薬剤師として働く上では、常に最新の情報にアクセスしたり、さらに専門性を高めたりすることが大切です。対面だけでなくオンラインでの講習会も増えてきて、さまざまなライフスタイルの薬剤師が勉強しやすい環境になってきました。
今回は、数ある薬剤師向けeラーニングシステムの中から、MPラーニングに着目し、受講のメリットやデメリット、方法についてご紹介します。
そもそもMPラーニングとは何?
さまざまあるeラーニングシステムの中で、MPラーニングをご存知でしょうか?
MPラーニングは、研修認定薬剤師の対象となる講座として、日本薬剤師研修センターに認可されたeラーニングの1つです。疾患や治療について学べるほか、服薬指導の方法、漢方薬、小児薬物治療に関する講座もあり、新卒の薬剤師から中堅・ベテランの薬剤師まで幅広く活用できる内容になっています。スポーツファーマシストや学校薬剤師など、少し珍しい業務に関するコンテンツもあるため、目指している方にもおすすめです。
1コンテンツ30分とコンパクトな動画となっているため、職場の昼休みなどの時間を活用してどんどん学びを深めることができます。
MPラーニングで取得可能な研修認定薬剤師とは?
研修認定薬剤師は、かかりつけ薬剤師の認定要件にもなっており、近年注目度が高まっている資格です。
研修認定薬剤師を取得するためには、一定の年数(新規の申請は4年、更新は3年)に渡って薬剤師業務に関わる講義を受け、所定の単位数を集める必要があります。それにより、薬剤師として研鑽を積んでいるという1つの証拠になるのです。
がんや心不全、在宅医療など、長期間病気と共に歩む患者が増えるにつれ、患者の薬物療法や健康に対して責任を持ってサポートする「かかりつけ薬剤師」のニーズは、どんどん高まってきています。知識のブラッシュアップだけでなく、かかりつけ薬剤師になるためにも、研修認定薬剤師を目指してみませんか?
MPラーニングの料金について
MPラーニングの受講料は、研修認定薬剤師の新規取得を目指すのか、資格更新を目指すのかによって異なります。
新規取得コース | 年間16,500円 |
更新コース | 年間8,800円 |
毎年60(20単位分)以上の新しいコンテンツが公開されるため、複数年継続して受講しても常に新たな内容を学べるようになっているのが特徴です。どちらのコースでも、受講できるコンテンツの内容には差がありません。
認定資格を申請するかどうかは未定でも、コンテンツを受講して学びたいという方は、「新規取得コース 」の費用がかかります。
MPラーニングの申し込み方法
MPラーニングを受講したい方は、ホームページから以下の流れで申し込みをおこないます。
● コースを選ぶ
新規取得コースか、更新コースかによって費用が異なります。
● ユーザ情報の登録
名前やメールアドレス、所属、支払い方法などを登録します。
● 単位対象情報を登録する
薬剤師名簿登録番号や自宅・勤務先の住所を登録します。
申し込みをおこなった日から1年間、いつでもご自分の都合の良いタイミングでコンテンツを視聴することができます。分割して受講したり、何度か繰り返し受講したりすること も可能です。
受講した分の単位は、翌々月末までにPECS(薬剤師研修・認定電子システム)に反映され、確認することができます。
MPラーニング受講にはPECSへの登録が必須
実際にMPラーニングを受講し、単位を集めていくには、PECS(薬剤師研修・認定電子システム)への登録が必要です。研修の履歴管理や各種認定手続きの電子化のために導入されました。
受講から研修認定薬剤師の申請までに必要な情報をお伝えします。
単位取得期間・単位数一覧
研修認定薬剤師を申請するには、PECSから申請をおこなう日から遡って4年以内に40単位の取得が必要です。PECSに登録する前に受講した研修の単位は、反映できない点に注意しましょう。
eラーニングは1単位90分で、 「45分×2」もしくは「30分×3」の組み合わせで構成されます。そのほか、集合研修(1単位90分 、1日4単位まで)や学術集会への参加(1日4単位、1学術集会につき9単位まで)、学術雑誌論文掲載(1報告書あたり1単位、年間3単位まで)なども単位として利用可能です。
40単位のすべてをMPラーニングで取得するとした場合、120コンテンツ(合計60時間)の視聴が必要になります。
研修認定薬剤師の申請方法
研修認定薬剤師の申請方法をご紹介します。方法はとても簡単です。
① PECSにログインし、「認定申請」のページを開く
認定申請のページでは、現在の状況で申請できる認定区分が選択できます。
② 単位の確認
PECSを介して取得した単位が表示されます。PECSを介さない単位がある場合は、ここで登録します。
③ 申請に必要な事項を登録する
勤務先、正式な氏名の情報、認定証の送付先住所、支払い方法の登録をします。生涯学習の状況について、自己診断の入力もおこなってください。
④ 申請内容を確認し、「申請」ボタンを押す
