薬剤師国家試験は、薬剤師の資格を取得するために合格が必須とされる重要な国家試験です。2025年に実施される予定の第110回薬剤師国家試験の試験日や合格発表日はいつの予定か、合格するためには何点とれば良いのかなど、気になっている受験生も多いのではないでしょうか。
本記事では、第110回薬剤師国家試験の試験日や合格発表日に関する情報や、過去の合格率や合格基準など、今後の試験を受けるにあたって確認しておきたい情報について解説します。
第110回薬剤師国家試験の概要
薬剤師国家試験は、日本国内で薬剤師になるために合格が必要な試験です。薬剤師として求められる倫理観や一般教養、現場で必要とされる知識や技能、態度などが体系的に修得できているかが確認されます。
試験の合格率や合格基準、合格するためには何点とれば良いのかといった具体的な概要は、後ほどご紹介する「第109回薬剤師国家試験の概要」以降の内容もご確認ください。
試験日
薬剤師国家試験は、毎年2月に2日間にわたって実施されるのが通例です。2025年に実施される予定の第110回薬剤師国家試験の試験日は、2024年8月30日に公開されています。第110回の試験日は、2025年2月22日(土)と23日(日)です。受験に関する書類は、2024年1月6日(月)から同月16日(木)までに提出する必要があります。受験票に関しては2025年2月12日(水)までの到着が予定されています。
合格発表日
2025年に実施される予定の第110回薬剤師国家試験の合格発表日は、2025年3月25日(火)午後2時です。厚生労働省のホームページおよび試験情報のページに掲載されるほか、合格者には合格証書が郵送されます。
第109回薬剤師国家試験の概要
続いては、直近の2024年に行われた第109回薬剤師国家試験について、試験日や合格発表日、合格者数・合格率、合格基準・合格ボーダーなどの概要を振り返っていきたいと思います。
試験日
第109回薬剤師国家試験は、2024年2月17日(土)と18日(日)に実施されました。試験地は北海道、宮城県、東京都、石川県、愛知県、大阪府、広島県、徳島県、福岡県にそれぞれ設置され、約15,000名の受験生が合格を目指して試験に挑みました。
合格発表日
第109回薬剤師国家試験の合格発表日は、2024年3月19日(火)でした。
厚生労働省の資格・試験情報に関するWEBサイトで受験地や受験番号が発表されるとともに、合格者には合格証書が郵送されました。
合格者数・合格率
第109回薬剤師国家試験は、合計15,118名が出願し13,585名が受験しています。合格者数は9,296名、合格率は68.43%でした。前回の第108回の合格率は69.0%でしたので、ほぼ昨年同様の合格率だったことが分かります。
男女別の合格者数と合格率は以下のとおりでした。
種別 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
全体 | 13,585人 | 9,296人 | 68.43% |
男 | 5,176人 | 3,362人 | 64.92% |
女 | 8,406人 | 5,934人 | 70.59% |
参考:「第109回薬剤師国家試験の結果について」(厚生労働省)
新卒者と既卒者それぞれの合格者数と合格率は以下のとおりでした。
種別 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
全体 | 13,585人 | 9,296人 | 68.43% |
新卒 | 8,416人 | 7,100人 | 84.36% |
既卒 | 4,957人 | 2,103人 | 42.42% |
参考:「第109回薬剤師国家試験の結果について」(厚生労働省)
新卒者の方が既卒者よりも合格率が高く、男女の合格率には大きな差がないことが分かります。
合格基準・合格ボーダー
薬剤師国家試験の合格基準(合格ボーダー)は、試験回ごとの難易度を考慮した「相対基準」で設定されるため、毎年変動するのが特徴です。
厚生労働省から発表された第109回薬剤師国家試験の合格基準は以下のとおりで、これらすべての基準を満たした受験者が合格とされました。
● 全問題の得点が420点以上(688点満点)
● 必須問題について全問題の正答率が70%以上、かつ、各科目の正答率が30%以上
● 禁忌肢問題選択数は2問以下
参考:「第109回薬剤師国家試験の結果について」(厚生労働省)
過去の合格率と合格基準の推移とは?
