転職するにあたって、志望動機は応募者の熱意を伝えるために最も重要な項目です。ただし、あまり深く考えずに書いていると、似たり寄ったりな内容となってしまい、あまり印象に残らない…ということになります。
ほかの応募者と差別化し、採用担当者の心をつかむためには、ポイントをおさえて端的に自身の魅力を伝えなければなりません。
限られた文字数の中でしっかりアピールするには、盛り込むべきことを知っておく必要があります。今回は、病院へ転職する場合の「志望動機」を書くポイントをご紹介しますので、参考にしてみてください。
病院薬剤師に求められる資質とは?
まずは、病院薬剤師に求められる資質を知っておきましょう。病院側のニーズを知ることが、必要な情報を盛り込んだ志望動機を書くことに繋がります。
どの病院でも求められる資質
まずは、どの病院でも求められる資質を3つご紹介します。
コミュニケーション能力
病院では、医師だけでなく看護師、理学療法士、栄養士など、さまざまな人と連携して治療を行うことになります。他の医療職の専門性を尊重しつつ、より良い治療のために意見するなどコミュニケーション能力は欠かせません。
もちろん、患者と接する機会が多いので、幅広い年代の方に対応できる柔軟性も求められます。
幅広い知識と経験
病院薬剤師の業務は、調剤や服薬指導だけではありません。院内製剤を作る、抗がん剤を混注するなどは、病院独特の業務です。調剤薬局でも取り扱う場合はありますが、注射薬や麻酔薬など、病院ならではの薬も多くあります。
幅広い業務に対応できる経験や知識は、どの病院でも重宝されます。知識や経験が十分ではなくとも、習得への意欲を示すことが大切です。
「医療に貢献したい」という強い思い
医療は、人の健康や命に直結するものですから、しっかりとした根拠をもとに行われる必要があります。もちろん、これは病院に限ったことではありませんが、病院薬剤師はカルテを見ることができる分、より正確な情報に基づいた判断をすることが可能です。
情報収集や情報提供・個別の薬物投与設計・服薬指導、そして、有害事象発生時の厚生労働省への報告、研究活動などを通じて、「医療全体へ貢献したい」という熱い気持ちもアピール材料になります。
病院のタイプ別に求められる資質
病院の機能によって、求められる資質も少し異なります。急性期病院では、薬剤の知識だけでなく、迅速な判断力や、最新の治療に対する情報収集能力なども必要です。子どもから高齢者まで年齢層も幅広いため、それぞれに合った薬物治療が行えるよう支援する必要があります。
一方、慢性期病院では、年齢層の高い患者が多くを占め、疾患の影響で薬の自己管理が難しい患者が増える傾向にあります。そのため、患者の服薬支援や服薬方法に関する知識や、薬剤調整の能力が重宝されます。複数の疾患を抱えた患者がほとんどになりますが、急性期病院ほど採用薬品にバリエーションがないことも多く、代替薬の提案なども重要な役割です。薬物治療を総合的に管理する力が求められます。
病院薬剤師の志望動機には何を盛り込めばいい?
では、求められる資質を意識した上で、志望動機にはどのような内容を盛り込めば良いでしょうか?
