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2018年06月11日

研究が進む「動物実験代替法」

研究が進む「動物実験代替法」

動物実験は医療技術、薬品、化粧品などさまざまな物質の安全性や有効性を確認するために古くから行われてきました。医学の発展や公衆衛生への貢献に必要であり、やむを得ず実施されてきた動物実験ですが、動物愛護の機運の高まりや、コスト削減へのニーズに応える代替法の研究が進んでいます。

動物愛護管理法での3R原則明文化

 動物実験は、創薬の前臨床試験における薬物動態を予測するうえで、重要な役割を担ってきました。しかし、ヒトと実験動物の種差による不適切な動態予測は、新薬開発の効率やコストに大きく響いているのも現状です。またEUでは既に化粧品開発での動物実験が禁止されており、今後世界的に削減や禁止の方向へ向かうことが予測されています。
 日本においては2005年「動物の愛護及び管理に関する法律」が改正され、3R原則が導入されました。3R原則とは1959年、イギリスの科学者が「人道的動物実験の原則」として提唱した以下の3つのことです。
・Replacement
実験の目的を達成できるならば、生きた動物を使わずに済む培養細胞やシミュレーションを優先する。(意識・感覚のない低位の動物種、試験管内実験などへの代替)
・Reduction
少ない動物数で信頼できるデータが得られるよう、実験設計をする。(使用する動物数の削減、科学的に必要な最少の動物数使用)
・Refinement
動物の苦痛を理解し、実験に差し支えない範囲で軽くする。(実験方法の洗練、苦痛の軽減、安楽死措置、飼育環境改善など)

注目の代替技術「生体機能チップ」

 動物実験には、倫理的な批判を背景にした運用制限があり、科学的な検証という面でも種差による結果の不適切さが含まれるのが現状です。現在では動物実験の代替法として、ヒト由来細胞を使った試験管内やチップ上での試験や、コンピューターシミュレーション実験などが広く行われるようになってきました。
 そんななか、2017年11月に行われた「日本動物実験代替法学会第30回大会」で注目を浴びたのは「organs-on-a-chip」(生体機能チップ)という技術です。 チップの上で臓器の細胞を培養し、多数の細胞や臓器をつないで生体モデルを構築、薬剤応答を評価しようとするこの技術。今後研究が進めば、医薬品の体内動態や全身毒性を評価できるものになるとして期待が高まっています。
 日本実験動物協会が3年ごとに実施している「実験動物の年間総販売数調査」によれば、動物実験の販売数は長期的な減少傾向にあります。動物種ごとに見ても年間約3200頭が実験動物として使われているサルとブタ以外は全ての種類で減少。2016年の販売数(それぞれ最多期と比較)は、マウス320万匹(34%)、モルモットは6.9万匹(13%)、ウサギ4.5万匹(14%)、犬は5000頭(12%)、ネコは600匹(5%)でした。
「Organ-on-a-chip」はいずれ「Body-on-a-chip」としてヒトの臓器や組織の相互作用を複合的に観察できるものになると見られています。ヒトの体内で起きる作用を正確に予測できるようになれば、そもそも種の異なる動物でデータを取る必要がなくなります。いつか世界から動物実験が必要無くなる日が来ることを期待しましょう。

 

【参考資料】薬事日報 2017.11.29
https://yakunet.yakuji.co.jp/index.php?PAGE=YR_DETAIL&TARGET_ID=107520
 

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