石破茂首相は21日の衆議院国家基本政策委員会合同審査会の党首討論で、自民党、公明党、日本維新の会による社会保障に関する協議議題の実現可能性に言及し、「一番難しいのはOTC類似薬の保険適用除外」との見解を示した。他方で、同議題を含めた現役世代の保険料負担軽減のうち、早期実現が可能なものは2026年度から実行するとした3党合意は順守するとの考えを示した。
2月に3党は、現役世代の社会保険料負担軽減に向けて協議体を設けた上で、OTC類似薬の保険給付のあり方見直し等を議論し、早期実現が可能なものは26年度から実行に移すことで合意。政府の骨太方針に記載し、26年度以降の予算に反映することとしている。
党首討論で維新の前原誠司共同代表は、合意を踏まえて定期的に実施している3党協議について「全く前進がない。維新は具体的提案をしているが、与党はこういう理由でできないとネガティブのオンパレードで、合意を反故にするのか」と厳しく質した。
これに対して、石破氏は「合意は重いもので、予算が成立すれば(反故にして)良いという信義に欠けるものであってはならない」とした上で、「一番難しいのはOTC類似薬の保険適用除外だと思っている。かぜの裏にはいろんな病気があるかもしれない。適用除外の実施には、どれくらい負担が増えるか恐れずに議論しなければならず、いかに国民の医療・社会保障を守るかという点で、維新と濃密な議論を最大限の努力でやる」と応じた。
前原氏は、「OTC類似薬の保険適用除外、後発品のアクセス向上については、概ねこういう方向というものでは到底賛成できない。本当に改革をし、国民に社会保険料が下がることを明確にしないと意味がない」とし、改めて社会保険料引き下げを骨太方針に明記するよう迫った。
石破氏は、「OTC類似薬の保険適用除外の扱いも皆が諸手を挙げて賛同するものではないと思うが、いかに保険料を下げるかと同時に、誰でもどこでも保険証1枚で医療にアクセスできるフリーアクセスを何としても守らなければならない。責任政党のトップとして合意は反故にしてはならない」と述べ、合意事項を順守する考えを示した。
2025.5.26