バイオ後続品の承認簡素化‐不要な臨床試験を削減方針/米国食品医薬品局

 米国食品医薬品局(FDA)は10月29日(米国時間)、バイオ後続品の承認プロセスを簡素化するガイダンス案を示した。バイオ後続品の承認審査は低分子の後発品とは異なり、バイオ先行品の有効性評価を比較する臨床試験を実施し、得られた試験データをFDAに提出する必要があったが、臨床試験の簡素化を認め、不必要な臨床試験を削減する方針だ。先行品の有効性評価と比較する臨床試験を必要としない場合には、開発コストの削減や承認取得までの研究開発期間の短縮が図られ、患者により安価なバイオ後続品を提供できるとしている。

 FDAのガイダンス案では、不要な臨床試験を削減するなど大幅な改訂を提案している。バイオ後続品と先行品の有効性を比較した試験は1~3年の実施期間と平均2400万ドルの費用が発生するとされている。臨床試験の合理化により、バイオ後続品を開発する企業の負担軽減を図る方針。

 米国で承認されたバイオ後続品は76製品だが、市場シェアは20%を下回っている状況にある。その要因の一つとして、バイオ後続品の煩雑な承認プロセスが挙げられている。開発企業は、バイオ医薬品からバイオ後続品に切り替えた場合の有効性・安全性を評価するスイッチ研究として追加的な試験を行うケースがあるが、FDAでは現在、スイッチ研究を推奨しておらず、バイオ後続品開発の効率化を促してきた。

 FDAのマーティンマカリー長官は、今回の措置により「バイオ後続品の開発プロセスを合理化し、先行品との互換性の向上を支援することで何百万人もの米国人が罹患している癌、自己免疫疾患、希少疾患の高度な治療の大幅なコスト削減を達成できる」とコメントした。

 ロバート・ケネディ・ジュニア米保健福祉長官も「バイオ後続品改革の発表は、米国民の薬価を引き下げるというトランプ大統領の指示をさらに推進するものである」と述べ、バイオ後続品のアクセス拡大に期待感を示した。

2025.11.5