財務省は23日の財政制度等審議会財政制度分科会で、医薬品の費用対効果評価の適用範囲を拡大するよう提言した。対象とする薬剤の範囲や価格調整の対象範囲を拡大すると共に、費用対効果評価の結果を保険償還の可否の判断に用いることも検討するよう要求した。高額薬剤への対応でも費用対効果評価制度等の一層の活用を含めた薬価制度上の最大限の対応に加え、保険外併用療養費制度や民間保険の活用について検討が必要とした。
財政審は、国民にとって必要な医療が保障されることを前提に、▽適切なエビデンスに基づき「比較薬と効果が同等だが必要な医療資源が過大な薬」の薬価を比較薬と同額以下とする▽「対症療法や無治療との比較で追加的有用性がない薬」には保険を適用しない――と費用対効果評価の見直しを訴えた。
また、類似薬が既に存在し、革新性や追加的な有用性等の利点がない新薬であっても承認さえあれば、ほぼ自動的に類似薬効比較方式IIで値付けされて保険収載される仕組みについても「費用対効果評価の活用方策も含め、抜本的かつ具体的な検討を早急に進めるべき」と指摘した。
一方、調剤報酬改定については、対人業務を評価する調剤報酬体系への一層のシフトが必要と提言した。対人業務を評価することとされている調剤管理料のメリハリ付けが不十分であることや後発品の数量シェアが9割に迫っている状況に照らして、調剤技術料・薬学管理料にかかる報酬体系の見直しを行うよう求めた。
かかりつけ薬剤師指導料や服用薬剤調整支援料のように薬学管理料の中でも真に「対人業務」を評価する項目への評価の重点化を進めるべきとした。
生活習慣病患者に対する降圧剤などの医薬品や検査薬のスイッチOTC化を進めると共に、OTC薬のある医療用医薬品(OTC類似薬)に対する保険給付についても必要な医療保障とのバランスを確保できる方策を幅広く検討を進めるよう提言した。
2025.4.25