「海外で薬剤師として働きたい」と考えたことはありますか?
日本と異なる環境で薬剤師としてのキャリアを積むことは、多くのメリットや可能性をもたらす一方で、国ごとに異なる資格要件や語学力、ビザの取得など、クリアすべき課題も多くあります。
本記事では、薬剤師として海外で就職するための具体的な方法について、資格要件や必要となるものを中心に、日本との違いについても詳しく解説します。
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👉薬剤師の転職相談はこちら(無料)薬剤師として海外で就職するには?

日本の薬剤師免許は、ほとんどの国でそのまま就労することはできません。海外で薬剤師として働きたい場合には、その国の薬剤師免許を取得するために必要な条件を確認し、入念な準備が必要です。
海外で薬剤師として就職する方法には、現地の薬科大学を卒業する、外国人向けの試験に合格する、ボランティア活動を通じて実績を積む、または日系企業の海外研修を利用するなど、いくつかの選択肢があります。
1, その国の薬科大学に通う
海外で薬剤師として就職するための最も一般的な方法は、現地の薬科大学に進学し、資格取得を目指すことです。
例えばアメリカでは、薬科大学に入学し、薬学博士(PharmD)の資格を取得し、卒業後に現地の薬剤師試験を受けることで、正式に薬剤師として働くことが可能になります。薬科大学への入学には、高い学力や英語力が求められますが、現地で教育を受けることで、その国の医療制度や文化を深く理解できます。
また、ともにキャンパスライフを送る同級生と積極的に関わることで、現地の患者や同僚の薬剤師と円滑にコミュニケーションをとるための練習にもなるでしょう。
薬科大学のカリキュラムは国によって異なりますが、アメリカやカナダでは6年以上の学習が必要とされる場合が多く、学費も高額です。そのため、海外の薬科大学に通って薬剤師としての就職を目指す場合は、奨学金制度の利用や事前の資金計画が重要です。
一部では、外国人薬剤師に対する単位免除の制度など、優遇措置を設けている大学もあります。少しでも各国の薬剤師免許を取得するまでの年数を短縮したい方は、制度についてよく調べると良いでしょう。
2, 外国人薬剤師向けの試験に合格する
国によっては、外国人薬剤師向けの試験を受けることで現地での就職が可能になる場合もあります。
例えば、アメリカでは、まず外国人薬剤師向けの試験であるFPGEEに合格、TOEFLとTSEで規定以上の点数を取り、「Foreign Pharmacy Graduate Examination Committee(FPGEC)」の認定を受ける必要があります。その後、州の定める時間のインターンシップに参加し 、薬剤師国家試験(NAPLEX)に、合格することで、米国薬剤師としての資格取得が可能です。
カナダでも、TOEFLなどで規定以上の点数を取り、大学での講義と500時間のインターンシップを修了したのち、「Pharmacy Examining Board of Canada(PEBC)」の試験をクリアすれば、薬剤師免許を取得できます。
これらの試験には、専門知識だけでなく、実務経験や英語力も必要とされるため、事前の準備が不可欠です。
また、試験に合格した後にインターンシップへの参加や現地の医療現場での実習経験が義務付けられている国もあり、即戦力として働ける人材であることが条件となります。
海外の薬科大学に通うよりも学費などの金銭的負担が少なく済む場合が多いため、すでに日本で薬剤師国家試験として働いている実務経験豊富な方は、外国人薬剤師を対象とした試験の受験を検討すると良いでしょう。
3, ボランティアに参加する
ボランティア活動を通じて、海外で薬剤師としての経験を積むことも可能です。
特に発展途上国では、医療支援を必要としている地域が多く、NGOや国際機関が主催するプログラムに参加することで、実際に働きながら現地の医療事情を学ぶことができます。
例えば、独立行政法人国際協力機構(JICA)が実施するボランティア事業の「JICA海外協力隊」では、発展途上国からの要請に基づき、要請に見合った技術や知識を持つ人を募集し、応募者に対して選考や訓練を実施した上で海外協力隊として人材を派遣します。
JICAの活動に薬剤師として参加したい場合、募集により条件が異なりますが、最低でも2年以上の実務経験が求められるケースが多いです。そのほか、年齢制限、性別の制限が設定される場合もあります。
JICA海外協力隊で派遣される薬剤師には、主に現地の医療従事者の能力向上のためのサポートや、薬の適切な在庫管理方法を指導し、医薬品管理体制を整える役割などが期待されています。
