【米トランプ大統領】10月から医薬品に関税100%‐米国で工場建設の企業除外

 米トランプ大統領は25日(現地時間)、医薬品の関税について「10月1日からアメリカで工場を建設している企業を除き、ブランド品または特許品に対して100%の関税を課す」と自身のSNSで表明した。ただし医薬品については、8月の欧米の関税共同声明では15%を超えて適用しないとあり、今月の日米の関税共同声明では他国の製品に適用される税率を超えないとあることから、共同声明の内容が履行されれば関税率は15%に抑えられることになる。

 トランプ大統領が医薬品への100%関税を課すと表明したSNS中では、適用除外とした「建設している企業」の定義について、着工、建設中だと説明している。

 関税は通常、国と品目に対して課すが、今回は「建設している企業を除き」との文言があるように、あたかも企業によって対象・対象外となるとも読める異例の内容となっている。日本の製薬業界関係者からは、「今後どう制度化されるのか」と戸惑いの声が聞かれる。

 トランプ大統領の表明を受け、福岡資麿厚生労働相は26日の閣議後会見で、「具体的措置の内容が明らかでないため、影響について予断をもって回答するのは困難」と話した。その上で「具体的内容が分かり次第、わが国への影響を十分に精査しながら、関係省庁と連携して適切に対応したい」と述べるにとどめた。

 日本製薬工業協会の広報担当者は、「対象品目など詳細は分かっておらず、状況を注視している」とコメントした。

 米国売上高が全体の3割から5割に上る日本の大手製薬各社は、できる範囲で手を打ってきている。第一三共、アステラス製薬、大塚ホールディングス、エーザイは米国内での在庫積み増しを進めている。

 アステラスは業績予想に金額は明示していないが「一定のリスク」を織り込んでいるほか、大塚HDは「下半期に原薬を含め医薬品に25%の関税がかかると、事業利益数十億円の減少を想定している」と説明してきた。

 米国売上高が5割に上る武田薬品は、米国において欧州や日本などからの輸入課税価額(税額算出するための基準額)に占める割合は米国売上高の8~10%程度にとどまり、影響は限定的との説明を繰り返してきた。

 中外製薬は、ロシュグループの米国内拠点の活用なども含めて様々なオプションを検討している。他社も影響を抑えるサプライチェーンの検討を進めている。

 日米欧製薬大手は、米国への製造や研究開発拠点の投資を相次いで表明している。日本の武田薬品は米国において今後5年間に300億ドルを投資する方針を明らかにしている。

2025.9.29