来年度から「地域枠」拡大‐茨城県、長野県も対象に/東京薬科大学

東京薬科大学は、2026年度入学者選抜から、県内に薬学部・薬科大学が設置されていない山梨県、茨城県、長野県に在住の高校生を対象とした「地域枠選抜」を6年制の薬学部薬学科で実施する。募集人員は山梨県3人、茨城県2人、長野県2人で、合格者のうち成績上位者には入学金40万円を免除する。既に山梨県を対象とした地域枠選抜は25年度から実施しているが、地域医療への貢献の一環として地域枠を拡大し、薬剤師の人材確保と偏在解消につなげたい考えだ。

東薬大には、薬学部が設置されていない山梨県、茨城県、長野県からの入学生の割合が高く、卒業生の多くは地元に戻って薬剤師として薬局や病院に勤務している。ただ、これら3県の人口10万人当たりの薬剤師数は全国平均以下であり、特に薬剤師の偏在指標の低い病院薬剤師不足が喫緊の課題となっていた。
こうした中、東薬大は、昨年に包括連携協定を締結して入学試験の「特別選抜枠」を設定していた山梨県に加え、新たに来年度から茨城県、長野県の高校生を対象とした地域枠を設定し、拡大することにした。
出願資格は、山梨県、茨城県、長野県に在住する高校・中等教育学校を26年3月に卒業見込みの人または25年に卒業した人で、大学卒業後は薬剤師として出身県内の地域医療への貢献を志すことも要件となっている。3県から計7人を募集し、適正能力審査、小論文、面接、書類審査等で選抜する。

東薬大は、2020年に武田薬品と地域医療を支える人材育成を目指した協定を締結し、地域医療のイノベーション実現を目指した教育・研究プロジェクト(東薬プロジェクト)において地域医療の学びを深めてきた。
また、23年には高知県と地域に貢献できる薬剤師の人材育成に向けた連携協定を締結。さらに昨年には山梨県と包括連携協定を締結するなど、社会貢献の一環として地域医療への関与を深めてきた。
今回の地域枠の拡大もその一環と位置づけており、地域枠で入学してきた学生に対してふるさと実習を進め、卒業後は地元に戻って薬剤師として地域医療に貢献する人材の育成を目指していく考えだ。

2025.5.30