希少疾病・難病領域の活動強化‐「レアディジーズ統括部」に再編/キッセイ薬品

キッセイ薬品は、希少疾病・難病領域の営業や学術活動を強化するため、4月1日付で医薬営業本部にあるレアディジーズプロジェクトを「レアディジーズ統括部」に再編する。同領域の製品が今後増えることを見据え、支店に担当者を配置するなど増員して展開する方針だ。

同社は、希少疾病・難病領域には、顕微鏡的多発血管炎と多発血管炎性肉芽腫症の治療薬「タブネオスカプセル」、慢性特発性血小板減少性紫斑病治療薬「タバリス錠」があり、両剤とも急成長している。これら製品の情報提供活動はMRが行い、レアディジーズプロジェクトに所属する学術などの担当者が学術面などを担当している。
同社では現在、同領域には膀胱癌と急性骨髄性白血病などを対象にした開発品があり、製品が増える見込みだ。
そのため同社は、現行組織を「レアディジーズ統括部」に再編し、同統括部に支店のエリア戦略室所属の人員の一部を充て、支店からの学術などの活動を強化する。レアディジーズ統括部の員数は開示していないが、増員することで、医療施設に対する製品情報提供、学術情報の活動を手厚くしたい考え。

同統括部長には現レアディジーズプロジェクト部長の宮下格氏が、統括部レアディジーズ担当部長には現レアディジーズプロジェクトマネジャーの七里夏子氏がそれぞれ就く。両氏とも「タブネオス」「タバリス」の開発に携わっていたという。
開発中の新薬候補の一つは、BCG療法が無効の膀胱癌を対象に開発中の腫瘍溶解性ウイルス療法「CG0070」。同社が2020年3月に米CGオンコロジーから導入したもので、CGオンコロジーが米国で25年上半期に承認申請を行う予定だという。同社は、中国を除く、日本、韓国、台湾等アジア20カ国における独占的開発・販売権を獲得している。
同剤は、癌細胞だけに作用する遺伝子改変したアデノウイルスを投与することで、対象の癌細胞を破壊すると共に、破壊された癌細胞から遊離した抗原により活性化されたT細胞がさらに癌細胞を攻撃する新しい作用を持つ。

もう一つは、急性骨髄性白血病治療薬として開発中のオルタシデニブ。同剤についてキッセイは昨年9月に、米ライジェルファーマシューティカルズから日本、韓国、台湾における独占的な開発権・販売権を獲得した。ライジェルは22年に、再発率が高い「IDH1変異陽性の再発/難治性の急性骨髄性白血病」の治療薬として米国で承認を取得している。同社は今後の開発について医薬品医療機器総合機構(PMDA)と協議中。
同剤は、正常細胞への分化を妨げるIDH1遺伝子変異を阻害し、正常な細胞分化を回復すると考えられている。

2025.3.31