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2018年01月12日

【薬剤師関連ニュース】◆薬学教育に「移動薬局」導入‐大学初、実務実習等に活用◆岐阜薬科大学◆(薬事日報 2018年1月12日)

■へき地在宅で特区申請も


 岐阜薬科大学は、災害現場に強い薬剤師を養成するため、被災地で医薬品を供給できる車両「モバイルファーマシー」を導入した。岐阜県の補助金と企業、地元薬剤師会からの寄附金をもとに、薬学教育と地域で働く薬剤師のリカレント教育、在宅医療に活用するのが狙い。今月から5回生の薬局実務実習で運用を始める。山間部のへき地などにおける在宅医療での活用方法に関する研究も進め、将来的にはへき地で“薬局”として使える特区申請を目指す。薬科大学がモバイルファーマシーを導入するのは初めて。


 モバイルファーマシーは、全国各地の薬剤師会で導入が進められ、熊本地震の被災地などで医薬品供給に活躍してきた。こうした中、岐阜薬大は、東海地方に大きな被害が想定される南海トラフ地震の発生を視野に、地域の防災機能を強化し、災害時に適切に対応できる薬剤師を養成するためには、大学がモバイルファーマシーを保有する必要があると判断。今回、岐阜県からの補助金とウエルシア薬局、名古屋競馬、地元薬剤師会からの寄附金を活用し、導入を決めた。


 大きな目的の一つは、実際の災害時を想定した災害医療教育の充実で、5回生の薬局実務実習でモバイルファーマシーにおける調剤を指導し、災害現場に強い薬剤師の養成を目指す。また、モバイルファーマシーに搭載した無菌調剤室を活用し、地域で働く薬剤師のリカレント教育にも利用する。各地域に出向き無菌調剤技術の研修などを行い、習得した技術を在宅医療の現場で生かせるようにするほか、防災訓練などのイベントで展示を行い、災害時における医薬品供給と薬剤師業務の重要性を啓発したい考えだ。
 

 モバイルファーマシーの運用は、国内外の被災地で災害対応の経験を持つ実践社会薬学研究室の林秀樹准教授が担当する。林氏は、寄附講座「地域医療薬学」も兼務し、在宅医療での活用に関する研究も手がける。


 今月から5回生の薬局実務実習の講義で運用を開始する。附属薬局で実習している学生に対し、講義やグループワークに加え、モバイルファーマシーを活用して実際に災害時を想定した調剤や代替薬の提案など臨場感ある講義を取り入れ、低学年の学生にも見学の機会を設けて災害の意識づけを狙う。


 在宅医療推進車両としての役割を果たすことも目的の一つだ。薬剤師のリカレント教育については、岐阜県薬剤師会と共同で会員向けの研修会を開催しているが、飛騨地方など山間部の薬剤師は参加が難しかった。そこでモバイルファーマシーが地域に出向いて無菌調剤やシミュレーターを用いたフィジカルアセスメントを行う研修会を遠隔地で年に数回実施する予定。


 さらに、モバイルファーマシーをへき地の在宅医療で活用するための研究も進める。現在、へき地の在宅患者に医師が往診して処方箋を出しても、薬局で薬剤師が調剤して患者宅に届ける必要がある。この業務をモバイルファーマシーで行うことにより、投薬の時間短縮ができるかどうか研究として実施する。


 現行制度ではモバイルファーマシーで調剤した薬を患者に交付できないため、林氏らは薬局がない山間部などを対象に在宅医療での活用方法に関する研究を実施し、その実績をもとに特区申請につなげたい考え。


 稲垣隆司学長は「山間部、過疎地の医療対策は大きな課題。実際に薬局がない地域も多い」と指摘。「研究で実績を上げて、最終的には法改正、特区申請を国に働きかけていきたい」と話している。その上で、「モバイルファーマシーの導入は他大学に波及してくると思うし、薬剤師会と薬学部のある大学が連携する動きも出てくるだろう」と見通し、「われわれの取り組みを一つのモデルにしていきたい」と意気込みを語った。


写真:モバイルファーマシー
写真:取り外し可能な無菌調剤室
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(薬事日報 2018年1月12日)  薬事日報

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