40代で転職を考えている薬剤師の中には、年齢を理由に不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。薬剤師の募集は多い傾向にあるため、転職に成功する可能性は十分にあります。
今回は、40代の薬剤師の転職事情を紹介します。あわせて成功のポイントも解説しているので、ぜひ参考にしてください。
40代でも転職は可能!薬剤師の需要&転職事情を解説
一般的に、転職は年齢が高くなるほど難しくなる傾向があります。しかし、手に職をもつ薬剤師の場合は、その限りではありません。
厚生労働省が公表している職業情報提供サイトによると、令和2年度の薬剤師の有効求人倍率は3.35 と、ほかの業種と比較すると求人数が多いことがわかっています。
求人が多ければ、それだけ転職のチャンスが増えます。まずは、薬剤師の実際の需要や転職について考えていきましょう。
出典:「薬剤師 – 職業詳細 | 職業情報提供サイト(日本版O-NET)」(厚生労働省)
コロナ禍で求人数が減っている
薬剤師の有効求人倍率は高いものの、現在は求人数が減少傾向にあります。
この背景には、コロナ禍の影響があります。感染症の拡大により外出控えが続き、医療機関を受診する人が減りました。処方箋も減少し、医療機関や薬局は経営状態の悪化から採用を控える動きが起きています。
国家資格をもっている薬剤師の需要は高い
求人数は減少傾向でも、薬剤師の仕事は専門性が高く、依然として需要は高い傾向にあります。
近年は外来がん治療認定薬剤師が注目を集めており、高い専門性をもつ薬剤師はとても貴重です。ほかにも在宅医療の現場でもニーズが高まっているため、即戦力となる在宅経験者は重宝されるでしょう。
さらには、高い専門性や経験の証明となる「専門薬剤師」や「認定薬剤師」といった資格をもっていれば、企業側に好印象を抱いてもらいやすくなります。
勤務先も変化してきている
薬剤師の勤め先というと、これまでは調剤薬局やドラッグストアが一般的でした。しかし、高齢化が進む日本では、在宅医療の現場や病院のチーム医療など、薬剤師が活躍する分野が増えています。
在宅医療を希望する高齢者が増えると、薬剤管理や健康サポートの面で薬剤師が求められます。薬物療法に関する知識にプラスして緩和ケアや介護などの多角的な知識を習得すると、転職で有利に働くでしょう。
勤務先によって難易度が異なる
薬剤師の勤め先には、調剤薬局、ドラッグストア、病院、その他企業といくつかの選択肢があります。同じ薬剤師の仕事でも、勤務先によって求められるスキルはさまざまです。
希望の転職先によって転職難易度が変わるため、40代の転職では、職場の特徴を賢く見分ける目が必要です。
【職種別】40代の薬剤師の転職難易度
それでは、勤務先ごとの転職難易度をみていきましょう。
薬剤師の業界でも、若い20代や30代のほうが採用されやすい傾向があります。40代の転職では自分の強みがいかせる、より採用につながりやすい勤務先を厳選してください。
【難易度:低】ドラッグストア
ドラッグストアは出店数が非常に多く、薬剤師の数が追い付いていない傾向があります。特に調剤併設型ドラッグストアは人手不足から需要が多く、40代でも比較的就業しやすい傾向にあります。
管理薬剤師やエリアマネージャーとして働いた経験があれば、管理職としての転職も考えられます。経験を生かすことで、年収アップやキャリアアップなど、より良い条件で転職できる可能性が高まります。
とはいえ、ドラッグストアは土日祝を含む長い営業時間がネックです。勤務時間も長くなりやすいため、家庭などの都合で柔軟に働くことが難しい場合は慎重に検討しましょう。
【難易度:低】調剤薬局
調剤薬局では代替が利かないため、薬剤師の需要が依然として高い状況が続いています。人材不足で悩んでいる地域であれば、未経験の40代薬剤師でも十分転職が可能でしょう。もちろん、管理薬剤師やエリアマネージャーの経験があれば、有利に交渉が進められます。
ただし、店舗によって忙しさや業務の進め方はさまざまです。以前の職場とのギャップから働きにくくなるリスクもあるため、応募前に労働条件や職場の雰囲気など細かな情報収集は不可欠です。
【難易度:中】病院
診療報酬改定の影響で病棟業務を新たにはじめる病院が増えており、病院でも薬剤師の需要が高まっています。しかし、大きな病院は若手の育成に力を入れており、40代の薬剤師の転職は難しい傾向にあります。
もちろん小規模な病院や慢性期病院など、幅広い年齢を受け入れているところもあります。ただし、病院によっては薬剤師でも夜勤やオンコールが求められるので、労働条件の確認が必要です。
【難易度:高】企業・製薬会社
