福利厚生には法律で定められている制度と、企業が独自に用意している制度があり、内容は多種多様です。せっかく転職を考えるなら、より福利厚生が充実した職場へ転職したいものです。
この記事では、福利厚生の概念や種類、薬剤師が押さえておきたい福利厚生のポイントについて解説しています。
【薬剤師必見】福利厚生は大きく2種類ある
福利厚生は2種類に分けられます。薬剤師が押さえておくべき福利厚生の基本をご紹介します。
法定福利厚生
法定福利厚生は法律で会社に義務付けられている制度です。以下の6つがあります。
・健康保険
従業員や従業員家族が疾病や怪我に見舞われた場合に、医療費を国に負担してもらう制度です。出産手当金も、健康保険から支給されます。
・厚生年金保険
国民年金に上乗せされる形で将来年金が給付される制度です。会社に勤務する従業員が加入します。
・雇用保険
倒産やリストラによって職を失う場合、および自己都合によって退職し、就職先が見つからない場合に給付が受けられる制度です。
・介護保険
65歳以上の介護認定を受けた方が、介護サービスを受けられるように、費用の一部を負担してくれる制度です。40歳以上の方は、介護保険に加入する義務があります。
・労災保険
正式名称は『労働者災害補償保険』です。業務中や通勤中に怪我をした場合に給付が受けられます。
・子ども・子育て拠出金(児童手当拠出金)
子育て支援事業や児童手当などのために、会社が保険料を納める制度です。被保険者の標準月額報酬・標準賞与額から算出され、保険料の全額を会社が負担しています。
法定外福利厚生
制度の設置が法的には定められておらず、会社が独自に設けているのが、法定外福利厚生です。
通勤・住宅 | 家賃・住宅ローンや交通費の全額または一部を会社が負担します。家賃補助以外に、借り上げ社宅がある会社もあります。 |
健康・医療 | 健康診断や人間ドックなどにかかる費用を会社が負担します。そのほか、OTC医薬品(一般用医薬品、要指導医薬品)の購入補助などがあります。 |
育児・ 介護支援 | 託児所の利用やベビーシッターを雇うために必要な費用の全額または一部を会社が負担します。 |
慶弔 | 従業員の結婚・出産に対し、慶弔見舞金を支払います。従業員やその家族に起きた身内の不幸に対しても慶弔見舞金が支払われます。 |
財産形成 | 例として、社内独自の預金制度があげられます。ほかには、持ち株制度という、自社株を共同購入して拠出金額に応じた持ち分が配分される制度もあります。 |
職場関連 | 従業員へのスマホの支給や、社員食堂の設置が主な例です。業務に必要な制服の貸与もこれにあたります。 |
業務関連 | 薬剤師業務に必要な知識を蓄えるために必要な書籍購入の費用、資格取得のための受験費、学会への参加費用を会社が負担します。 |
自己啓発 | 薬剤師業務とは関係なく、自己啓発に対し補助を出してくれる制度です。セミナーや講演に参加するための費用負担などがあります。 |
休暇関連 | 法律で定められた休暇や休日以外の休暇です。特別休暇とも呼ばれています。代表的なものには、夏季・冬季休暇、慶弔休暇、リフレッシュ休暇があります。 |
一般的な法定外福利厚生のほかに、薬剤師がチェックしておきたいものに、『薬剤師賠償責任保険』があります。
薬剤師賠償責任保険は、日本薬剤師会の正会員が加入できる保険です。調剤ミスや不慮の事故などに対して、法律上の賠償責任を問われた場合に保険金が支払われます。
この保険は、薬剤師が安心して日々の業務に専念することが目的のひとつです。万が一の事態に備えて加入しておくと良いでしょう。
【職場別】薬剤師の福利厚生の特徴
職場別の、法定外福利厚生について解説します。
病院
病院の福利厚生は、病院の規模と運営元によって異なります。
国立・公立病院に勤める場合、病院の規模が大きくなるにつれ、福利厚生も充実する傾向にあります。
代表的なものに『従業員宿舎』や『院内保育園』があります。従業員宿舎があれば、住まいにかかる費用が安くなる可能性がありますし、通勤時間の短縮が見込めるでしょう。院内保育園を設置している職場では子どもの送り迎えの負担が減ります。ライフステージが変化しても働き続けやすい福利厚生といえるでしょう。
民間病院の場合は、運営元の経営状況が福利厚生の充実度合いを左右することがあります。
民間病院への就職を考える場合は、現在の給料と福利厚生だけでなく、経営状況もチェックしておくことをおすすめします。
調剤薬局
大手調剤薬局は『リフレッシュ休暇』や『結婚休暇』といった福利厚生が充実している傾向にあります。帰省にかかる費用を補助してくれたり、結婚にともなう新生活の準備や結婚旅行のために連続休暇を取得できたりする場合があります。
そのほかには、系列店で処方箋調剤をお願いすれば、本人負担額を一部支給してくれる会社もあります。特に本人や家族が定期的に薬を服用している場合は、メリットが大きい制度といえるでしょう。
ドラッグストア
ドラッグストアも、規模が大きな会社ほど福利厚生が充実している傾向が見られます。
たとえば、医薬品以外に日用品の購入まで対象となる社員割引制度は、給料以外にも生活を支えてくれる貴重な福利厚生となります。
労働組合が組織されている会社であれば、労働組合の福利厚生も利用できます。労働組合の福利厚生として、テーマパークの特別利用補助券やスポーツ観戦のチケットが用意されていることもあります。
休暇を存分に楽しめる福利厚生があると、働く意欲の向上にもつながるでしょう。
薬剤師が福利厚生でチェックしておくべきポイント
会社が用意する多種多様な福利厚生の中から、薬剤師が確認しておきたい福利厚生のポイントをご紹介します。
生活支援の制度が充実しているか
職場に長く勤めている間に、ライフステージはどんどん変化していくものです。
仕事を安定して続けるためにも、生活支援の制度が充実しているかを確認しましょう。生活支援の福利厚生には介護・育児関連があります。
『介護補助金』が出る会社なら、介護にかかる実費負担を軽くできます。さらに、要介護の家族の元へ向かう交通費を一部負担する会社も見られます。
また、妊婦の時期から時短勤務が可能な会社や育児手当が手厚い会社なら、ライフステージの変化があっても働き続けやすいでしょう。
制度の利用実績があるか
多様な福利厚生がありサービスが充実しているように見えても、あまり利用されていないケースがあります。
求人票に載っている福利厚生だけに目を通すのではなく、利用実績があるかどうかチェックすることもポイントです。
近ごろは、会社が有給や育休などの利用実績を公表している場合もあります。公表されたデータが見つからない場合は、転職エージェントを通して問い合わせることも可能です。
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まとめ
福利厚生には、法律で義務付けられた法定福利厚生と、会社が独自に設ける法定外福利厚生の2つがあります。
長期的な視点で見ると、特に生活支援の制度が充実している会社が魅力的です。
しかし、福利厚生が使われず形骸化している場合もあるので、必ず利用実績があるか事前に確かめましょう。
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