厚生労働省や日本OTC医薬品協会等で構成するスイッチOTCワーキンググループ(WG)は4日、一定の要件を満たした場合はスイッチOTC医薬品の承認申請時に臨床試験結果の提出を不要にすべきとの考えを、薬事審議会要指導・一般用医薬品部会に示した。効能・効果が元となる医療用医薬品の承認事項の範囲内であることなどが要件で、厚労省は承認申請時に提出すべき資料を求める根拠となっている関係通知について、年内をメドに改正したい考え。
厚労省の通知では、医療用医薬品として承認済みでスイッチOTC薬として初めて承認される成分について、承認申請時臨床試験結果の添付を求めている。一方、スイッチ化される成分は実臨床で長年使用され、適正使用により有効性・安全性が十分に確保されることが既に確認済みのものとしている。
この日のWGでは、2014年6月以降に承認された新規スイッチOTC薬18品目の審査に際して臨床試験結果等の活用状況を調べた結果が公表された。医療用医薬品の臨床試験結果の再解析を添付した事例は8品目、臨床試験結果をそのまま添付した事例は10品目だった。他方で、臨床試験結果以外の臨床試験結果を添付した事例はなかった。
臨床試験結果をそのまま添付した事例では、審査でOTC薬として使用される場合に想定される新たな知見は確認されなかった。
また、再解析を行った事例のうち「臨床試験にスイッチOTCが対象とする重症度または年齢以外のデータが含まれている場合」に関しては、スイッチOTCの適用範囲と比べて医療用医薬品の適用が異なるデータが含まれる場合において、条件を合わせるために再解析されたものとした。
これらを踏まえて、WGは「一定範囲でのスイッチOTC化に限り、申請時の臨床試験結果の提出は必須でない」との考えを示した。
具体的要件として、元となる医療用医薬品と比べ、▽生物学的同等性が確認済み▽同一成分、同一分量・剤形▽効能・効果が医療用医薬品の承認事項の範囲内で、用法・用量も承認事項と同一――であるスイッチ化については、医療用医薬品の臨床試験結果の再解析やスイッチOTC薬としての新たな臨床試験を行うことなく、また医療用医薬品の臨床試験結果に関する承認申請資料を提出することなくスイッチ化の申請を可能にすべきとした。
さらに、スイッチOTC薬の製造販売後調査のあり方にも言及。副作用頻度調査の調査予定症例数について、現在は内服薬3000件、外用薬1000件の収集を指導してきたが、品目の特性に応じたより適切な調査予定症例数の設定を検討することとした。現在の予定症例数からの増減に関しては、「増減どちらもあり得る」としている。
2024.9.9