【入院分科会】薬剤師確保の財源求める‐附帯意見取りまとめ了承/中央社会保険医療協議会入院・外来医療等

 中央社会保険医療協議会入院・外来医療等の調査・評価分科会は25日、2024年度診療報酬改定の答申書附帯意見に関する検討結果を取りまとめた。病院薬剤師をめぐる内容については、現行の病棟薬剤業務実施加算では150床程度の算定でようやく薬剤師1人分の人件費をまかなえる程度と記載した。眞野成康委員(東北大学病院薬剤部長)は「薬剤師確保のための財源が入手できずに病棟業務全般が展開できないという悪循環に陥っている」と指摘し、改善を訴えた。

 病棟における薬剤管理については、調剤以外の病棟業務等のニーズ増加により病院薬剤師数は増加している一方、病棟薬剤業務実施加算により150床程度の算定で得られる診療報酬でようやく薬剤師1人分の人件費となり、小規模病院では同加算で人件費が確保できない現状があるとの意見が出たことを記載した。

 眞野氏は、病棟におけるポリファーマシー対策を評価する薬剤総合評価調整加算を引き合いに「仮にポリファーマシー対策に懸命に取り組んでも薬剤師の人件費確保には全く及ばず、薬剤師確保のための財源が入手できずに病棟業務全般が展開できないという悪循環に陥っている。現況の解消に向けてどのように取り組むか考える必要がある」と訴えた。

 病院薬剤師が行う調剤業務について、院内処方と院外処方の同一業務に対する診療報酬上の点数差が大きすぎるため、薬局薬剤師数が大幅に増え、病院薬剤師数が不足に陥っているとして、再度検討すべきとの意見があったことも記載。他方で、院内処方に対する評価を上げることで院内処方の増加につながる恐れがあるため、入院患者の調剤に対する評価を検討するよう求めた。

 眞野氏は、病院薬剤師が外来の化学療法実施に介入することを評価する「がん薬物療法体制充実加算」が24年度改定で新設されたことに触れ、「病院薬剤師は外来患者にも多くの場面で薬学的管理を実施しているため、このような方向の評価も充実してほしい」と訴えた。

2025.9.29