先発品特許ありは承認不可‐後発品の承認審査で通知/厚生労働省

 厚生労働省は8日、後発品とバイオ後続品に関する医薬品医療機器等法上の承認審査と薬価収載にかかる医薬品特許の取り扱いについて通知を発出した。先発品の有効成分に物質特許が存在することによって、その有効成分にかかる医薬品の製造・製造販売ができない場合には後発品等を承認しない。一方、効能・効果等に用途特許が存在する場合であっても、その他の効能効果等を標榜する医薬品の製造・製造販売が可能である場合は後発品等を承認できるとした。

 厚労省は、特許の存否を承認予定日で判断するものの、特許期間の終了を見込み、承認審査の標準的事務処理期間を考慮して後発品等の承認申請を行うことは差し支えないとの見解を示した。

 後発品等の製造販売承認申請を行う場合、先発品の有効成分にかかる物質・用途特許の有無、これらの特許にかかる情報を事前に確認するよう求めた。

 また、▽特許権が消滅▽特許が無効▽特許権を侵害しない▽特許権者または専用実施権者の同意を得ている――といったケースは、製造販売承認の取得後速やかに製造販売できることを示す資料を製造販売承認申請書の添付資料として、厚労省、医薬品医療機器総合機構(PMDA)からの求めに応じて提出する。

 特許権が消滅している場合には閉鎖特許原簿、特許内容、特許が無効であることを示す場合には特許無効審決書、裁判判決文等が想定されるとした。

 一方、薬価収載に関する取り扱いも公表した。特許係争の恐れがあると思われる品目の薬価収載を希望する場合は、事前に特許権者・実施権者である先発品の製造販売業者との間で調整を行い、将来も含めて医薬品の安定供給が可能と思われる品目についてのみ収載手続きを取るとした。

 特許権者・先発品企業に対しては、後発品等の承認審査に当たって考慮されるべきと考える先発品の有効成分にかかる物質・用途特許が存在する場合には、先発品の再審査の調査期間終了前に、医薬品特許情報報告票に必要事項を記入し、医薬局医薬品審査管理課宛てに提出するよう求めた。調査期間の終了後、新たに物質・用途特許を登録した際も、医薬品特許情報報告票の提出が必要になる。

 既に再審査の調査期間が満了している先発品について、未だ医薬品特許情報報告票を提出していなかったものの、後発品等の承認審査に当たって考慮されるべきと考える特許が存在する場合には11月8日までに厚労省に提出する。

2025.10.10