厚生労働省は12日、8月に承認されたテルモの後発品である長時間作用性局所麻酔剤「ロピバカイン塩酸塩0.75%注『テルモ』」(一般名:ロピバカイン塩酸塩水和物)2品目を、薬価基準に特例的に収載した。先発品のアナペイン製剤が供給不安の現状や、テルモ製品2品目の十分な生産・在庫状況を踏まえて12月の収載予定から1カ月前倒しした。後発品の特例的収載は初めて。厚労省は、後発品の特例的収載について、「個別品目の状況を踏まえて対応するが、前倒しなどにより問題が大きく改善できる事例であれば考えていくことになる」との見解を示し、今後も後発品の供給状況によっては柔軟な対応に含みを持たせた。
■サンド製品の供給不安で
12日付で薬価基準に収載・適用されたのは、サンドファーマの「アナペイン注」を先発品とする、ロピバカイン塩酸塩0.75%注75mg/10mL『テルモ』と同注150mg/20mLの1成分2規格2品目で、薬価は10mL1管が260円、20mL1管が520円。
アナペインをめぐっては、サンドの製造設備不具合により6月から限定出荷が始まり、7月から出荷量が減少。関係学会が医療機関に帝王切開術や無痛分娩への使用を優先するよう要請しているが、供給量の回復メドが立たないため、厚労省は8月に製造販売承認したテルモの後発品2品目を年内に供給開始する見通しを示していた。
後発品の薬価収載時期は、通常6月と12月の年2回としているが、承認後にテルモは生産を続けて在庫を蓄積しており、「前倒しで収載となっても、概ねアナペインの供給量と新規収載品目の供給量を合わせて、アナペインの製造トラブル前の供給量に見合う程度の生産が可能」との見解を示していることや、アナペイン供給の現状を踏まえ、厚労省は1カ月前倒しで特例的に収載することを決めた。
厚労省は、アナペインの供給状況について「製造トラブルから回復し、一部規格は一部変更承認が行われて生産再開している」と説明した一方、「供給状況は改善の途上にあるので、完全供給は見込めない。テルモ製品の供給量と合わせると製造トラブル前の供給量に戻せる」との見方を示している。
今後、他品目に関しても特例的な収載を適用する可能性について「可能性としてはある」としつつ、「収載の要件はなく、個別品目の状況を踏まえて対応する」との方針。今回の対応に関しては「収載を前倒すことで、何らかの問題を解決できるかがポイントだ。前倒しなどで問題が大きく改善できる事例であれば、考えていくことになると思う」としている。
今回の2品目以外の後発品の薬価収載は、12月に通常通り実施予定。
2024.11.13