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2018年11月13日

理解している薬剤師は15%?AMR対策アクションプランにおける薬剤師の役割

理解している薬剤師は15%?AMR対策アクションプランにおける薬剤師の役割

 「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」を理解し、しっかりと実践していると明言できる薬局薬剤師の数は多いとは言えないようです。尾田一貴氏(熊本大学病院薬剤部)の調査によれば国が2016年に策定した「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」を理解していると答えた薬局薬剤師は15.0%にとどまっており、17年に厚生労働省が作成した「抗微生物薬適正使用の手引き」についても理解度は低いという結果が出ています。
 一方、調査された全ての項目について「理解したい」と回答した薬剤師は8割を超えており、同氏は今後勉強会などを開催してAMR対策を推進すべきとしています。
 

調査の主旨と方法

 この調査は、薬局薬剤師向けの勉強会において取り上げる重要項目を検討するために実施されました。17年10月に熊本市薬剤師会所属の315薬局へアンケートを送付し、回収率39%、124人の薬剤師から回答を得たそうです。
回答方法は質問項目に対し
【1】十分に理解しており、日常業務でも実践している
【2】それなりに理解している 
【3】理解度がまだ十分でなく、これからしっかりと勉強したい 
【4】今のところ勉強しようとは考えていないが、いずれ勉強したい 
【5】薬局薬剤師にとって必要とは思えず、勉強しようとは思わない
の5段階から当てはまるものを選択するというものです。このうち【1】と【2】の回答を「理解している」、更に【3】を合わせた割合を「関心が高い」としました。
 AMR対策以外でも、抗菌薬の相互作用や副作用に関しては半数以上の薬剤師が「理解している」という結果だったことに対し、薬物動態(PK)/薬力学(PD)理論に基づいた投与方法の設定では28.3%、薬物動態に関する抗菌薬の特性の理解は32.5%にとどまるなど理解の進んでいない部分が多くあることが明らかになっています。
 理解不足が浮き彫りになる一方で、調査を行った全ての項目で「関心が高い」とした割合は8割を超えており、大多数の薬剤師がAMR対策のための知識を身に着けたいと考えていることもわかりました。

AMR対策における薬剤師の役割

 上記の調査を実施した尾田氏は、経口抗菌薬は主として外来患者で使用されていることから適切な処方には薬局薬剤師の協力が必要不可欠と述べています。
 また、日本化学療法学会と日本感染症学会が医師に対して行った別の調査では、感冒と診断した患者が抗菌薬を希望した場合どう対応するかという質問に対し、「説明しても納得しなければ処方」が50%を超えています。「抗菌薬を減らしたいという意識をもってはいるが、患者が欲しがれば仕方なく出す」という医師も多いようです。
 こうした状況から考えて、AMR対策では一般市民に対する耐性菌の脅威や、抗菌薬を適切に服用していくことの重要性を周知していくことが必要だといえるでしょう。ユーザーに抗菌薬に関する情報提供をする、という点においては薬剤師が職能を発揮する大きなチャンスです。患者への説明の仕方なども含めた勉強会など、薬剤師の学びの場が提供されれば参加の意欲も高いと見られます。
 患者向けの抗菌薬が持つリスクの啓発や、PK/PD理論に基づいた抗菌薬の適正な用法用量を医師へ助言することなど、AMR対策において薬のプロフェッショナルである薬剤師の役割が大いに期待されるところです。


 

【参考資料】薬事日報
【薬局薬剤師の現状調査】AMR対策、低い理解度‐実践・学習意欲は8割超
https://yakunet.yakuji.co.jp/index.php?PAGE=YR_DETAIL&TARGET_ID=110007&TY=2018&TM=10

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