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2018年11月13日

世界中で取り組むワンヘルスアプローチ~薬剤耐性(AMR)対策最新情報

世界中で取り組むワンヘルスアプローチ~薬剤耐性(AMR)対策最新情報

 2015年、WHOは11/8を含む1週間を「世界抗菌薬啓週間」と定めました。日本においても2016年に厚生労働省がAMR対策アクションプランを発表して以来、11月をAMR対策月間としてさまざま情報が提供されています。
 

現在、薬剤耐性(AMR)は世界的な問題となっています。AMRに起因する死亡者の数は低く見積もって70万人(2013年)とされており、何も対策をしなければ、2050年には1000万人に増加、がんによる死亡数を超えると想定する報告もあります。
 

ワンヘルスという考え方

 これまでAMRに関しては医療分野での取り組みとして、不必要な抗菌薬の処方を控える、病院での院内感染の防止、患者に対し処方した薬を正しく服用するように呼び掛けるなどの対策がとられてきました。近年では、より高い視点で人の健康を守ろうとするワンヘルス(一つの健康)アプローチが注目されています。
 薬剤耐性への対策には医療分野での努力は不可欠ですが、それだけで全てを解決することはできません。耐性菌はヒトの中で増えるだけでなく、家畜などの中で生まれたものが食肉や汚染された水、農作物からヒトへ感染するというケースも存在するからです。ワンヘルスとは、ヒトが健康であるためには動物や環境にも目を配らなければならないという考え方で、実現のためにはヒトの医療だけでなく、農水産、獣医療関係者などの分野を横断した協力が必要です。

家畜や環境汚染の実態

 抗菌薬は、水産業や農業などさまざまな分野で用いられ、中でも畜産業においては感染症の治療目的だけではなく、発育促進のために家畜のエサに混ぜて使用されることもあります。畜産の盛んなアメリカ、ブラジル、中国などを中心に、日本や他の国でも多くの抗菌薬が使用されており、ヒトよりも家畜へ投与される抗菌薬の方が多いという国もあるほどです。家畜の持つ耐性菌が畜産関係者に直接うつるリスクはもちろん、家畜の体内で増えた耐性菌あるいは薬自体の成分が残留した食肉を食べた消費者から、ヒトへの感染が広がるおそれがあるのです。
 

環境への汚染も問題となっており、主に家畜の排せつ物がその汚染源となっています。川の水から耐性菌、あるいは抗菌薬の成分が検出されたという事例もあり、東南アジアや南アジアから帰国した旅行者の便を調べた結果、多剤耐性菌を保菌していることが分かったという報告も挙がっています。
 

ヒト以外に関する研究はまだ途上ですが、耐性菌が世界中に広がるという最悪の自体を避けるためにも国単位での協力が必要です。さまざまな分野をまたいでの幅広い取り組みであるワンヘルスアプローチが、今後さらに重要になるでしょう。


 

【参考資料】AMRリファレンスセンター
http://amr.ncgm.go.jp/general/

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