JICA海外協力隊の派遣期間は原則2年間であるため、期間限定で海外で働きたい方や、自分の専門分野を活かして発展途上国で国際貢献をしたい方にとっては魅力的な選択肢となります。
ほかには「国境なき医師団」でも同様に、発展途上国への薬剤師派遣を実施しています。派遣期間の目安は6カ月〜1年間です。英語で業務ができること(ヨーロッパ言語共通参照枠でB2以上)に加え、2年以上の臨床経験、総合病院での勤務経験、マネジメント・監督・教育の経験が必須となっています。
ボランティア活動を通じて得た経験や人脈は、海外での正式な就職につながる可能性もあります。さらに、ボランティア活動に参加することで、語学力の向上や異文化への適応能力を身につけることができるのもメリットといえるでしょう。
4, 日系企業の海外研修を利用する
海外赴任の機会の多い大手製薬会社や医療関連企業では、海外研修制度を設けている場合があります。海外勤務を前提とした研修プログラムに参加することで、現地の業務を学びながらスムーズに海外での仕事につなげることができます。
特に、グローバル展開している企業では、海外支社で薬剤師として仕事をするチャンスも多く、日本の薬剤師資格を活かしながら国際的なキャリアを築くことができます。
海外研修にかかる費用を会社が負担してくれる点は大きなメリットですが、臨床現場の薬剤師としての研修は難しい点には注意が必要です。研究、海外市場の調査、技術交流などで海外研修(海外派遣)がおこなわれる傾向にあります。
海外の医療現場ではなく、海外で薬剤師としてオフィスワークをしたい人は、グローバル展開している日系企業への就職を目指すのがおすすめです。
薬剤師として海外で働く際に必要なもの

海外で薬剤師として働くためには、現地の薬剤師免許、実務レベルの語学力、就労ビザなどが必要になる場合がほとんどです。
準備に時間がかかるものもあるため、薬剤師として海外で働くと決めたら、早めに準備を進めましょう。
その国の薬剤師免許
ボランティアとして発展途上国に派遣される場合は不要なこともありますが、薬剤師として海外で働く場合、基本的には各国の規制に基づいた薬剤師免許が必要です。
アメリカでは「North American Pharmacist Licensure Examination(NAPLEX)」、カナダでは「Pharmacy Examining Board of Canada(PEBC)」、オーストラリアでは「Australian Pharmacy Council(APC)」の試験に合格する必要があります。
また、国によっては追加の実務研修が求められる場合があります。
実務レベルの語学力
薬剤師として海外で働くには、現地の言語での患者対応や医師とのコミュニケーションが必要です。
多くの国では、TOEFLやIELTSのスコア提出が求められます。また、実際の医療現場では医療専門用語を含む実務レベルの語学力が必要なため、試験対策だけでなく、実際の会話練習も重要です。
就労ビザ
外国人として働くことになるため、その国の就労ビザが必要です。ビザの取得には現地の雇用主による推薦が求められる場合も多く、手続きには時間がかかることがあります。
また、国によっては移民政策の影響を受け、就労ビザの取得条件が変わることもあるため、常に最新の情報を確認することが大切です。
働きたい国が決まったら、時間に余裕をもって準備を進めましょう。
薬剤師として海外で働くメリット

海外で薬剤師として働くことで、キャリアの幅が広がるとともに、高収入や専門スキルの向上によるキャリアアップが期待できます。
海外で薬剤師に求められる役割を実際に知ることで、その後日本で薬剤師として働く場合にも、新たな視点を職場に還元できる人材として活躍できます。
また、異文化の中で働くことで、国際的な経験を積むことができるのも大きな魅力といえるでしょう。
海外での勤務・生活を経験することで、語学力が高まることはもちろん、日本では経験できない多様な文化圏の方との交流などを通して、コミュニケーション能力など、グローバルに活躍する人材になるために必要不可欠なスキルを身につけることが可能です。
高収入を得られる
アメリカやカナダでは、薬剤師の年収が日本よりも高い傾向があります。特にアメリカでは、薬剤師の平均年収は約1,000万円を超えることもあり、長年の経験を積むことでさらに収入を増やすことが可能です。
病院、ドラッグストア、製薬会社など働く場所によっても待遇が異なり、例えば、病院薬剤師は高度な知識を求められるため、高収入を得やすい傾向があります。また、専門資格を取得することで、より高い報酬を得られる機会が広がります。
