承認書との相違で注意喚起‐問われる製販業者の責務/医薬品医療機器総合機構

医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、GMP調査を通じて承認書の記載事項と製造所での製造実態が相違した事例が相次いでいることを受け、5月30日にGMP指摘事例速報(オレンジレター)を公表し、製造販売業者の主体的な関与による法令遵守を呼びかけた。製造所が承認事項を把握していない事例の背景には製造販売業者の関与が薄い点を問題視した。GMP省令には承認事項と製造実態の相違を予防する趣旨の条項が盛り込まれたが、依然として承認事項と製造実態の相違が散見されている状況に「対症療法ではなく根本治療が必要ではないか」と警鐘を鳴らしている。

今回公表された指摘事例では、製造所は原薬等登録原簿(MF)に記載のある工程管理試験を実施していなかった。また、承認書の記載内容を把握しておらず、承認書に記載された原料の確認試験の一部を実施していなかった。
その原因について製造所はMFと実態との相違を認識していたものの、相違点検の担当者が離職し、その後の対応が適切に引き継がれず放置されていたと特定した。さらに、製造販売業者とMF国内管理人との間に承認書記載内容にかかる取り決めが締結されておらず、製造所が把握しておくべき事項が共有されていなかったことも原因とした。

PMDAは、▽製造販売業者が主体的・積極的に関与していない▽製造業者が承認事項や法令の趣旨を理解していない▽企業間の意思疎通が不足しており、認識や価値観の相違に気づけていない――などを根本原因に挙げている。
製薬企業に対して、「表層の点検に終始するのではなく製造管理者の責務が果たされているか、医薬品製品標準書に必要な事項を記載しているかも含め、真因を追求し再発防止に努めてほしい」と呼びかけている。

2025.6.4