これで申請は完了です。受付確認のメールが送信されますので、必ず確認します。PECSを介していない単位がある方は、研修手帳などの提出が必要になりますので、忘れずに送付してください。
MPラーニングで認定薬剤師を取得するポイントは3つ
MPラーニングで単位を集め、認定薬剤師を取得するために意識したいポイントを3つご紹介します。
計画的にコンテンツを受講する
40単位すべてをMPラーニングで取得する場合で、120コンテンツ(合計60時間)の視聴が必要だとお伝えしました。新規申請の場合、4年以内に40単位なので、努力次第では早く取得することも可能です。
たとえば、半年かけて40単位を集める場合を考えてみましょう。1ヶ月あたり20コンテンツ(10時間)の視聴が必要です。1週間に5コンテンツと考えれば、毎日昼休みに1コンテンツ、30分の動画を視聴できれば良いということになります。
「4年でやればいいから」と長期的に考えていると、ついコンテンツの視聴を怠ってしまうことも多いです。短期間で集中的に学ぶのが良いのではないでしょうか?
学びの目標を定める
なんとなく動画を見て単位を集めることもできますが、せっかく時間をかけるのであれば学びに目標を定めましょう。目標があれば、「面倒だな」「疲れたから」など挫折しそうになったとしても続けることができます。
MPラーニングは、さまざまな分野のコンテンツが充実しているのが特徴です。糖尿病や各種がん、不眠症など疾患別に病態や治療を学ぶコンテンツ、薬物動態や処方鑑査など薬剤師としてのスキルを磨くコンテンツ、OTC医薬品やサプリメントに関するコンテンツ、コミュニケーションの方法やクレーム対応に関するコンテンツもあります。
きっと働く中で疑問に思ったこと、患者対応で悩んだことなどの答えを得られるでしょう。目的を持って学習するのが、継続するコツです。
同僚と一緒に目指すのもアリ
一人だけで黙々と学習をしていると、つい諦めそうになることもあります。同僚や友人とともに、「いつまでに取得しよう」と目標を立て、一緒に目指してみませんか?誰かと一緒であれば、挫折しにくくなるのでおすすめです。進捗状況を報告し合ったり、役に立った動画を共有したりすると良いでしょう。職場全体の知識の底上げにもなります。
eラーニングの費用の助成がある勤務先であれば、受講している薬剤師も多いかもしれません。スキルアップを目指す仲間として、声をかけ合いながらの受講で挫折を防ぎましょう 。
MPラーニングのメリットとは?
薬剤師向けのeラーニングシステムはいくつかあります。数あるeラーニングシステムの中で、MPラーニングを選ぶメリットとはなんでしょうか?ここでは5つご紹介します。
MPラーニングだけで研修認定薬剤師を取得できる
MPラーニングだけで、研修認定薬剤師の申請に必要な40単位をすべて集めることができます。PECSで単位がしっかり管理できるので、「シールを失くしてしまった」「今単位がどれだけ集まっているかわからない」といったトラブルもありません。
単位の管理に自信のない方、できるだけスムーズに研修認定薬剤師を取得したい方には、MPラーニングが特におすすめです。
毎年コンテンツが更新される
eラーニングシステムの中には、あまりコンテンツが更新されず、情報が古いままというものも少なくありません。MPラーニングは、毎年60(20単位分)以上の新しいコンテンツが更新されていきます。
1年以上の時間をかけて研修認定薬剤師を取得したいという方にとっても、いろいろな分野の学びを深めたいという方にとっても、コンテンツが定期的に更新されるのは大きな魅力です。ご自身の興味に沿った内容で学べます。
漢方薬や小児薬物療法の認定単位も集められる
3コンテンツ(1単位)の中に2コンテンツ以上、漢方もしくは小児関連コンテンツが含まれていれば、その単位は【漢方薬・生薬認定薬剤師】【小児薬物療法認定薬剤師】の認定更新のための研修〔その他の研修〕の単位として使うこともできます。
新規申請はできても、更新のための単位が集められないという方は少なくありません。せっかく取得した認定資格を、失効させてしまってはもったいないです。MPラーニングを活用し、認定薬剤師の維持を目指しましょう。
費用が安く講座数が多い
ほかのeラーニングシステムと比較して、費用が安く始めやすいのがメリットです。
資格取得や勉強のためとはいえ、1年間に数万円の費用を捻出するのは簡単ではありません。
MPラーニングは、新規取得コースも16,500円とほかのeラーニングシステムより安価であり、資格更新コースはさらに安価な8,800円です。
コンテンツも豊富で、飽きることなく学習を続けられるでしょう。
スマホ・タブレット・PCどれでも閲覧できる
スマホ・タブレット・PCのいずれでも閲覧できるため、場所や時間を選ばずにコツコツと学び続けることができます。通勤中、昼休み、自宅でなど、ご自身の生活スタイルに合わせていつでも受講できるのは大きなメリットです。
MPラーニングにはデメリットも?
