な予防提案を行い、住民の健康維持に貢献できる薬局にしていきたい」と語った。


 コメヤ薬局では、金沢大薬学部の4年生と5年生の8人がインターンシップを経験した。まだ実務実習を経験していない4年生は、「これまで、病院で出された医薬品を丁寧に説明することを学んできたが、OTC薬の説明は知らないことが多く、新鮮だった」「OTC薬の説明は、相手にどれだけ時間的余裕があるのかも気にしながら、場合によっては、かいつまんで説明しなければならないなど、新たな発見があった」と話した。


 既に実習を終えた5年生からは、「相手と話をする機会が圧倒的に多く、医薬品だけでなく、生活に関する悩みに対応できる知識が必要と感じた」との感想を述べた。


写真:就業体験を実施したコメヤ薬局吉野谷店
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(薬事日報 2017年12月6日)  薬事日報

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