私立大の公立化は慎重に‐大学規模適正化も必要/財政制度等審議会財政制度分科会

財政制度等審議会財政制度分科会は15日、「春の建議」に向け、経営悪化による私立大学の公立化について「より慎重な検討が必要で、統廃合等で規模の適正化を進めるべき」との考えを示した。私学助成に関しても学生数の実態に応じて助成額が増減するよう改めると共に、社会に求められる人材育成を行っているといった観点から、認証評価制度等を活用したメリハリを強化すべきとした。

現在、大学薬学部・薬科大学も入学志願者数の定員割れに直面し、沖縄県の大城学園への事業譲渡を決めた千葉科学大学も銚子市との間で公立化の検討を行っていた。
この日の分科会では、人材育成について「高等教育における安定的・持続的な質の確保が不可欠」とし、私学助成に関して教育の質に着目したメリハリ強化や大学の規模適正化を早急に進めるための見直しを行うべきと提言したほか、修学支援のあり方見直し、体制のスリム化、業務効率化等の改革も合わせて取り組むべきとした。
具体的には、私立大から公立化した大学はこれまで12校に上るものの、公費は大幅に増加する一方、自己収入は大幅減となっていると指摘。公立化すれば運営費に対して地方交付税による措置が行われる点に留意が必要とした。

また、地域入学者率と地域内就職率については低下する事例も多く、地域の人材育成・確保に必ずしもつながっていないとし、公立化にはより慎重な検討が必要であり、地域の実情も踏まえつつ統廃合等によって規模の適正化を進めていくべきとした。
さらに、約6割の私立大が定員割れを起こしている一方で、2023年度の学生1人当たり補助額は、定員割れする私立大の方が大きくなっていると指摘。
人口減少が進む中で安定的・持続的な教育の質確保に支障が生じる恐れがあるとして、大学設置認可の厳格化、定員減、統廃合、撤退等を行いやすくする制度的対応を図ると共に、私学助成のあり方を改め、大学規模の適正化を早急に進める必要があるとした。
私学助成に関しては、学生数の実態に応じて助成額が増減するよう改めると共に、認証評価制度等を活用したメリハリを強化すべきとした。

2025.4.18