医療の発展が進んでいる国では、薬剤師の役割が拡大しているため、将来的にも安定した収入を見込める職業のひとつといえるでしょう。
ただし、高収入を得られる国は物価も高いことが多いため、生活費も高い傾向にあることは理解しておきましょう。
キャリアアップの機会が豊富
海外では薬剤師の専門分野が細分化されており、特定の領域で専門性を高めることが可能です。臨床薬剤師、研究職、製薬企業のコンサルタントなど、それぞれの職種で多様なキャリアパスが用意されています。
特に病院薬剤師は、チーム医療に積極的に関わる機会も多く、スキルアップを目指しやすい環境が整っているとされています。勤務を通して海外での知見を得られるだけではありません。
欧米では薬剤師に認められた権限が多くあり、日本よりも踏み込んだ提案・介入をすることも可能です。専門性を高めていくには、最適な環境と言えるでしょう。
ほかにも、調剤薬局では患者へのカウンセリング業務が求められることが多く、多様な文化背景を持つ方との実践的なコミュニケーションのスキルや、提案力の向上につながります。
大学や研究機関での薬学研究に携わる道も開かれており、新薬開発や公衆衛生の分野での活躍も期待されています。
国際的な経験を積める
海外で薬剤師として働くことで、異文化の中での業務経験を積むことができます。多様な背景をもつ患者や医療従事者と関わることで、より広い視野をもつことができるでしょう。
また、国際的な医療基準や治療法を学ぶことで、薬剤師としてのスキルの向上にもつながります。海外で得た経験を生かして、日本に帰国した後には、外資系製薬企業や国際医療機関での勤務につなげることもできるかもしれません。
海外の薬剤師制度の特徴を徹底比較!

各国の薬剤師制度には、大きな違いがあります。特にアメリカ、カナダ、オーストラリアでは、薬剤師の権限や業務範囲に違いが見られます。
アメリカの場合
アメリカで薬剤師になるためには薬科大学に入学して「Doctor of Pharmacy(PharmD)」の学位を取得し、薬剤師国家試験にあたる「North American Pharmacist Licensure Examination(NAPLEX)」に合格する必要があります。
アメリカでは、薬剤師はチーム医療の重要な一員として認識されており、臨床の現場で積極的に活躍することができます。また、薬局では患者から相談を受ける「カウンセリング」が重視されており、薬剤師の役割が非常に大きい点が特徴です。
薬剤師の権限は州によって多少異なりますが、多くの州では薬剤師に処方権が与えられており、特定の医療用薬剤を直接患者に提供できるケースもあります。
このように、薬剤師に多くの権限が与えられ社会的地位が高い背景には、医療費は原則的に医療機関が設定するために高額であることや、民間医療保険が主体のため無保険者も多く、気軽に医療機関にかかれない国民も多いことが挙げられます。日本よりも、セルフメディケーションが重視されているのです。
カナダの場合
カナダで薬剤師として働くためには、薬剤師国家試験にあたる「Pharmacy Examining Board of Canada(PEBC)」の試験に合格することが必要です。
薬剤師は医師と連携しながら患者の薬物治療をサポートし、処方薬の調整や服薬指導を行います。州によっては特定の薬剤の処方権を持つこともあり、薬剤師の役割が日本と比べて大きいのが特徴です。
アメリカとおなじくカナダでも、薬剤師が医療チームの一員として積極的に関与することが求められるため、より高度な専門知識が必要となります。
さらに、カナダではリフィル処方箋が普及しており、日本で運用が始まったリフィル処方箋よりも薬剤師に認められた権限が大きいのも特徴です。剤形選択、服用タイミング、患者に渡す薬の日数、漸減・漸増の指示なども、薬剤師の判断で決定することができます。
また、薬剤師が予防接種をおこなえる州も多いです。接種するワクチンの種類やスケジュールの立案、接種後のフォローアップも含めて薬剤師に任されています。こういった背景から、カナダの薬剤師は、国民から信頼を得ているのです。
オーストラリアの場合
オーストラリアでは、薬剤師国家試験にあたる「Australian Pharmacy Council(APC)」の試験に合格し、一定期間の実務研修を修了することで薬剤師免許を取得できます。
オーストラリアの薬剤師は、薬剤の調整やカウンセリング業務が重視されており、患者とのコミュニケーションを通じて健康管理に積極的に関与することが期待されています。薬剤師が地域医療の一翼を担っていて、在宅医療の分野でも重要な役割を果たしています。
