日本人の治験症例数が少ないことのみを理由とした使用成績調査(全例調査)の実施を不要とする昨年7月の通知改定で製造販売後調査における全例調査の実施割合が半減し、製販後データベース調査が大幅に増加している状況が、日本製薬工業協会の調査で明らかになった。承認審査の結果、製販後調査が不要となった品目が「ある」と回答した企業が23社中15社に上ることも判明した。
1日に横浜市内で開催された日本臨床試験学会学術集会で、宮崎真氏(日本製薬工業協会医薬品評価委員会ファーマコビジランス部会)が速報結果を公表した。
調査は、昨年12月に同部会や米国研究製薬工業協会(PhRMA)、欧州製薬団体連合会(EFPIA)加盟社に製販後調査や使用成績調査の現況に関してヒアリングし、2014年以降に新医薬品の承認品目があった73社から回答を得た。
その結果、日本人治験症例が少ないことのみの理由の全例調査を実施不要とした昨年7月の通知改定により、昨年7~12月までに行われた全例調査の実施割合は製販後調査全体の10%に低下した。20年4月~23年3月は20%、23年4月から昨年7月は23%を占めていた。
全例調査を除いた使用成績調査の実施割合は40%と製販後調査の実施方法では依然として最も大きかったが、20年4月~23年3月の58%、23年4月から昨年7月の52%から低下傾向にある。
これに対し、レジストリ利用を含めた製販後データベース調査の実施割合は40%とこれまでの1割台から一気に増え、製販後調査の実施方法が多様化している状況が明らかになった。
承認審査の結果、製販後調査が不要となった経験がある企業は23社中15社と65%に上った。使用成績調査が不要とされる中で、リスク最小化活動も含めた適切な安全性監視活動のあり方を考える必要性も生じているようだ。
一方、医薬品リスク管理計画(RMP)ごとに申請時と承認時における製販後調査の要否を調べると、「企業が承認申請時に調査等を計画していた」19品目中、「承認時に調査等が不要となった」が5品目あった。「承認申請時に調査等を計画していなかった」21品目中、「承認時に調査等が必要になった」ものは4品目あった。
これらを踏まえ、宮崎氏は、「規制当局と企業の考え方に違いがあった品目については、今後の事例の背景をしっかりと学ぶことが効率的な承認申請プロセスにつながる」と述べた。
2025.3.5