続いては、過去の合格率と合格基準の推移を見てみましょう。
薬剤師国家試験の合格率や合格基準は、毎年変動するため、過去の傾向も参考にしながら準備を進めることが大切です。
過去の合格率の推移
2012年から2024年まで、過去13年間の合格率の推移は以下のとおりです。
参考:「第109回薬剤師国家試験の結果について」(厚生労働省)
2012年に実施された第97回薬剤師国家試験では、2006年度から開始された6年制教育の卒業生が初めて国家試験を受けました。第97回の合格率は88%、その後の第98回も79%と、6年制教育開始直後は高い合格率で推移しています。その反動か、続く第99回と第100回の合格率は約60%とやや低い傾向にありました。
現在の試験と同様の相対基準による合格基準が導入された第101回以降の合格率は約70%と、おおむね一定の割合で推移していることが分かります。
過去の合格基準の推移
現在の試験と同様の合格基準が導入された2016年から2024年まで、過去9年間の合格基準の推移は以下のとおりです。
試験回 (年) | 合格基準 |
第109回 | 210点 |
(2024年) | |
第108回 | 235点 |
(2023年) | |
第107回 | 217点 |
(2022年) | |
第106回 | 215点 |
(2021年) | |
第105回 | 213点 |
(2020年) | |
第104回 | 225点 |
(2019年) | |
第103回 | 217点 |
(2018年) | |
第102回 | 219点 |
(2017年) | |
第101回 | 224点 |
(2016年) |
参考:
「第109回薬剤師国家試験合格基準及び正答について」(厚生労働省)
「第108回薬剤師国家試験合格基準及び正答について」(厚生労働省)
「第107回薬剤師国家試験合格基準及び正答について」(厚生労働省)
「第106回薬剤師国家試験合格基準及び正答について」(厚生労働省)
「第105回薬剤師国家試験合格基準及び正答について」(厚生労働省)
「第104回薬剤師国家試験合格基準及び正答について」(厚生労働省)
「第103回薬剤師国家試験合格基準及び正答について」(厚生労働省)
「第102回薬剤師国家試験合格基準及び正答について」(厚生労働省)
「第101回薬剤師国家試験合格基準及び正答について」(厚生労働省)
合格基準は試験回ごとの難易度によって多少の変動があるものの、345点換算で210点台~230点台と、おおむね6割程度の得点率が基準となっていることが分かります。
難易度・出題傾向は?
第109回薬剤師国家試験の難易度は、前回の第108回と比較して難しくなったとされています。出題される内容がより深く、広範囲にわたる知識を必要とする傾向が強まりました。
出題された代表的な疾患としては、「がん」「感染症」「高血圧症」などが挙げられます。これらの疾患に関する問題は、複数の科目の知識を組み合わせて解答を導き出す連問形式が増えています。このため、科目ごとの勉強だけでなく、科目間の関連性を意識して勉強することが重要です。
さらに、試験では個別最適化医療や予防医療、多職種連携、地域連携薬局など、現代の医療現場で薬剤師が必要とされる知識も多く問われました。
こうした出題傾向から、臨床現場で即戦力として働くことができる、広い視野を持った薬剤師が求められていることが分かります。
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まとめ
薬剤師国家試験の概要や過去の合格率、合格基準について解説しました。第110回の試験日や合格発表日はすでに発表されており、過去の傾向も参考にしながら準備を進めることが大切です。
国家試験に無事合格できた後は、いよいよ薬剤師としてのキャリアがスタートします。長い社会人生活の中で「今の職場でいいのか?」「もっと自分に合った職場があるのでは?」と悩むことがあるかもしれません。薬剤師としてのキャリアに迷ったときも、国家資格である薬剤師は比較的転職しやすい職種とされています。
早い段階からしっかりと対策を立てて、まずは国家試験合格を目指しましょう。