オーストラリアの薬局では、薬剤師1人につき1〜2人程度のファーマシーテクニシャンが存在しており、薬剤師は専門性の高い業務に専念できる体制が作られています。
基本的に包装(箱)単位で調剤をおこなうことや、薬学的介入が発生しない場合は薬歴記載楽歴記載が必須ではないことなどから、業務効率化も進んでいるのが特徴です。
また、在宅や施設など薬局外においてかかりつけ医と連携し、患者の状況を踏まえた上で、医薬品、サプリメント、健康食品などについて総合的に評価・提案する「コンサルタントファーマシスト」が活用されています。
オーストラリアでは、特に地方で薬剤師不足が顕著なため、地方では薬剤師の需要が高く、外国人でも就職のチャンスが多いとされています。
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👉薬剤師の転職相談はこちら(無料)海外の薬剤師と日本の薬剤師の働き方の違い

続いては、薬剤師の業務範囲や権限、医療制度、キャリアなどについて、日本と海外とを比較してみていきましょう。日本との違いをしっかりと把握することで、ご自身が理想と思える働き方やキャリア形成のできる国、体制がわかると思います。
業務範囲と協業体制
海外では、薬剤師は専門性の高い業務(最終鑑査、患者のカウンセリング、医師への提案など)に専念し、他の業務をファーマシーテクニシャンに任せるシステムが主流です。日本にも「調剤助手」として勤務する方がいますが、ピッキングや発注などごく一部の業務しか任せることができません。
アメリカやオーストラリアなどの「ファーマシーテクニシャン」は、より専門的な訓練を受けた資格職です。
国によっては注射薬の混注、水剤や軟膏の調製などもできます。ファーマシーテクニシャンのサポートにより、海外の薬剤師は日本の薬剤師よりも幅広い業務をおこなえるのです。
薬剤師の権限の違い
日本の薬剤師は、基本的に医師の処方に従って調剤を行う役割が仕事の中心です。
一方、アメリカやカナダでは薬剤師が一定の条件下で処方権を持つ州も多く、そのような州では医師の処方を調整することが認められています。
たとえばアメリカの薬剤師の場合、院内の取り決め(プロトコル)に基づき、医師から権限の委任を受けて処方をおこなう「依存型処方権」を持っており、薬剤の選択や投与量の決定をすることが可能です。
また、「リフィル処方箋制度」も日本以上に普及している国が多く、薬剤師の判断で継続的な調剤を行うことが可能です。アメリカやカナダでは、州によって薬剤師によるワクチン接種も認められています。
日本の薬剤師は海外の薬剤師と比べて権限が少なく治療上の責任範囲が狭いため、患者の治療に直接関与する機会が得にくいといえるでしょう。
医療費や文化の違いから見る薬剤師の役割
海外の薬剤師と日本の薬剤師には、医療費や文化の特色からくるさまざまな違いが存在します。例えば、欧米諸国では日本と比べて医療費の自己負担額が高額なため、患者は病院に行く前に薬局で薬剤師に相談することが一般的です。
特にアメリカでは、医療費の自己負担額が非常に高く、保険の種類や加入状況によっては治療費が払えないほど莫大な額になるため、軽い病気や症状の場合は薬剤師に相談し、市販薬で対応するケースが多く見られます。そのため、市販薬の選択肢も日本より多く、薬剤師は患者に対して最適な薬を提案する役割を担っています。
カナダやオーストラリアでも、薬剤師が患者の症状を確認し、適切な市販薬を提案することが一般的です。特にカナダは、公的医療保険が提供されているものの、診療予約が混雑していることが多く、軽い症状や日常的な健康管理に関しては薬剤師の相談を受けることが推奨されています。
カナダのリフィル処方箋は、日本と異なり薬剤師に大きな権限が与えられており、単に継続処方を調剤できるだけでなく、調剤する日数、規格、剤形、用法などを薬剤師の判断で調整することが可能です。
オーストラリアでは、ファーマシーテクニシャン制度により薬剤師が専門的な業務に専念できる環境になっています。一部の疾患・医薬品に対して処方権を持っていることもあり、業務範囲は広いです。
このような国では、薬剤師が積極的に患者とコミュニケーションを図り、症状に応じたアドバイスを行う文化が根付いています。
一方、日本では国民皆保険制度が整っているため、医療費の自己負担が比較的低く、軽い症状でも病院を受診する患者が多いのが特徴です。
そのため、薬剤師が患者の相談にのった上で市販薬を提供する場面は少なく、処方薬の調剤が薬剤師の主な業務となっています。近年では、健康管理の一環として薬剤師による市販薬の提供や健康アドバイスを行う薬局も増えてきていますが、欧米諸国に比べると、患者から薬剤師への相談の機会は少なく、医師が主導する診療が一般的といえるでしょう。
