ジェネリック医薬品協議会は、「わが国のジェネリック医薬品産業の維持・育成に関わる課題への提言」の第2弾をまとめた。原薬供給を海外からの輸入に依存する中、少なくとも主要な後発品については日本薬局方(JP)、米国薬局方(USP)、欧州薬局方(EP)の整合が進むまでの間、USPとEPの規格を原則として受け入れる柔軟な対応が必要と指摘した。一方、国内原薬製造の整備支援と原薬の備蓄設備の構築に向けては国の支援を求めると共に、薬価改定の影響を受ける原薬の生産事業については後発品の薬価改定を構造的に見直すよう提言している。
原薬供給が海外からの輸入に依存する状況下で最も重要な視点は「薬事関係制度における国際的な整合性」と指摘した。JPの規格は独自に定められているが、例えばJPとUSPで品質規格の基準が異なる場合、国外の原薬製造業者がUSPの基準に適合した製品を製造しても、JPに適合させるためには追加試験が必要になるケースがある。製造業者のコスト負担を増加させるだけではなく、市場規模の小さいわが国の製薬企業が原薬の買い付け競争で不利益を被る可能性があるとした。
そのため、整合が進むまではUSPとEPの規格を原則として受け入れる柔軟な対応が必要とする一方、国際調和はリスクとリターンのバランスを総合的に勘案し、国が主導して積極的に推進すべきとした。
局方間の規格差によってわが国への原薬供給に支障が生じる恐れのある医薬品については、原薬企業団体・製造販売企業団体が会議体を組織し、JPの改定に向けた具体的な要望や提案を行う体制を構築することを提言した。
特に後発品に関連した課題については、日本ジェネリック製薬協会、日本薬業貿易協会や日本医薬品原薬工業会と連携し、安価で高品質な原薬の安定確保に資するJPの課題も含めた建設的な議論を進めるべきと主張している。
マスターファイルの変更管理には柔軟性を持たせ、変更手続きの迅速化を要望。国内原薬製造に関する提言では、後発品薬価改定の構造的な見直しや中間体を含めた原薬の国産化・備蓄について備蓄対象とする原薬を国が優先度を踏まえて選定すると共に、その追加的経費は国費によって賄うことが望ましいとの見解を示した。
また、医薬品の安定供給体制に関する提言も行った。国が主体となって構築された供給状況報告体制は「出荷対応の状況」「供給停止の理由と見込み」「在庫消尽時期」などの膨大なデータが医薬品ごとに公開されているが、医師や薬剤師が多忙の中で、厚生労働省ホームページにアクセスし、ファイルをダウンロードして確認する手間が大きな課題となっている。
こうした状況を踏まえ、医薬品卸業者も含めた利便性が高い情報提供システムの構築を求めた。
2025.8.20