病院薬剤師を希望する理由
ドラッグストアや調剤薬局、企業など、薬剤師の資格があれば選択肢は多くある中で、なぜ「病院」を選んでいるのか、明確に伝えましょう。
病院薬剤師でなければなしえないこと・経験できないことなどは理由に挙げやすいです。病院勤務が条件になっている資格の取得なども良いですね。自分の思いを交えて記載してみてください。
応募先の病院を選んだ理由
応募先の病院をなぜ選んだのか、理由が明確だと良い印象を与えることができます。急性期や慢性期といった病院の機能分類だけでなく、メインの診療内容に興味がある、資格を活かせる環境であるなど、その病院に特化した具体的な内容を盛り込むことで、応募先で働く意欲が伝わりやすくなります。
就職後のキャリアビジョン
実際に就職した場合、病院に対してどのような貢献ができるのかを示しましょう。ご自身のこれまでのキャリアや今後の目標などと絡めることで、「この病院で長く働くイメージができているな、貢献してもらえそうだな」と感じてもらうことができます。どの企業も「長く働いてくれる人材」を求めていますので、長期的なビジョンを示すことができれば印象に残りやすくなるでしょう。
また、応募先の病院でどのような人材が求められているのか、見学の際などに聞いておくことも重要です。中小病院では、「今後病棟業務/チーム活動を開始したいので、経験がある人を求めている」というパターンもまだまだ多いです。ご自身では強みと思っていない部分がアピールポイントになる可能性もあります。
【例文】病院薬剤師の志望動機
では、これまでにお伝えしたポイントを踏まえて、実際にどのような志望動機を書けば良いのかご紹介します。新卒と既卒では内容が変わると思いますが、参考にしてみてください。
志望動機例①「チーム医療を実践したい」
新卒で、さまざまなチーム活動を充実させている病院への就職活動をしている場合の志望動機例です。病院見学で聞いた「薬剤部の強み」を盛り込みました。
志望動機例②「スキルアップを通じて医療に貢献したい」
スキルアップのために転職したいというパターンの志望動機例です。すでに資格を持っていてある程度の知識・経験があることは触れつつ、その活動の幅を広げたいというアピールをしています。
志望動機例③「患者様に寄り添いたい」
急性期病院から、神経内科がメインの慢性期病院へ転職する場合で志望動機例を作成しました。なぜ慢性期病院に興味を持ったのか、「患者に寄り添う」とはどういうことかを具体的に記載しています。
病院薬剤師を希望する理由
近隣の慢性期病院に勤務している中で、急性期病院への転職を希望する志望動機例です。慢性期病院での勤務経験を急性期病院でどう活かせるのかにも触れています。
志望動機例⑤「緩和ケアに携わりたい」
新卒で、病院実習での経験から緩和ケアに惹かれているというパターンを想定した志望動機例です。
病院薬剤師の志望動機で注意すべきこと
病院薬剤師の志望動機で、注意したいポイントを3つお伝えします。
待遇や労働環境を動機に挙げる
待遇や労働環境も、就職活動では重要な要素ではありますが、これらを文章として前面に押し出してしまうのは避けましょう。「もっと好条件の病院があればすぐに離職してしまうのでは」という印象を与えてしまいます。
見学や面接などで「子育て中の薬剤師がほとんどだから、みんなで残業ゼロを目指しているんですよ」などと話題に挙げられる場合があります。その際は、労働環境について希望を伝えて問題ありませんが、志望動機として文章の中で触れるのは避けた方が無難でしょう。
スキルアップや成長のみを理由とする
「スキルアップしたい」「成長したい」という内容で意欲をアピールすることはできますが、それだけでは良い志望動機とは言えません。病院は教育機関ではないため、得た学びを活かして患者や病院へ貢献できることを示す必要があります。
学んだその先のビジョンを明確にアピールしましょう。たとえば、取得することで加算に繋がるような資格を目指していることなどは良いアピールになります。
具体性のない理由を志望動機にする
具体性がなく、どこにでも通用するような志望動機では、その病院を選んだ理由が伝わりません。志望動機を使いまわしているような印象を与えてしまうこともあるため、その病院を選んだ理由を具体的に書きましょう。
見学で聞いたことや、ホームページをしっかり確認し、その病院ならではの取り組みや強みを絡めた志望動機にするのがおすすめです。
まとめ
今回は、病院薬剤師として就職活動・転職活動をするにあたって重要な「志望動機」を各ポイントについてご紹介しました。採用担当者の印象に残るためには、どのような病院に就職活動をするにしても、志望動機の内容はよく吟味する必要があります。今回ご紹介したポイントを踏まえ、ほかの応募者と差をつけた志望動機を作成してみてください。
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