MPラーニングは、多くの講座を比較的安価に受講できるeラーニングシステムですが、メリットばかりというわけではありません。一部、デメリットともいえる箇所がありますので、お伝えしておきます。
動画を流しっぱなしにはできない
1コンテンツ30分のコンパクトな動画ではありますが、途中で表示される「次へ」のボタンを押さなければ動画が進んでいきません。頻繁にボタンを押すのが手間だと感じる場合もあるでしょう。とくに、スマホの小さな画面では少々扱いにくさがあるようです。
多少の手間はかかりますが、動画を流しっぱなしにできないことで、しっかりと動画に集中できるというメリットもあります。
内容が古い場合もある
多くのeラーニングシステムに言えることではありますが、内容の古いコンテンツが残っているかもしれません。各種ガイドラインは数年おきに改訂されることが多く、たとえば降圧目標値など、患者へ実際に伝える内容が変更されていることも考えられます。
コンテンツの公開年月日が古いものは、内容が間違っている可能性があるため、十分注意してください。
人によっては内容が簡単すぎる
基礎的な内容のコンテンツもあるため、人によっては難易度に物足りなさを感じるかもしれません。
新卒薬剤師の方・ブランクのある方でもしっかり学べるのはメリットとも言えますが、ある程度経験を積んだ薬剤師がさらに勉強したい・ステップアップしたいという目的で受講する場合、MPラーニングだけでは完結できない場合もあると知っておきましょう。
確認テストの問題数が多い
1つのコンテンツごとに確認テストがあるのですが、その中には5問以上の問題が含まれているため、ほかのeラーニングシステムと比較するとやや多いです。選択式のテストで、全問正解でなくとも次のステップへ進むことはできるので、難易度自体は高くありません。
回答を提出すると、解説として該当部分のスライド も提示してくれるため、振り返りの手段としては有効ですが、多少時間がかかります。余裕を持って受講しましょう。
MPラーニングの実際の口コミ
実際にMPラーニングを受講した薬剤師による口コミをピックアップしました。
<Aさん>
ほかのeラーニングシステムからMPラーニングに変えたら、普段の業務に結びつくコンテンツが多くて自分には合っていると感じた。
新規公開コンテンツの情報を、登録した メールアドレスに連絡してもらえるのがありがたい。
夜の隙間時間にMPラーニングで研修認定薬剤師更新のための単位を集めていますが、30分のコンテンツなので気軽に受講できて便利です。
そのほか、ナレーションや編集が変わって見やすくなった、子育て中の薬剤師でも受講しやすいといった意見もありました。マイナスポイントとしては、動画の途中で「次へ」のボタンを頻繁に押すのが面倒だという声が多いようです。
薬剤師の求人は”ヤクジョブ”
勤務先によっては、かかりつけ薬剤師になることで、給与が上がることもあります。eラーニングの費用を助成してもらえることも多いです。現在の勤務先にそういった制度がないのであれば、転職も検討してみませんか?
薬剤師の転職は、薬剤師専門の転職エージェント「ヤクジョブ」にお任せください。現在の希望のみならず、理想のキャリアプランも考慮してサポートいたします。 まずは相談だけでも歓迎です。
まとめ
日々進歩する医療の知識をアップデートするため、薬剤師としての学び は欠かせません。学びの証として、また、かかりつけ薬剤師になるための要件の1つとして、「研修認定薬剤師」の取得を目指している方も多いでしょう。
今回は、研修認定薬剤師を取得するための単位を集められるeラーニングシステム「MPラーニング」についてご紹介しました。ご自身のライフスタイルや性格に合っていると思われる方は、試してみてはいかがでしょうか。