【3党協議】次回協議で打ち切り可能性‐OTC類似薬の保険除外

日本維新の会の岩谷良平幹事長は15日、自民党、公明党との社会保障に関する協議後の記者会見で、次回協議で与党側から保険適用除外可能なOTC類似薬の提示がなかった場合、同テーマに関する協議を打ち切る考えを示した。3党協議の実施回数が残り少ない中、双方の主張が平行線となっている現状から協議での合意が難しくなっており、地域フォーミュラリの導入推進など他テーマでの合意に注力したい考え。

与党側はこの日の協議で、OTC医薬品と1日最大用量が同一のOTC類似薬とその薬剤費について、薬剤費上位6品目(約100億円以上)と湿布薬1品目の計7品目で医療用医薬品を使用した場合、受診後にOTC薬を購入した場合、薬局等で直接OTC薬を購入した場合にかかる医療費の試算を提示した。
このうち、解熱鎮痛薬のロキソプロフェンナトリウムの1回60mg1日3回5日分処方では、医療用医薬品では技術料と薬剤費を合わせて5860円(586点)だが患者は3割負担で1758円、医療機関受診後にOTC薬を購入した場合は技術料と薬購入代で計5646円だが技術料の患者負担額は2769円とした。直接薬局等でOTC薬を購入した場合の負担額は1536円だった。
試算提示を受け、維新は改めて現役世代にかかる社会保険料負担を踏まえ、OTC類似薬の保険適用除外を迫った。その上で、ロキソプロフェンを例に保険適用除外の可否を質した。

与党側は、ロキソプロフェンは他の医薬品と共に処方・調剤されるケースが多いとして、除外は不可との見解を示した。保険適用除外可能なOTC類似薬の有無にも言及したものの、「現在対象を探しているが、いつ示せるかは分からない」と述べるにとどめた。
そのため、岩谷氏は協議後、「保険適用除外可能なOTC類似薬が次回協議でも示されなければ、与党側は見直しは行わないと受け取り、このテーマに関する協議は打ち切りたい」との考えを示し、改めて「今夏の参議院議員選挙で社会保険料を引き下げる改革等を国民に問う。民意を受けて今夏以降に改革を進めることが打開策と思う」との考えを示した。

一方、この日の協議では新たなテーマとして、地域フォーミュラリの推進も議論した。維新は地域フォーミュラリの効果について、院内または地域で処方の標準化を図ることが可能となるほか、標準化により医師や薬剤師の業務効率化が可能となる、医療機関・患者・保険者いずれも薬剤費の負担が原則として軽減されるなどメリットを強調。
また、降圧薬、脂質異常症治療薬、血糖降下薬の3大生活習慣病治療薬に関する地域フォーミュラリのみで年間約3100億円の薬剤費が削減されるとした健康保険組合連合会の試算を引用し、地域フォーミュラリの導入について一定の義務を課すことを提案した。
岩谷氏は「与党側も方向性は賛成しているが、各論は反対の姿勢だったので、次回協議ではそうならないよう希望する」と述べた。

2025.5.19