薬剤師は製薬会社のほか、一般企業でも医薬情報担当者(MR)、治験コーディネーター(CRC)、臨床開発モニター(CRA)、品質管理・品質保証、研究開発、DI担当などの職種で需要があります。土日休みであったり、福利厚生が充実していたりするところもあり、転職先の候補に入れる方も多いのではないでしょうか。
ただし企業の場合は、薬剤師に限らず募集しているケースがあります。薬剤師にも一般企業での勤務経験や業界知識が求められる場合もあり、競争率が高いことから40代での転職は厳しいといえるでしょう。
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👉薬剤師の転職相談はこちら(無料)公開求人数50,000件以上!40代薬剤師が転職に失敗する主なケース
40代の薬剤師の需要は高いものの、失敗するケースもあるため、注意して取り組む必要があります。ここからは、40代の薬剤師にありがちな転職の失敗事例を見ていきましょう。
経験が足りていない
40代になると、薬剤師としてのスキルアップを目指して転職をする方もいらっしゃるのではないでしょうか。ですが、実際に転職してからスキル不足を実感し、焦りから仕事がしにくくなってしまうことがあります。
なかには業務の変化に柔軟に対応できずに、活躍できないケースもあります。新しいやり方になかなか対応できない方、自分のやり方を変えられない方は、特に注意が必要です。
人間関係・雰囲気が合わなかった
求人票からは職場の人間関係や雰囲気がわからないため、入社してから職場環境にギャップを感じて働きにくくなる方もいます。
薬剤師の職場は、基本的に少人数体制です。長時間同じ環境で働くため、人間関係のトラブルが発生するとなかなか解決が難しいのが実情です。
労働環境が過酷だった
働きはじめてから仕事がつらいと感じ、辞めたくなるのもよくある失敗事例です。薬剤師が不足している職場では、一人あたりの業務量が多くなりやすい傾向にあります。
職場によっては残業や夜勤などで体に負担がかかり、仕事を続けにくくなるケースもあるので、労働条件はしっかりと確認することが大事です。
年収が上がらなかった
年収アップを期待して転職する40代は多いものの、必ずしも年収が上がるとは限りません。特に前職で役職者として働いていた方は、転職によって年収が下がることもあるため、給与は確認しておきましょう。
40代薬剤師の転職成功の4つのポイント
40代の転職では、失敗するリスクはできるだけ避ける必要があります。40代の薬剤師が転職に成功するためのポイントを、しっかり理解しておきましょう。
1. 転職の軸を持つ
40代の場合は、これが最後の転職と考えておきましょう。転職を繰り返すと採用の難易度が上がるおそれがあります。
まずは、転職の目的や意義をしっかり定めましょう。自分にあう働き方や満足できる労働条件を明確にして臨むのが、転職成功の秘訣です。
2. 経験やスキルの棚卸しをする
自分の薬剤師としてのスキルを整理するのも重要です。認定薬剤師や専門薬剤師といった資格以外に、チーム医療の経験やコミュニケーションスキルも転職時の強みになります。
これまでどのような業務を担当し、どんな実績を出したのかを掘り起こしましょう。自己分析で自分の市場価値をしっかり理解すると、志望動機や自己アピールの場で大きく役立ちます。
3. キャリアより働きやすさを重視する
40代での転職は、それまでのキャリアを捨て、また一から築き上げなければなりません。昇進や昇給を狙うには、長く働ける職場を選ぶのがベストです。
転職先で長く勤めて成果を出すためにも、キャリアよりも働きやすさを重視して就職先を選んでください。
4. 専門的な転職エージェントに頼る
40代が転職の失敗を防ぐためには、企業研究や自己分析が必要です。とはいえ、働きながらの転職活動は、時間的な余裕がないことも多くあります。
転職先探しに悩んだら、転職エージェントを活用するのも賢い方法です。効率良く情報を集めて、自分の希望にぴったりあう職場を探しましょう。
薬剤師専門の転職エージェント「ヤクジョブ」は求人数が多く、複数の選択肢の中から自分の働き方にあう仕事が探せます。
丁寧なヒアリングで、求職者のニーズを的確に把握したうえで、一人ひとりの強みや弱みに応じて、企業とのマッチングを提供しています。
ヤクジョブでは、薬剤師の派遣求人にも対応しています。40代で転職先をお探しなら、どうぞお気軽にご相談ください。
まとめ
手に職をもつ薬剤師なら、40代でも十分に転職のチャンスがあります。いままで培ってきたスキルを武器に、自分らしく働ける新しい職場を選んでください。
どんな職場が自分に向いているかわからず、不安なら、転職サービスを頼るのも賢い方法です。薬剤師に特化したサービスを選んで、転職成功を目指しましょう。