発癌性物質で限度値‐アトモキセチン製剤/薬事審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会

薬事審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会は28日、注意欠陥・多動性障害(ADHD)治療剤のアトモキセチン製剤について、発癌性物質であるN-ニトロソアトモキセチンの許容摂取量を1日100ngに定める案を了承した。日医工が対象製品を自主回収した際に用いた限度値を採用したもので、ICHガイドラインの考え方に沿った対応と判断した。

日医工は7月に、アトモキセチンカプセル4製品の原薬からN-ニトロソアトモキセチンが検出されたことを公表しており、欧州医薬品庁(EMA)の最新ガイダンスに基づき、許容摂取量1日100ngを限度値に設定し、それを上回る原薬が使用された出荷済みの製剤ロットを自主回収している。
厚生労働省はこの日、欧米の規制当局が公表している1日許容摂取量も踏まえ、今後の対応案を提示。日医工が採用した限度値は「科学的にも妥当性が認められた最新のリスク管理を行うことができる」と判断を示した。

一方、アトモキセチン製剤「ストラテラ」を製造販売している日本イーライリリー提案の限度値に関しては、ICHガイドラインではN-ニトロソ構造を持つ変異原性物質は極めて強い発癌性物質を示す可能性があり、限度値は1日1500ngよりも著しく低い値となることが見込まれるとして、「ガイドラインの考え方に沿った対応と言えず、課題がある」と指摘。
日本イーライリリーの製剤に関しても限度値を1日100ngで管理し、必要に応じてリスク低減措置を取るよう指示し、他の製造販売業者の製剤も同様の対応を行うこととした。

2024.8.30