厚生労働省は6日の社会保障審議会医療保険部会で、薬剤給付のあり方に関する論点として、選定療養化された長期収載品の患者負担に関する見直し案を示した。現在の長期収載品と後発品の価格差の25%相当から、50%、75%、全額負担までの引き上げ案を示したところ、保険者委員からは負担割合拡大に賛同する声が相次いだが、医師委員などからは代替品となる後発品の供給不安解消を前提とした検討が必要との意見が続出した。
北川博康委員(全国健康保険協会理事長)は、「先発品を希望する患者は全額負担とするのが大きな方向性。選定療養導入は後発品の使用促進に大きく寄与したことは明らか」とし、佐野雅宏委員(健康保険組合連合会会長代理)も「負担額だけでなく対象範囲を拡大する方法もある。選定療養が免除されている『医療上の必要性が認められる場合』についての厳格な精査などの課題も整理し、具体的な見直し案を示してほしい」と選定療養化の推進に賛同した。
これに対し、城守国斗委員(日本医師会常任理事)は「後発品の限定出荷・出荷停止は依然としてかなりの割合で発生し、地域差もある」と指摘。藤井隆太委員(日本商工会議所社会保障専門委員会委員)も「前提となる後発品の安定供給は未達で、後発品企業の経営環境は厳しい。まずは安定供給を着実に対応した上で検討を進めてほしい」と注文を付けた。
一方、OTC類似薬の保険給付のあり方見直しについては、小児、慢性疾患患者、低所得者への配慮、成分が同一でも用法・用量や効能・効果等が異なることを踏まえたOTC類似薬の範囲が論点となったが、保険除外への賛否が分かれた。
佐野氏は、「OTC医薬品で代替可能なものはできる限り広い範囲を対象に選定療養で追加の自己負担を求める方法などを具体的に検討してほしい」とし、北川氏も「大きな方向性として保険適用除外を検討してほしい」と訴えた。
林鉄兵委員(日本労働組合総連合会副事務局長)は、「単純に保険適用から外すのは難しく、小児等に配慮すると非常に複雑な仕組みとなる。保険給付範囲を縮小することで現役世代の負担が増して国民・患者の理解は得られない」とし、藤井氏も「単に除外することや処方を取りやめるだけではセルフメディケーション達成につながらない」と指摘した上で、保険給付範囲を見直す場合は安全性のリスクが低い薬剤から段階的に見直すべきとした。
2025.11.10
