【医療保険部会】重点課題に医療者の賃上げ‐26年度改定方針で方向性/厚生労働省

 厚生労働省は23日の社会保障審議会医療保険部会で、後発品・バイオ後続品の使用促進などを追記した2026年度診療報酬改定の基本方針に関する具体的方向性を示した。病院・薬局薬剤師の協働による医薬品の適正使用推進等も記載したほか、医療従事者の処遇改善等を盛り込んだ項目は「重点課題」に位置づけた。来月下旬に基本方針の骨子案を示す予定。
 前回の部会で改定の基本方針に向けた具体的方向性が示されたが、これまでの意見を踏まえて肉づけしたものを厚労省が示した。

 4項目からなる具体的方向性のうち、「物価や賃金、人手不足など医療機関等を取り巻く環境変化への対応」は「重点課題」に位置づけた。医療従事者の人材確保に向けた取り組みについて、医療従事者の処遇改善、業務効率化に資するICT・AI等の利活用推進、診療報酬上求める基準の柔軟化など、具体的内容を追記した。

 また、「効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上」の項目では、後発品・バイオ後続品の使用促進、医療DXやICT連携を活用する医療機関・薬局の体制評価を新たに記した。電子処方箋の活用や医師・病院薬剤師と薬局薬剤師の協働の取り組みによる医薬品の適正使用等推進も追記した。OTC類似薬等の薬剤給付のあり方に関する検討も、引き続き記載している。

 「医療機関の機能分化・連携と地域における医療の確保、地域包括ケアの推進」の項目に関しては、質の高い在宅医療・訪問看護の確保、人口・医療資源の少ない地域への支援などを盛り込んだ。
 「安心・安全で質の高い医療の推進」の項目では、感染症対策や薬剤耐性対策の推進を加えた。

 後発品等の使用促進に触れた渡邊大記委員(日本薬剤師会副会長)は、「使用量を維持するのに手一杯だ。医薬品等の納入で逆ざや問題が生じ、高額薬剤の在庫と廃棄もあって大きな影響が出ている。これらに対する配慮と対応をお願いしたい」と訴えた。

 また、OTC類似薬等の薬剤給付のあり方に関する検討について、「対象となる医療用医薬品の給付のあり方を考えるのであれば、議論の余地がある」とした。

 医療機関等を取り巻く環境変化への対応を重点課題に位置づけたことについて、佐野雅宏委員(健康保険組合連合会会長代理)は「他の項目も密接に関係する重要テーマなので、1項目だけを重点課題にすべきでない」との考えを示した。

2025.10.27