製造変更手続40営業日で‐「中等度変更」を試行導入/医薬品医療機器総合機構

医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、医薬品の製造方法等に関する変更管理の薬事手続で、一部変更承認申請と軽微変更届出の中間に位置する新たな変更カテゴリ「中等度変更事項」を試行的に導入し、申請から最短40営業日の事務処理期間で迅速審査を行う方針を固めた。通常の手続では申請日を起点に半年から1年要していたが、欧米と同様に短期間で変更を行えるようにする。試行期間中は月15件程度を目安に先着順で受け付けることを想定しており、具体的な内容について近く通知を発出予定。

医薬品の製造方法等の変更管理は、製薬業界から制度改善を求める声があり、次期医薬品医療器機等法の改正に向けた議論でも論点の一つとなっている。
厚労省は中等度の変更事項として、製造方法等にかかる一部変更のうち、軽微変更を除く品質に与える影響が大きくないものについては、一定期間内の迅速な変更を可能とする仕組みを設けるよう提案している。法改正に先立って実施する中等度変更事項の試行的導入は現行の一部変更の1類型として行い、試行的実施の結果を踏まえ、制度のあり方や実施可能性を検討していく。
試行期間は、▽申請時に中等度変更対象事項として承認を受けた事項の変更▽既承認品目でPMDA相談により迅速承認制度の利用に関する該当性の確認を受けた変更――の二つに限定。迅速承認の対象は変更点のみとし、通常一部変更の審査で行っている過去の軽微変更届等の確認は行わない。

具体的には、製造販売業者から資料提出後、10営業日以内にPMDAが変更案の受理可否を決定し、その後の30営業日で審査を行う。提出資料に問題がなければ申請から40営業日以内に承認を受けることが可能になる。
審査では必要に応じて適合性書面調査を実施し、追加データの提出が必要との判断に至った場合は、製造販売業者への通知後30営業日以内に追加データの提出を求める。PMDAは追加データを受領後、20営業日以内に審査を行い、承認の可否を判断する。
一方、▽GMP調査を要する場合や添付資料で重大な不足がある▽追加データ要求時に30営業日以内に提出できなかった――といったケースでは、中等度変更事項ではなく一部変更の薬事手続に切り替える。「追加提出されたデータで疑義があり、十分な議論を要する」場合も一部変更での審査で対応する方向だ。

日本の製造方法の変更管理における薬事手続は、「一部変更申請」と変更後30日以内に届出を行う「軽微変更届出」の2区分に限られている。日本では一部変更手続が必要で、海外では迅速承認が可能な変更事項について、日本のみ長期の審査期間を要するため、ドラッグラグ・ロスや医薬品の安定供給に支障を来す一因と指摘されていた。中等度変更事項の導入で国際的な規制調和を図りたい考えだ。
またPMDAは、今回の試行的導入で旧承認事項に基づく製品から新たな承認事項に基づく製品への切り替えが発生することを受け、在庫管理が煩雑とならないよう承認後に旧製品を一定期間出荷できるよう規制の運用を広げる。
17日付で、厚労省が製造方法等の一部変更にかかる承認後の製品切り替え時期に関する通知とQ&Aを発出した。

2024.9.20