年収水準とキャリアアップの違い
各国の年収水準についてご紹介します。
アメリカの場合、薬剤師の平均年収は約135,000ドル(1,900万円)、時給で65ドル(9,000円)と非常に高い水準です。総合病院や在宅医療サービスではとくに高い傾向にあります。
カナダでも平均時給65ドル(6,800円)と高い水準であり、社会的地位の高さが反映されているようです。
オーストラリアでは、新卒者で7万ドル(680万円)、コンサルタント薬剤師など専門性の高い薬剤師では11万ドル(1,000万円)が見込めます。
どの国でも、専門性を高めるほど給与は大幅に高くなっていくため、日本と比較すると自己研鑽へのモチベーションを維持しやすいかもしれません。
薬剤師として海外勤務する際のポイント

海外で薬剤師として働くためには、事前の情報収集が非常に重要です。まず、自分が働きたい国の薬剤師免許の取得条件や必要な試験について確認し、準備を進めましょう。
また、語学力を磨くことも欠かせません。特に英語圏では、TOEFLやIELTSのスコアを求められることが多いため、早めに対策を始めると良いでしょう。
さらに、就労ビザの取得条件や求人の状況についてもリサーチし、スムーズに海外就職できるよう準備を整えることが大切です。
JICA海外協力隊や国境なき医師団など、NGOや国際機関が主催する薬剤師派遣プログラムへの参加を希望する場合は、それぞれの団体が出している募集に応募するのがスタートとなります。
募集には、日本での実務経験や年齢制限が設けられていることも多いため、早い段階で過去の募集要項を確認しておくと良いでしょう。
よくある質問
薬剤師は海外でも働ける?
日本の薬剤師免許を持っていても、そのまますぐに海外で薬剤師として働くことはできません。
たとえばアメリカの場合、TOEFLなどの条件を満たして外国人薬剤師向けの試験「FPGEE」に合格したのち、各州の定めたインターンを修了し、アメリカの国家試験に合格しなければなりません。アメリカ以外でも、試験やインターンが必須の国が多いです。
日本の薬剤師免許は海外で使える国はある?
基本的に、日本の薬剤師免許だけで薬剤師として働くことはできません。例外として、国境なき医師団やJICAのような国際的なボランティア活動に参加する場合や、日系企業の海外研修として見学をおこなう場合などは、現地の免許は不要な場合があります。
海外就職に向けた具体的な準備ステップ
海外で薬剤師として働きたい!と決心したら、しっかりと準備をおこないましょう。
まずは、どの国や州で働きたいか、具体的に決めましょう。国や州によって、必要となる語学のレベルやインターンの時間が異なります。
次に、求められるレベルの語学力をつけましょう。TOEFL、IELTSなど、規定の試験で必要なスコアがなければ、次のステップに進むことができません。英語に苦手意識のある方は、語学の習得に年数が必要になるかもしれませんので、計画的に勉強を進めていく必要があります。
また、国によっては、書類審査もあります。卒業証明書、成績証明書、シラバスなど必要書類を調べ、あらかじめ揃えておきましょう。
語学力や書類の審査に通過したら、インターンシップや試験を通過しなければなりません。インターンシップは、アメリカの場合500〜2000時間、カナダの場合3〜6か月ほどかかります。それと並行して、外国人薬剤師向けの試験、国家試験などを突破するための勉強も必要です。
海外で就職するためには、日本での準備からインターンシップまで含めると数年はかかると思われます。
あなたに合った職場をお探しします
👉薬剤師の転職相談はこちら(無料)まとめ
薬剤師として海外で働き、専門性を高め、国際的なキャリアを築くことで、日本では得られない貴重な経験を積むことができます。また、海外での経験を活かして、日本に戻った後もグローバルな視点を持った薬剤師としてのキャリア形成が期待できます。
薬剤師として海外で働くには、資格や語学力、ビザ取得など多くの準備が必要です。また、NGOや国際機関が主催する薬剤師派遣プログラムに参加する場合は、年齢制限が設けられていることも多いため、海外で働きたいと考えている方は、早めに情報収集し行動に移していくことが重要です。
高い語学力があれば、海外で働こうと決心したとき、日本での準備期間を短くすることができます。まだ迷っているという方も、少しでも海外での勤務を前向きに考えているのであれば、まずは語学の習得から準備してみてはいかがでしょうか?